連携中枢都市圏の形成による広域的な課題の解決
松本地域3市5村においては、地域医療や介護などの生活機能の強化や 公共交通網の整備、産業の活性化など、様々な施策に取り組んでいますが、
それぞれの市や村だけでは解決が難しい課題も多くあります。
超少子高齢型人口減少社会が急速に進展する中で、松本地域の 20 年、30 年先を見据えると、そうした広域的な課題に対して、自治体間で更に連携し て取り組む必要があります。
松本市が中心市となり、3市5村で構成する「連携中枢都市圏」を形成 し、自治体間で連携して広域的な課題の解決を図ることにより、松本地域の 将来を見据えた、持続可能な圏域づくりと地域の活性化が期待できます。
「連携中枢都市圏」とは
1 概要
連携中枢都市圏は、市町村の広域連携の枠組みの一つで、規模と機能を備えた 地域の中心市が、近隣の市町村と連携し、医療・介護や公共交通、観光振興など の広域的な課題の解決を図ることにより、圏域の活性化を目指すものです。
2 形成の要件
連携中枢都市圏の形成には、中心市である連携中枢都市が、指定都市又は中核 市であり、昼夜間人口比率が概ね1以上であることなどの要件があります。
3 取組内容
⑴ 新規創業の促進や地域資源を活用した経済の裾野拡大、戦略的な観光施策な どを行い、圏域全体の経済成長をけん引します。
⑵ 高度な医療サービスの提供や広域的な公共交通網の構築、高等教育や研究開 発の環境整備などを行い、高次の都市機能の集積・強化を図ります。
⑶ 地域医療や介護、道路等の交通インフラ整備、災害対策、地域内外の住民と の交流・移住促進など、圏域全体の生活関連機能やサービスの向上を図ります。
4 財政措置
連携中枢都市圏の形成に係る連携協約を締結し、計画に基づき取組みを進める 市町村に対して、国からの地方交付税措置があります。
5 長野地域連携中枢都市圏(連携中枢都市:長野市)の取組事例
3市4町2村で構成する長野地域連携中枢都市圏では、各市町村が連携して、
地域への就職支援強化や、保育の広域利用の拡大、買い物弱者対策、木質バイオ マスの利用促進、移住・定住促進など、計 48 の事業に取り組んでいます。
事務の性質
長野県内の広域連携について
1 広域連携の趣旨
人口減少社会において、地域の人々の暮らしを支える行政サービスを持続的か つ効果的に提供していくためには、各市町村業務の効率化に加え、自治体間の連 携をより一層推進していく必要があります。
2 長野県の広域連携
構成市町村の事務を共同で処理する「広域連合」を1階とし、中心市を核に柔 軟な仕組みにより政策面で連携を図る「連携中枢都市圏」「定住自立圏」等を2階 とする2層構造により、事務の性質に応じて連携の枠組みを使い分けています。
市町村 連携市町村
事務執行の 枠組み
事務の種類と主な事務 独自
共通
市町村ごと
【市町村の独自性が発揮される事務】
(例)まちづくり、地場産業の振興
連携中枢都 市圏、定住 自立圏等
【圏域の特徴を生かして対応する取 組みや事務を超えた政策面での連携】
(例)医療・福祉、公共交通、観光
広域連合、
一部事務組 合等
【スケールメリットを生かせる事務、
専門性が必要な事務】
(例)ごみ処理、し尿処理、消防
市町村ごと
【窓口サービスなどの住民サービス】
(例)住民票の交付、税の賦課徴収
3 広域連合
長野県内には、10 の広域連合が広域市町村圏ごとに設置されています。
松本地域では、平成 11 年2月に3市5村で構成する「松本広域連合」を設置 し、介護認定審査や消防行政、広域観光振興等の事務を行っています。
4 連携中枢都市圏、定住自立圏
長野県内では、連携中枢都市圏が1圏域、定住自立圏が6圏域、新たな広域連 携の仕組みを活用した1圏域の計8圏域が形成されており、医療提供体制の整備 や地域公共交通ネットワークの構築などの取組みが進められています。
県内の広域連携 構成市町村
長野地域連携中枢都市圏 3市4町2村 (連携中枢都市:長野市)
北信地域定住自立圏 2市1町3村 (中心市:中野市、飯山市)
上田地域定住自立圏 2市3町2村 (中心市:上田市)
佐久地域定住自立圏 3市5町4村 (中心市:佐久市)
八ヶ岳定住自立圏 1市1町1村 (中心市:山梨県北杜市)
伊那地域定住自立圏 1市1町1村 (中心市:伊那市)
南信州定住自立圏 1市3町 10 村 (中心市:飯田市)
北アルプス連携自立圏
※ 新たな広域連携の仕組み
1市1町3村 (中心市:大町市)
事務の性質
自治体間連携
1階 2階
Ⅵ 中核市移行における課題 1 中核市移行全体に関する主な課題
⑴ 人材の確保と育成
保健所業務を始めとする移譲事務を行うに当たっては、医師や獣医師、
薬剤師など、専門的な知識や技術を持つ人材の配置が必要となります。
中核市先行市では、そうした専門職の確保が困難な事例があることから、
計画的な専門職の確保が必要になります。
また、移譲を受ける様々な事務を、効果的かつ効率的に行うためには、
職員の資質の向上が不可欠であることから、人材の育成を計画的に進め ていかなければなりません。
⑵ 経費の精査と財源の確保 ア 初期的経費
市財政への影響額の試算では、中核市移行時に、約 16 億円の経費が 必要であると見込まれます。
市保健所の施設や設備に係る経費を始め、初期的経費の更なる精査 を行うとともに、財源を確保するため国や県に対して財政的な支援を 求めていく必要があります。
イ 経常的経費
市 財 政 へ の 影 響 額 の 試 算 で は 、 経 常 的 な 経 費 と し て 、 年 間 約 1 億 2, 000 万円の歳出増が見込まれます。
そのため、移譲事務の効率的な実施を検討するなど、事業費及び人 件費の更なる精査を行わなければなりません。
また、中核市の人口要件が緩和される以前の人口 30 万人以上の中核 市と、松本市を始めとする人口 30 万人未満の都市とでは、普通交付税 の算定基礎となる人口規模や事業所税の課税権といった税財源の違い があります。
中核市移行後においても、行政サービスの提供に必要な経費を賄う ための、安定的かつ継続的な財源の確保が不可欠であることから、経 常的経費についても、国や県に対して支援を求めていく必要がありま す。
⑶ 市保健所設置に係る調整 ア 市保健所の設置・運営
人材の確保・育成や組織体制の構築、保健所の立地場所や施設・設 備の整備など、質の高い保健所サービスを提供するための具体的な検 討を進めていく必要があります。
また、新たに設置する市保健所の業務と、既存の保健福祉施策とが 連携し、「健康寿命延伸都市・松本」の更なる推進を図るため、健康福 祉部やこども部との連携体制の構築が不可欠です。
イ 松本地域における保健所
松本市域に、松本市を管轄する市保健所と、2市5村を管轄する長 野県の保健所の2つの保健所が設置されることになります。
市保健所と県保健所が、同じ事務や検査を行うことになるため、サー ビス水準の維持向上に向けて、県と調整を行う必要があります。
また、利用者の利便性や関係団体の活動等に影響が出ないよう、事 前の周知や保健所同士の連携を図らなければなりません。
そして、大地震などの災害や、食中毒などの健康危機の発生時にお ける松本医療圏(3市5村)全体での迅速な対応や、今まで築き上げ てきた圏域の医療提供体制の維持・向上が必要であるため、市保健所 と県保健所、周辺2市5村及び関係機関等との密な連携体制を構築す る必要があります。
なお、上記課題の⑴〜⑶については、全国施行時特例市市長会において、
平成 29 年 11 月に国に対して「中核市移行に向けた支援を求める要望」を 提出しています。
⑷ 食肉衛生検査所に係る調整
長野県内には、3カ所の食肉処理施設(と畜場)に対して3カ所の食 肉衛生検査所があり、中核市移行により松本市内にある株式会社長野県 食肉公社の検査業務が移譲されます。株式会社長野県食肉公社は、県内 で最も古い施設ですが、県内全域から家畜を受け入れています。
しかし、今後の長野県全体の食肉処理頭数の見通しや県内他の食肉処理 施設も含めた経営方針によっては、食肉衛生検査所の検査体制にも大き な影響があります。
このため、株式会社長野県食肉公社の今後の業務動向を確認しつつ、長 野県における効率的な食肉流通の在り方について、長野県や関係団体、
関係市町村等との調整を行っていく必要があります。