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核融合力学部門

高 エ ネ ル ギ ー プ ラ ズ マ 分 野

教 授  伊 藤 早 苗   准教授  稲 垣   滋 助 教  佐々木   真   助 教  Maxime Lesur*

          (* 九州大学伊藤極限プラズマ研究連携センター所属)

1 乱流プラズマの構 造形成と選択則の 総合的研究

2 プラズマ乱流統計 理論の実験的検証

3 プラズマ乱流理論 の応用

4 非平衡極限プラズ マ 全 国 共 同 連 携 ネットワーク研究

高温磁化不均一プラズマについて,乱流と構造形成の機構を解明し,自律的 構造の遷移と選択則を得ることを目的とした研究を進展させた.トーラス・

プラズマにおいて乱流が作り出すメゾスケールの帯状流の実在及び帯状流が 乱流揺動を抑制していることを世界で初めて観測することに成功した.更に プラズマ装置スケールと同程度の長距離相関を持つマクロスケール揺動の発 見に世界で初めて成功した.

磁場で閉じ込められた乱流の非線形過程を直線プラズマ装置を用いて実際に 観測し,理論における予測との比較に成功した.さらに,帯状流が励起され ない場合に,乱流が非線形過程によって塊になる「ストリーマー」を世界で 初めて実験で観測することに成功した.

太陽のタコクライン(太陽内部で回転速度が急変する層)に対して,プラズ マ乱流理論を適用し,自然界のプラズマの構造形成にあらたな理解をもたら した.

核融合プラズマ・高エネルギー密度プラズマ・プロセスプラズマ・ナノ‐バ イオプラズマ等,これまで個別に発展してきたプラズマ物理科学の方法論を 非平衡極限プラズマという共通学理から連携しネットワーク化することに よって普遍的な学理を探求する研究を推進している.

核 融 合 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 野

准教授  糟 谷 直 宏   助 教  大 澤 一 人

統合輸送コード TASK を用いた ITER の核燃焼シミュレーション研究を進め,

核燃焼プラズマ統合コード(BPSI)計画を推進した.プラズマ周辺・ダイバー タコード SONIC と炉心プラズマ輸送コード TASK/TOPICS のインター フェースを作成し,プラズマ全体を自己矛盾なく解ける統合輸送コードを開 発した.

マルチスケールプラズマ乱流・MHD のグローバルシミュレーション研究を 推進し,高温プラズマにおける異常輸送現象の機構解明や乱流と MHD の相 互作用の研究を行った.スケール分離されたモデルにより,単一の現象を研 究する従来型の研究手法からマルチスケールシミュレーション研究へのパラ ダイムシフトに貢献し,その潮流を作り上げた.

プラズマ乱流シミュレーションと乱流場データに対する数値計測を組み合わ せ,実験研究と対照させた数値診断を行うことで,プラズマ乱流輸送を研究 する乱流計測シミュレータ研究に着手した.円筒,およびヘリカルプラズマ における乱流コードを開発し,それらコードから得られた乱流場に対して,

重イオンビームプローブ等の計測の模擬を行い,乱流構造形成機構の検定法 を研究した.

弾性論に基づいた転位論は材料強度の予想などの基礎になっており,照射環 境下におかれる炉材の研究にも関連している.従来の転位論は主に等方性弾 性論に基づく理論であった.しかし,ほとんどの材料は異方性弾性体であり,

等方性弾性論ではどうしても反映できない物性,たとえばらせん転位の周辺 のコットレル雰囲気,などの問題がある.異方性弾性論に基づく転位ループ 間の相互作用エネルギーを計算する積分形式を導出した.

BCC 金属の空孔と水素の結合エネルギーを計算した.タングステンとモリ ブデン空孔には水素は 12 個まで捕獲された.一方,鉄など他の BCC 金属 空孔には従来の説の通り6個まで捕獲された.核融合炉材料として注目され ているタングステンとモリブデンが実際は水素に対して特別な金属であるこ とを明らかにした.

1 核燃焼プラズマ統 合コードを用いた 輸 送 シ ミ ュ レ ー ション研究

2 マルチスケールプ ラズマシミュレー ション研究

3 乱流場の数値診断 シミュレーション 研究

4 異方性弾性論に基 づく転位の研究

5 第一原理計算によ るタングステンと 水素の相互作用の 研究

プ ラ ズ マ 表 面 相 互 作 用 分 野

教 授  中 村 一 男   准教授  徳 永 和 俊 助 教  長谷川   真

1 球状トカマクプラ ズマ断面形状の再 構成に関する研究

2 マ ト リ ク ス コ ン バータを用いたプ ラズマ制御電源に 関する研究

3 定常運転のための プラズマ位置・断 面形状制御に関す る研究

4 実時間制御・デー タ収集・解析

5 プラズマと材料表 面の相互作用に関 する研究

6 核融合炉材料の水 素同位体 / ヘリウ ム照射特性,高熱 負荷特性及び材料 開発

非定常フェーズにおけるプラズマ形状再構成には真空容器渦電流の評価が必 要である.コーシー条件面の磁束値を未知とする観測方程式を解くことによ り,形状再構成が可能となるが,磁気プローブ追設により,渦電流の評価精 度を向上させた.高周波電流駆動プラズマにおいては閉磁気面外のプラズマ 電流が存在する場合の形状再構成を仮想渦電流法にて検討している.

高温壁の設置に先立って,プラズマ垂直位置不安定性のフィードバック制御 による安定化,その高速制御に必要なマトリクスコンバータを用いた制御電 源について検討した.多相入出力についてはαβγ座標系で,スイッチング マトリクスについてはdi0座標系で議論することにより,任意波形出力の場合 でも入力力率1に改善可能であることを示した.

プラズマ電流の立上げ,及びその定常維持を実現するために,リアルタイム でプラズマ位置・断面形状の同定を行い,その制御を行なう.立ち上げ時に 重要となる開磁気面内のプラズマ電流を考慮し,また定常運転時に問題とな るドリフトを除去するためにプラズマ断面画像を用いて補正することなどを 計画している.

大型実験炉及び核融合炉に向けた,長時間にわたる諸量の実時間データ管理,

実時間データ解析,実時間制御,及び遠隔地からの実験参加を可能にする遠 隔データ閲覧,遠隔制御手法等の研究・開発を行なっている.またQUESTを 用いて,球状トカマク装置のプラズマを長時間・高性能に維持するための統 合的なシステムの研究・開発を行なっている.

球状トカマク装置QUEST(九州大学応用力学研究所),大型ヘリカル装置 LHD(核融合科学研究所)における対向材表面の水素・不純物挙動やプラズ マ粒子照射による微視的な材料損傷・損耗・再堆積について研究を行ってい る.また,直線型プラズマ装置やイオン照射装置等を用いたプラズマと材料 表面の相互作用に関する研究を進めている.

タングステン等の高融点金属や炭素繊維複合材料(CFC)等の炭素材料の低 エネルギー粒子(水素・ヘリウム)照射特性,水素同位体挙動及び定常・非 定常高熱負荷特性を調べるとともに,改良材の試作・開発を行っている.また,

原型炉の第一壁・ブランケット及びダイバータの表面材料として,タングス テン被覆・接合低放射化フェライト・マルテンサイト鋼の開発・評価を進め ている.これらに加え,タングステン材料の熱応答に関して,弾塑性変形やク ラック等の破壊を伴う熱負荷挙動のシミュレーション計算を進めている.

先 進 炉 材 料 分 野

特任教授 吉 田 直 亮   准教授  渡 邉 英 雄

高温プラズマ研究センターと密接に連携して,プラズマ・壁相互作用に関連 する研究を推進している.既存の表面プローブシステムを QUEST 計画にあ わせて改修・設置し,QUEST 壁面に長期間設置された試料の組成分析並び に内部組織の電子顕微鏡観察からプラズマ壁面での複雑な現象の理解を目的 としている.プラズマ性能の向上につれて,壁面のスパッタリングに伴う成 分元素の同定,水素プラズマに起因する内部組織の変化(照射欠陥集合体の 形成)を示すデータが電子顕微鏡を用いた観察や分析から得られた.

軽水炉に使用されている圧力容器は運転期間中に交換の出来ない炉の主要機 器である.特に福島原子力発電所の事故以降,軽水炉の長期に亘る運転には 圧力容器鋼の照射脆化に関する知見が不可欠であることが改めて認識され た.圧力容器鋼は強磁性材料であるため,従来まで電子顕微鏡を用いた内部 組織観察が非常に困難であったが,試料の微細加工技術を向上させることに より可能となった.この様に電子顕微鏡をもちいた組織の直接観察研究手法 は,これまで例が少なく脆化メカニズムの解明に貢献した.

ITER やデモ炉で問題となる核反応アルファー粒子(ヘリウム)によるプラ ズマ対向材料表面層の照射効果について研究を進めている.W等の材料では 水素やヘリウムの吸蔵が多量の照射欠陥の形成によること,照射により発生 する内部欠陥が表面構造を決定することなど,核融合炉でのプラズマ・壁相 互作用の重要な要素過程が原子レベルで解明されつつある.

低放射化フェライト・マルテンサイト鋼 (F82H) を核融合炉構造材料とし て使用する場合,第一壁の壁面は耐損耗性・耐熱負荷特性の高い W で被覆 することが検討されている.しかし,第一壁構造材は成膜の際に高温にする ことが出来ない為,より低い温度で質の良い成膜を行える技術の開発が求め られている.本研究では VPS 法で被膜した試料の断面組織を観察すること で,第一壁が受ける熱負荷に十分耐えうる良質な皮膜製造技術の指針を得る ことを目的として研究を進めている.

バナジウム合金はその低放射化特性より,核融合炉構造材料の候補材料とし て注目されているが,核融合炉構造体の製作には溶接が不可欠である.レー ザー溶接された高純度 V-4Cr-4Ti 合金に対して重イオンを用いた照射試験 を行い,組織や機械的特性に及ぼす照射効果についての研究を進めている.

1 球状トカマク実験 装置(QUEST)に お けるプ ラズ マ・

壁相互作用に関す る研究

2 鉄系構造材料の中 性子照射脆化に関 する研究

3 低エネルギーヘリ ウム(水素)と中 性子との重畳照射 効果に関する研究

4 W 被 覆 低 放 射 性 材料開発に関する 研究

5 低放射化バナジウ ム合金の溶接・照 射特性評価に関す る研究