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本章のまとめ

ドキュメント内 マニピュレータのロバスト 制御に関する研究 (ページ 116-119)

0 5 10 15 0

0.05 0.1 0.15 0.2

time [s]

maximum eigenvalue of JT J

図 7.16: ヤコビ行列Jλmax(JTJ)

8 おわりに

8.1 まとめ

力学的エネルギーの観点からマニピュレータ制御を考え直す意味でエネルギー整形によ り誘導されるSP–D制御に注目し,特に不確かさや外乱に対するロバスト性を意識して拡 張を行ってきた.

以下に,本研究で得られた結果を総括する.

(追従制御問題へのSP–D制御則の拡張)

補助変数の再構成とダ イナミクス補償項の導入により従来の定置SP–D制御則を 拡張し,追従制御問題へ適用した.ダ イナミクスモデルに不確かさが存在しないと仮 定した場合,提案するノミナル軌道追従SP–D制御則は,構成する閉ループ系の平衡 点を大域的に漸近安定とすることを示した.また,実際のマニピュレータを使った実 験では目標軌道の追従が行われ ることを確認し,提案した制御則が有効であること を検証した.

(パラメトリックな不確かさに対するロバスト 化)

マニピュレータのダ イナミクスモデルにパラメトリックな不確かさが存在する場 合,ノミナル軌道追従SP–D制御則では不確かさに起因する影響を著しく被ることを 確認した.そこで,実際のマニピュレータ制御では不確かさに対するロバスト性が重 要であることを認識し,パラメトリックな不確かさに対するロバストなSP–D制御則 を提案した.提案した軌道追従SP–D制御則は,不確かさに起因する望ましくない摂 動が生ずる場合でも構成される閉ループ 系を大域的に一様終局的有界とし ,所望の

制御性能を達成することを示した.また,検証実験では補助入力が望ましくない摂動 を抑え,ノミナル軌道追従SP–D制御則を使った場合よりも追従誤差を小さく抑制す ることを確認した.

(弾性環境に対する力制御問題への適用と外乱抑制性能解析)

関節空間の軌道追従制御問題だけでなく,手先が弾性環境に接触する場合の力制 御問題に対する制御則を提案した.提案した適応HアプローチによるSP–D制御則 は,ダ イナミクスモデルに含まれるパラメトリックな不確かさに対して物理パラメー タの更新により対処する.また,手先に加えられる外乱外力に対しては,外乱外力か ら位置誤差,速度誤差,力誤差で構成される被制御量までの制御系の誘導L2ゲ イン を有界とすることを示し,外乱抑制性能を有していることを表した.提案した制御則 の有効性を確認する実験では,外乱外力がない場合に制御目標を達成することを確 認し,またパラメータ更新則の効果を確かめた.さらに,外乱外力から被制御量まで の系の誘導L2ゲ インが1未満に抑えられ,外乱抑制を達成していることを検証した.

各制御問題に対する漸近安定性,一様終局的有界性および 外乱抑制性能の証明に,共通 して2次形式とは異なる整形されたポテンシャルエネルギー関数を用いている.第4章で まとめたエネルギ ー関数と飽和関数の性質および 関係がその根底にあり,非線形な補助変 数の構成が本研究の独創的かつ重要な鍵となっている.

この論文で議論した制御法では,整形されたポテンシャルエネルギー関数が非線形なSP–

Dフィード バック制御を誘導することを認識することが大切であり,力学的エネルギーの 点から考慮したマニピュレータ制御の理解を深める上で有効である.力学的エネルギーを 表す関数をリアプ ノフ関数としその安定性理論に依存したマニピュレータ制御法(リアプ ノ フベース法)は,今となっては古臭いところがあることは否めない.しかし,伝統的である が故に周知の手法であり,十分にまとめられ理解容易な制御法であるとも言える.リアプ ノフベース法を出発点に進めてきた本研究は,力学的エネルギーを考慮した他の手法,受 動性にもとづいた制御法の理解を深める上でも役立つと思われるところがある.特に,注 目してきたパラメトリックな不確かさや外乱に対するロバスト性についてはエネルギー整 形から誘導されるSP–D制御理論を補強し,実際にマニピュレータを制御する場合に避け ることのできない不確かさの問題に対する有効な制御法のひとつとして期待できる.

ドキュメント内 マニピュレータのロバスト 制御に関する研究 (ページ 116-119)