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本研究における特別調査のデザインと方法 1 調査のデザイン

第4章  本研究の特別調査から見る目本の犯罪者の課題とニーズ

第3節  本研究における特別調査のデザインと方法 1 調査のデザイン

 本調査は犯罪者に対する量的調査と二つの質的調査から成る。全体のデザイ

ンは図4−1のとおりである。

図4−1:本調査のデザイン

裁判:懲役刑の宣告

舗↓↓

刑務所で受刑

(仮)釈放

2 調査の方法

 量的調査は、筆者が保護観察官をしていた γ成17(2005)年にfJ/)た調査 を再分析したものである。元調査は、保護観察対象者(刑務所からび)仮釈放者 および執行猶予者)130名とその担 t3保護eiJ 130名をセットにして、保護観察 対象者の意識・課題・ニーズについて、アンケート力式で尋ねたものである。

それに各保護観察対象者に関する基礎情報も得られたので、すべてのデータを コード化して一覧表を作成して分析した。そして、平成24(2012)年に、こ

のコード化したデータを方法を変えて改めて分析したものである。

 …方、質的調査は、刑務所から釈放されて東京都内の更生保護施設へ帰り、

その後無事に同施設を退所して社会に復帰し、調査時点まで再犯のない者10 名を対象にして、平成20(2008)年度から21(2009)年度にかけて行った。

約2時間の半構造化面接によって、各人から裁判以後調査時点までの心情や具 体的な生活の変遷を聴取した。そこから、犯罪を巡る本人の洞察や更生の保護

要因を探った。

 この二つの調査は個々にみると、調査の規模が小さいことと、f 後の再犯の 有無を確認できないことに大きな制約がある。その分、調査の設計を1:夫した。

すなわち、量的調査で得られた犯罪者グループの特徴について、質的調査の個

別の対象者がどれくらい共有し、あるいは克服しているかを見て、iiili方の調査 の結果を合わせて再犯のリスク要因と保護要因に関する分析へと繋げた,1さら

に、筆者が平成20(2008)年度に日本の15か所の更生保護施設幹部職員に行

った質的調査の成果を、上記二つの調査の結果を補強するものとして川いた、、

3 性犯罪者に対する調査を犯罪者一般に般化することについて

 ところで、当研究の量的調査は性犯罪者を対象に実施したものである。ソ∫、

質的調査の被調査者の罪名は多様であるが、両調査の被調査者の母集団には大

きな差異はないという前提で分析を進めた。

 量的調査では、性犯罪者特有の性意識や性欲充進の機制に関する事項を直接

の調査事項とせず、犯罪者全般に共通すると思われる自己認識、認知、責任意

識などの特性や更生過程で当面する課題やニーズについて尋ね、分析した。性

犯罪者とその他の犯罪者の特性の異同については、性犯罪者の多くは他種の犯

罪も行っており、性行動の機制については差があるとしても再犯リスク要因と

してはマイナーなものであり、それ以ヒに有力な再犯リスク要因である反社会

性、社会的孤立、態度と行動の関連等にっいては大差がないという認識が実務

家や研究者に共有されているが、実際にカナダ矯llヨ。1所属の犯罪心理学者であ るハンソン(Hanson, R, KarDその他による二つσ)メタアナリシスリや米国ワシン

トン州矯正当局の追跡調査10によると、性犯罪者の多くは多罪種の犯罪も行う者 であることが示されている。

 今般の量的調査においても、被調査者の4分の1には性犯罪以外の罪種の犯 罪前歴があった11。さらに、性犯罪の根底には愛着障害、認知の歪み、人間関 係障害、感情統制の悪さなどがあるとされ12、むしろ、性犯罪者は犯罪者全般 に共通する特徴を非常に素朴な形で体現していると言える。カナダのメタアナ リシスでも、性犯罪者の問題特性や再犯リスクはその他の犯罪者とそれとほぼ 同じことが検証されている13。加えて、性犯罪者の性的ファンタジー自体も他

罪種の犯罪者と大きく違わないという研究14もある。

 以上を総合して性犯罪者のもつ問題性と他罪種の犯罪者のそれとに大きな差

はないと判断し、本論文では当調査の結果を一般の犯罪者にも般化して、議論

を進めることとした。