本市は、平成 17 年の合併により、102,528ha の広大な森林を市域(66%)に含み、森林と都市、生産地と 消費地が一つの圏域となっている。
本市の森林は、林業を通した経済活動とともに、水資源の確保や山地災害の防止、療養や森林浴など保健・
レクリエーション、景観や教育などの文化、さらには二酸化炭素吸収による地球環境の保全など、身近なとこ ろから地球規模に及ぶ多面的な働きを有している大切な資源である。また、天竜川本流とその支流、都田川 及び太田川流域で営まれる林業は、「天竜林業」と呼ばれる先進林業地であり、経済と公益を両立する森林 を育む技として、本市の森林形成に大きな役割を果たしている。
項目 浜松市 備 考
基
盤
全域面積 155,806ha
H28 県統計要覧
森林面積 102,528ha
森林率 65.8%
民有林面積 (国有林以外) 81,269ha
民有林蓄積 23,308 千 m3
民有林林内道路密度 23.3m/ha
国有林面積 21,259ha
生
産
木材生産量 117 千 m3 H27 県森林整備課
人工林面積 62,204ha
H28 県統計要覧
人工林率 76%
椎茸生産量(生) 17.4t
H28 県統計要覧
椎茸生産量(乾) 2.2t
経
営
林 家 3,162 戸
2010 農林業センサス
5ha 未満林家 2,114 戸
100ha 以上の林家 41 戸
林業経営体数 519 戸 2015 農林業センサス ( 速報値 )
森林組合数 6 組合
H28 森林組合統計
森林組合員数 9,816 人
労働 森林組合作業班員 176 人 H28 森林組合統計
森林 整備
造林面積 24ha H28 天竜農林事務所
間伐面積 2,241ha H28 県統計要覧
FSC FSC 認証林面積 44,404ha H29.1.1 時点
FSC 認証材生産量 68,910 ㎥ H27 年度実績
(注意)※県統計要覧:静岡県森林・林業統計要覧
※林家…保有山林面積が 1ha 以上の世帯
※林業経営体…保有山林 3ha 以上の林業を行う者又は委託を受けて育林・素材生産を行う者
静岡県と浜松市の森林面積内訳
静岡県と浜松市の木材生産量
静岡県と浜松市の林業経営体数、林家数
資料:農林業センサス(2000 年、2005 年、2010 年)
静岡県林業振興課
平成 28 年度静岡県森林・林業統計要覧
2 浜松市森林・林業ビジョン
浜松市域の約 7 割、約 10 万 ha の森林は、市民共有の貴重な資源である。この森林資源を活かした 林業施策を、市民の皆さんと協働で進めていくための全体構想として、平成 18 年度に、「浜松市森林・
林業ビジョン」を策定した。
個別具体的な事業については、毎年度、林業政策の進捗状況や国の動向、経済情勢等を踏まえ、立 案実施しており、平成 29 年度については、以下の基本方針のもと事業を展開している。
(基本方針) 『天竜美林の多面的機能の維持・強化、林業・木材産業の振興』
林業・木材産業の振興のために、平成 29 年度は「天竜美林の多面的機能の維持・強化、林業・
木材産業の振興」を基本方針として、方針実現に向けて以下の事業を実施している。
(1)森林管理を通じた環境対応社会 への貢献
<持続可能な森林管理>
①森林認証推進事業
②グリーンレジリエンス推進事業
③林地台帳整備事業
(2)適切な伐採と流通の活性化 <木材流通の拡大>
(地産地消)
①公共施設木材利用方針に基づく公共施設の木造・木 質化
②浜松地域 FSC・CLT 利活用推進協議会の運営
③天竜材の家百年住居る助成事業
④天竜材地産地消推進事業
(地産外商)
①東京オリンピック ・ パラリンピック関連施設での天 竜材使用に向けた取組み
②政令指定都市をはじめとした国内への天竜材供給に 向けた取組み
③天竜材製品開発事業
④天竜材海外輸出実証事業
(その他)
①森林整備・林業振興事業
<低コスト林業の推進>
①低コスト林業推進助成事業(補助金)
②林業機械 ・ 施設緊急整備助成事業(補助金)
<林業従事者の育成>
①林業従事者助成事業
3 施策の概要
(1)森林管理を通じた環境対応社会への貢献
FSC 森林認証制度に基づく持続可能かつ適切な森林管理を行う。
<持続可能な森林管理>
①森林認証推進事業
・FSC 森林認証※ 1の更新・拡大を図るとともに、制度の普及啓発を行う。
・FSC 認証制度の普及のため、公共建築物等のプロジェクト認証の取得を推進する。
○森林認証実績 (単位:ha)
年度 取得面積 認証面積
平成 26 年度 1,063.59 43,238.47 平成 27 年度 314.58 43,553.05 平成 28 年度 851.27 44,404.32
※ 1 FSC 森林認証制度
独立した第三者機関が一定の基準等を基に、適切で持続可能な森林経営が行われている森林又は経営組織等を 認証し、それらの森林から生産された木材・木材製品へ認証ラベルを貼り付けることにより、消費者の選択的な 購買を通じて持続可能な森林経営を支援する制度。
※ FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会 )
※ FSC 本部 : ドイツ ボン
②グリーンレジリエンス※ 2推進事業
平成 28 年 10 月 31 日に浜松市と三井住友海上火災保険㈱とで締結した『グリーンレジリエン ス連携・協力協定』に基づき、市民や企業等に対する普及・啓発事業や、三井住友海上火災保険 の企業ネットワークを活用した FSC 認証材の利用拡大のための事業を実施する。
※ 2 グリーンレジリエンス
自然資本を活用した次世代型社会資本整備を進める新たな社会的概念であり、「自然資本を有効に活用して、防 災・減災対策、いわゆる国土強靭化と地方創生につながるビジネス創出を並行的に進めていく事業や活動」を指す。
③林地台帳整備事業
森林法の一部改正により、統一的な基準に基づいた森林所有者や林地の境界に関する情報等を 整備し公表する林地台帳制度(森林法第 191 条の 4 ~ 6)が創設され、市は平成 31 年 3 月末まで に林地台帳を整備・公表することが義務付けられた。
地域森林計画対象民有林(森林法第 5 条に規定される森林)を対象に、県(森林計画図、航空写真、
森林簿)、法務局(登記情報、公図データ)、市(課税台帳データ)が所有するデータを集約した 林地台帳地図を作成するとともに、県が作成する林地台帳と統合する。
(2)適切な伐採と流通の活性化
天竜材(FSC 認証材)の流通、販路の拡大に向けては「地産地消」と「地産外商」の2方向で取り組み、
木材生産量を増産するため、低コスト化や林業従事者の確保への支援等を行う。
<木材流通の拡大>
(地産地消)
①公共施設木材利用方針に基づく公共施設の木造・木質化
公共建築物の整備にあたっては、積極的に木造・木質化を推進するとともに、地域産の FSC 認証 材を活用する。
②浜松地域 FSC・CLT 利活用推進協議会の運営
平成 28 年 6 月 1 日に設立した「浜松地域 FSC・CLT 利活用推進協議会」は、「FSC 部会」、「CLT 部会」、「連 携部会」の 3 つの部会を設置し、天竜材の利活用に向け専門的かつ実践的な検討・研究を行っている。
単なる勉強会で終わるのではなく、新たなビジネスの創出やビジネスの拡大に繋げていくことを 意識して運営する。
③天竜材の家百年住居る助成事業
市内での地域材需要を喚起するため、天竜材利用者に対し 2 万円/㎥の助成(上限 25 万円)を行う。
また、FSC 認証材の利活用を推進するため、一定量以上の FSC 認証材利用について、追加助成(10 万円/棟)を実施する。
○事業実績 (単位:棟)
年度 補助件数 (うちFSC)
平成 26 年度 214 (96)
平成 27 年度 199 (94)
平成 28 年度 207 (110)
④天竜材地産地消推進事業
天竜材の流通量を拡大するため、木材利用に関わる業界を越えた企業間の連携による事業を支援 する。
(地産外商)
①東京オリンピック・パラリンピック関連施設での天竜材使用に向けた取り組み
オリンピック関連施設への天竜材使用の実現に向けて、関係各所へのセールス活動を継続していく。
②政令指定都市をはじめとした国内への天竜材(FSC 認証材)供給に向けた取り組み
政令指定都市をはじめ、木造住宅や大型施設の木質化等、木材需要が見込まれる全国の都市部等 に新たな販路を開拓し、天竜材の流通量拡大に繋げる。
③天竜材製品開発事業
天竜材の流通量を拡大させるため、大手家具メーカー等が実施する、天竜材を使用した木製家具 等の開発事業を支援する。
④天竜材海外輸出実証事業
天竜材の新たな販路の開拓のため、日本産のスギ・ヒノキの輸入量の多い韓国・中国・台湾等に 向けて輸出を実施する。
(その他)
①森林整備・林業振興事業
森林・林業ビジョンに掲げる持続可能な森林経営の実現と、森林の有する多面的な機能の維持増 進を図るため、森林環境保全直接支援事業、美しい森林づくり基盤整備交付金事業等により森林整 備事業を実施する。
○事業実績
年度 森林環境保全
直接支援
森林整備加速化・
林業再生
合板・製材生産性 強化対策事業
美しい森林づくり 基盤整備交付金
間伐材流通促進 助成
平成 26 年度
間伐 813.67ha 除伐 1.41ha 造林 20.64ha 下刈 58.08ha 枝打 4.03ha
- - 間伐 116.82ha 7,493 ㎡
平成 27 年度
間伐 585.86ha 保育間伐 15.47ha 造林 12.56ha 下刈 35.43ha 枝打 8.71ha
間伐 349.67ha - 間伐 135.40ha
-平成 28 年度
間伐 705.91ha 保育間伐 25.08ha 除伐 1.34ha 造林 13.70ha 下刈 28.31ha 枝打 28.72ha
- 間伐 281.87ha 間伐 84.64ha
-<低コスト林業の推進>
①低コスト林業推進助成事業(補助金)
木材生産の低コスト化を図るため、林内作業道整備及び修繕、架線の設置・撤去に対する支援を 行う。
○事業実績
年度 作業道開設(路線数) 作業路開設(路線数) 作業道修繕(路線数) 架線設置(箇所数)
平成 26 年度 23 22 21 72
平成 27 年度 24 21 21 78
平成 28 年度 27 21 15 63