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東アジア海洋大気環境研究センター

2.3   研究センターの現況

2.3.1   東アジア海洋大気環境研究センター

海 洋 力 学 分 野

教 授  増 田   章   准教授  吉 川   裕 助 教  上 原 克 人

1 対馬海峡の表層海 流の計測と監視

2 海洋波と海面境界 過程の研究

3 海洋乱流エクマン 境界層の研究

4 海洋中深層水形成 の力学

5 中規模渦群の変動 機構および海洋大 循環とくに中層深 層循環の力学 6 海洋変動の基礎力

学過程

日本海を対象とした海況監視・予測を進める事業研究の一環として,その入 り口である対馬海峡の海況変動を研究している.7基の海洋レーダーを対 馬・壱岐・志賀島に配備し,欠測の少ない表層海流図時系列を取得し対馬海 峡表層海流の変動解析を進めている.

不規則非線形水面波である風波の諸特性並びに波浪と海面フラックスの関係 を,水槽実験・海洋観測・理論により研究している.また成分波間の非線形 エネルギー伝達計算法の高度化を通じ波浪予報の改良を進めるほか,風波と うねりとの相互作用,砕波の効果,異常波浪の出現頻度,波浪発達・減衰の 仕組みを研究している.

海面や海底付近における乱流エクマン境界層の力学機構を研究している.海 洋レーダや音響流速計,乱流微細構造プロファイラーなどを用いた現場観測 に加え,LES 数値実験や理論解析解などを用いて,乱流混合過程の仕組みを 調べている.

海洋中深層水形成の力学機構を,理論・数値実験により調べる.とくに海面 冷却により駆動される対流と海洋内部の密度成層構造に起因する不安定との 相互作用や,対流と平均流構造との相互作用に着目して実験・解析を進めて いる.

海洋中規模渦群のスペクトル発展,渦群から平均流が発生する仕組み,海洋 大循環における渦の役割を実験・理論により研究している.また海洋中深層 循環の空間構造の成り立ちや,海底地形が深層循環に及ぼす影響を,地球流 体力学の手法と単純化した数理模型を用いて研究している.

渦度力と渦度発展の力学,海流の離岸と剥離,風に対する海の傾圧応答,海 の長周期変動の仕組み,傾圧不安定,地衡流調節,渦位一様化傾向,風波の 発達の描像など,海で生起する様々な現象の基礎力学過程を数値実験・理論 により研究している.

海 洋 生 態 系 分 野

教 授  柳   哲 雄

東シナ海の栄養塩・植物プランクトン・デトリタス濃度の時間・空間変動を 再現・予測する低次生態系モデルを開発し,そのモデルを用いて,東シナ海 の栄養塩起源,大気起源栄養塩の基礎生産に対する寄与率を明らかにする.

インドネシア・マレ-シア・タイ・ベトナム・フィリピン沿岸海域における 物理・化学・生物過程をを明らかにする研究を現地研究者とともに,観測・

モデリング手法を用いて行う.

有明海の潮汐・潮流・残差流特性を明らかにするとともに,珪素・リン・窒 素の物質循環特性を明らかにし,有明海の環境改善対策を提案する.

沿岸海域環境を保全するために,「人手が加わることにより生物生産性と生 物多様性が高くなった沿岸海域」である里海を創生するには,どのようなこ とが必要かを明らかにするために,自然・人文・社会科学者との学際的研究 を進めている.

1 東シナ海低次生態 系モデルの開発

2 東南アジア沿岸海 域の物理過程の解 明

3 有明海の物質循環 特性の解明

4 里海創生

海 洋 モ デ リ ン グ 分 野

准教授  広 瀬 直 毅

外洋的な構造の日本海と,沿岸的な性質の強い東シナ海を対比的な実験海域 として,海洋変動の本質を探っている.独自に開発した3次元海洋循環モデ ル(RIAM Ocean Model)をさらに改良し,日本海の表層から深層の循環,

水塊形成,渦拡散 効果,急潮の伝播,あるいは東シナ海における潮汐変動や 残差流,長江起源水の拡散過程などを調査している.Large Eddy Simulation

(LES)との比較に基づいた表層付近の乱流混合過程の研究も重要なテーマで ある.

数値モデリングの発展形として,東シナ海・日本海の海況予測システムを作 成した.衛星観測データや対馬海峡流速データなどをRIAM Ocean Modelに リアルタイム同化し,1週間先までの海況予報をウェブサーバー(http://

dreams-i.riam.kyushu-u.ac.jp/)にて公開している.当研究室では,データ 同化と海況予測の精度を追求する基礎研究に留まらず,実際にシステムを運 用して高い再現性と予測精度を実証した上,海洋生態系や水産研究,漂流計 算や海洋気象学など様々な分野における展開を図っている.

近年,海洋に漂流する海洋ゴミは日本沿岸に漂着し,大きな社会問題となっ ている.これらのゴミは東アジア沿岸域から排出され,日本だけでなく,東 アジア各国沿岸に漂着している.これらの越境海洋ゴミの漂流・漂着予測モ デルを開発している.日本海版はすでに完成し,現場観測と非常に良い対応 を示している.さらに,放射性物質や大型クラゲの輸送過程のモデリングも 行っている.

対馬海峡における対馬暖流の流動構造と変動を明らかにするために,韓国海 洋大学校との共同研究として,博多と釜山を結ぶ定期フェリー「ニューかめ りあ」に超音波流速計(ADCP)を設置している.旧船のADCPデータと合わ せて,記録的長期間(15年以上)の流速モニタリングを継続中である.この 貴重な観測データを解析することによって,対馬暖流の詳細な流動構造やそ の変動の特性が次々と明らかになった.2002年11月以降は表面付近の水 温・塩分・蛍光高度・濁度も計測している.

対馬海峡を通過する対馬暖流と,日本海側の冬季降水量の連動性を見出し,さ らに大規模な気候パターンにさえも影響を及ぼしていることが明らかになっ た.そのメカニズムを追求するため,気象学の研究室と協力して,東アジア 域における大気海洋結合過程のモデル研究を進めている.北西太平洋域にお ける異常な水温上昇(温暖化)についても調査している.

1 東アジア縁辺海の 数値モデル研究

2 海況予測システム

(DREAMS)

3 物質輸送過程の研 究

4 定期旅客船を利用 した海流のモニタ リング

5 大気海洋相互作用