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V. 結論

V.1. 本研究の要約

1. 栃木県北部2市全ての中学校21校の野球部員(6年間延数2377名,総数1323名)

を対象としたアンケートとコンディショニング指導をおこなった.その結果,ケア 意識は向上し有痛率が減少したが,Home programの実践が伴わなかった.

2. コンディショニング指導により,身体に気をつけるようにすることは叶わなかった が,コンディショニング指導が役に立っていると,指導の継続を求めるものが有意 に高値をしめした.

3. ディトレーニングによる中学生野球部員の体力特性に低下は見られなかった.

V.2. 本研究の意義

本研究により,中学生野球部員の身体におけるケア意識の向上,有痛者を減少させる ことがあきらかとなった.野球における障害調査報告は,アンケート調査だけではなく,

多角的にも数多くなされている.しかし,中学生野球部員のみを対象とした障害調査報 告は少ない.また,複数年度にわたり観察研究をおこない,介入の前後比較,体力測定 を同時におこなった研究は中学生野球部員を対象としたものでは見当たらない.その中 での本研究における意義は大きいと考えており,予備研究において,8 割以上の中学生 野球部員が身体に痛みを感じると訴えていた有痛率を減少させることができた結果も非 常に有意義なものであると考えている.その痛みの原因は,障害予防意識の低さ,コン ディショニングに対する意識の欠如,障害予防の環境の悪さが痛みの原因の大きな要素 を成していることが示唆されたからである.

また,本研究において中学校入学前からの痛みが多い現状も明らかとなり(表3),そ の結果を踏まえ重要なことは,介入することによって痛みを軽減させるということでは なく,痛みの状況を把握することであり,継続した観察研究と介入研究によってケア意 識を持たせ定着させること.ケア意識の向上により有痛率がどのように変化するのかを 明らかにすることが重要かと考えた.中学校へ入学時点で痛みを訴えている生徒がいる ことを踏まえ,身体状況を把握し,継続した観察研究と介入研究をおこなうことにより 課題とされた障害予防意識を向上させ,実践を伴わせ,身体状況の改善につなげること が次のステップ(高校野球)への手助けになる.これが本研究の意義でもあると考えた.

本研究の目的は,中学生野球部員の身体状況における実態を明らかにし,同時に身体 状況の変化を捉えることである.本研究で明らかとなった指標が基となり,継続した観 察研究と介入研究が中学生野球部員の障害予防意識の改善,身体状況の改善に少しでも 寄与できれば幸いである.

V.3. 研究の限界

1. コンディショニング指導時期がオフシーズン(12月‐2月)と限られていることで ある.新入生が部活動参加を正式に決定した1か月後の6月にコンディショニング 指導をすることが出来れば,更に早い段階で障害予防意識を高めることが可能では ないかと考えるが,中学校行事等スケジューリングが困難であることが挙げられる.

2. 介入群に関して,介入受け入れ良好な中学校に限定されており,実際に講習会を開 いてもらっている立場から否定的な回答は答えづらいことも考慮する必要がある.

このため,結果の解釈は慎重さを求められる.

3. 中学生野球部員の相談相手として保護者が圧倒的に多い結果となっているが,コン ディショニング指導時の保護者の参加がなく,障害予防意識がどこまで高いのかが 把握できていない.時間のない中での介入で,自宅での運動が大きな割合を占める ため,保護者の協力は不可欠であると考える.

4. 体力測定においてまだ協力校が少なく,対象人数が確保できないことが挙げられる.

5. アンケート質問事項において,要因分析を念頭に置いた質問構成になっていなかっ た.

継続した観察研究においては,一定の成果をみることができたが,コンディショニン グ指導における今後の課題として,考察で下級生の障害予防意識の低さに触れた.入部 したての 6月頃にコンディショニング指導をおこない,早期に障害予防について実体験 してもらうことが求められる.また,保護者の積極的参加の呼びかけ,体力測定につい ては障害予防に関する提言をおこないながら引き続き依頼をかけていく必要がある.

謝辞

本論文は筆者が国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 保健医療学専攻 博士課程に在 籍中の研究成果をまとめたものである.同専攻の丸山仁司教授は,本研究の実施の機会を与えて 戴き,その遂行にあたって終始,ご指導を戴きました.本研究に必要であることは何も言わずに 稟議を通して頂き深謝しております.同専攻の下井俊典講師には,本研究の方向性を定めるのに 紆余曲折していた際,明快なご指示によりストーリー性を持った研究として構成することができ ました.時期的に大変ご迷惑をおかけいたしましたが,的確なご指導を戴けたおかげで,論文を まとめることができました.また,毎週の下井ゼミでのディスカッションは,自らの研究を考え る上で非常に勉強になりました.下井研究室のメンバーからも多くのご指摘やアドバイスを受け ることができたことに感謝しています.本論文の査読にあたっていただいた,主査の久保晃教授,

若江幸三良准教授,吉岡さおり准教授には,的確な助言を数多くいただき,本論文をより内容の 深い物へと導いてくださいました.この場をお借りして御礼申し上げます.

また,本研究にご参加いただいた中学校の野球部員の皆様や保護者の皆様,快くアンケート調 査にご協力いただいた各中学校関係者の皆様,体力測定において快く承諾していただいた黒羽中 学校野球部顧問 谷川氏,厚崎中学校野球部顧問 手塚氏に深謝いたします.最後に,本研究に 協力戴いたすべてのみなさまに深謝の意を表します.

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