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本学における電子教材開発支援の現状と課題

ドキュメント内 情報教育研究センター年報 2003 (ページ 52-67)

由紀子 キーワード :教材開発支援、授業コンテンツ、オーサリングツール

Yukiko, OKADA 情報教育研究センター助手

The present condition and the subject of electronic teaching­materials development support in Mukogawa Women's University

1.はじめに

大学では将来、あらゆる授業において、コンピュー タやインターネットなどを活用していくためには、質 の高いコンテンツの充実が必要となる。

そのため、武庫川女子大学情報教育研究センター

(以下、センターと略す)は、平成14年度より自主学 習用の電子教材作成のためのオーサリングツールの開 発をはじめ、教育的ニーズはありながら、教員単独で は難しい動画を含む教育用コンテンツの開発支援に取 組んできた。

本稿では、平成15年度から平成16年度前期にかけて センターが取り組んだ、電子教材開発支援の現状と今 後の課題について報告する。

2.学外の状況

メディア教育開発センターが、全国の高等教育機関

(大学本部、大学学部・研究所、短大、高専)に対し て行った『「高等教育機関におけるマルチメディア利 用実態調査」4年間(1999年〜2002年)の変化』1)

によると、「録画授業のWWW上への掲載」を行って いる大学(以下の%の値は、4年制大学の2002年の値 を示す)は6.6%とまだまだ少ないものの、「パーソナ ル・コンピュータ(パワーポイントなど)によるプレ ゼンテーション」が使われている率は約85%と非常に 高く、「マルチメディア教材の自作」が行われている 率も46%と半数近くに上っており、マルチメディア教 材を自分の授業に利用したり、自作したりする教員が 増えていることがわかる。(表1)

また、学内支援組織の設置では、マルチメディア利 用のための「支援センター」、IT利用に関する「全学 委員会」ともに7割前後の大学が支援組織を設置して いることが明らかになった。(表2)

さらに、最近では、教員に対するマルチメディア教材 開発のサポートを、外部委託している大学も少なくない。

表1 マルチメディアの利用状況

(「よく使われている」+「ある程度使われている」)

〈4年制大学〉

N=回答数

1999年

N=1972

2000年

N=1948

2001年

N=1718

2002年

N=1908

パ ー ソ ナ ル ・ コ ン

ピュータ(パワーポ イントなど)による プレゼンテーション

65.5% 66.9% 78.4% 84.5%

マルチメディア

教 材 の 自 作 37.0% 37.4% 41.0% 46.0%

録画授業のWWW上

へ の 掲 載 10.6% 3.1% 4.4% 6.6%

出所:メディア教育開発センター「高等教育機関にお けるマルチメディア利用実態調査」(2003)より作成

表2 支援組織の設置 (設置している)

〈4年制大学〉

N=回答数

1999年

N=1972

2000年

N=1948

2001年

N=1718

2002年

N=1908

支 援 セ ン タ ー 55.0% 58.4% 58.4% 64.1%

全 学 委 員 会 62.8% 68.8% 68.7% 73.5%

出所:メディア教育開発センター「高等教育機関にお けるマルチメディア利用実態調査」(2003)より作成 3.学内の状況

本学では、平成14年から利用が開始された日下記念 マルチメディア館(MM館)をはじめ、これまでハー ド面のインフラ整備に力を注いできた結果、マルチメ ディア教室(注1)やネットワーク(注2)を利用した、

さまざまな授業形態が可能になった。

そのため、最近ではパワ−ポイントなどでプレゼン 形式の授業を行っている教員が多くなり、教員の中に 教材の電子化に対する関心が高まっている。

しかし、電子教材に利用されているコンテンツの形 態は、テキストと静止画を中心としたコンテンツが主 流で、ストリーミング配信を含めた動画の利用はまだ 本格的には行われていない。

こうした状況を踏まえて、センターでは「教材の電

子化に関する懇話会」を年数回開催し、学内で先進的 な取組みを行っている教員の紹介や、センターが三菱 電機と共同開発しているオーサリングツール(動画ア ノテーションツール)の説明やデモの紹介を行い、教 員に対して動画を含む電子教材の開発を勧めてきた。

(図1、表3)

図1 ツールによるデモ教材の一画面

表3 懇話会で紹介されたデモ教材 服 飾 史 Ⅰ 14分 生活環境学科 濱田 雅子 卒 論 発 表 22分 生活情報学科 福 井 ゼ ミ 視聴覚教育 16分 共 通 教 育 部 小野賢太郎 保 育 教 材 9分 教 育 学 科 八木 義雄 施 設 説 明 28分 情報教育研究センター長

※現在の生活環境学部情報メディア学科

(注1) マルチメディア教室とは、マルチメディア 卓(連携・遠隔授業、Web・書画カメラ・

ビデオ・DVDの投影をタッチパネルで操作)

を備えた教室。

(注2) 学内LANに約3000台のPCが常時接続され ている。

その後、学内の教員の中から2名の協力を得、授業 コンテンツの電子化に取り組んだ。

4.取組みの概要 4−1 教材開発メンバー

濱谷 英次(情報教育研究センター)

岡田由紀子(情報教育研究センター)

阿倍 博信(三菱電機株式会社)

北村 和恵[前期](スペック)

永山 由佳[後期](スペック)

【メンバーの役割】

センターは、教材開発の計画と調整(教員・開発 者)、三菱電機(三菱電機・スペック)は、オーサ リングツールの開発と電子教材の作成を担当した。

4−2 使用機材

É

家庭用デジタルビデオカメラ(2台)

〔撮影は2名で行う〕

É

三脚(2台)

Éデジタルカメラ(1台)

É

マイク

Éパソコン(CD‑RWドライブ内蔵)

É

ビデオデッキ

Éスキャナ

2台のデジタルビデオカメラの内、1台は全景、

1台は角度を変えてアップを撮影した。

撮影時の注意点として、後の編集を簡単に行うた めには、2台のカメラのスタートとストップのタイ ミングを合せる(言葉や映像で画面の区切りを入れ る)ことが重要である。

4−3 使用ソフト

Éワープロソフト

É

メールソフト ★

ÉWindows Media Player

7.1 ★

ÉInternet Explorer(IE) 6.0

ÉPhotoshop

7.0

ÉPremiere

6.5

Éオーサリングツール(表4)

(映像アノテーションツール)

教員にマスターしてほしいソフトは★印だが、

Photoshopなどの知識があり、「この映像をこのよ

うに」と指示してもらうと開発者は非常に助かる。

また、最初の打合せで、教員のパソコンスキルや情 報機器の環境について、詳しい状況を調査する必要 がある。

電子教材のコースウェアの開発方法には、学内で の開発、部分的に外部の力を借りての開発、全て外 部の力を借りての開発などがあるが、本学では、将 来的には、本学の教員自らが電子教材を作成できる ことを目指している。

表4 ツールの主な画面構成

フレーム名 概 要

インデックス フレーム

目次にあたる。項目を選択すると、

その内容から映像が再生される。

映像フレーム

映像再生を行う。一時停止/再生や、

シークバーつまみをドラッグするこ とで、再生開始の変更などを行える。

テキスト フレーム

予め指定しておいたタイミングで、

文字列が表示される。キーワードや 追加コメント等を表示する。

URLフレーム

予め指定しておいたタイミングで、

URLを表示する。

4−4 教材作成の流れ 1)構想・取材(打合せ)

何を、いつ、どのように作成するのか、参考資料 の有無、形式などを確認する。

2)シナリオ作り

原則として教員が行い、開発者は助言を行う。

3)素材づくり(動画や写真などの撮影)

授業を撮影する場合は、初回に学生に対して撮影 の趣旨説明を行い、私語をしないように注意する。

また、学生が撮影対象となる場合、本人に撮影許 可を取り肖像権に配慮する。撮影には撮り直しがき かない場合があり、録音テープの交換時期などに注 意する。

4)素材の整理(絵・文字・音声など)

絵、文字、音声など様々な素材を扱うため、デー タファイルの整理を心掛け、特にバックアップ等の 管理を怠らない。また、教員が必要な資料の出典を 整理する。

5)教材の編集(検討・修正)

教員と開発者の間で教材の編集(検討・修正)を 繰り返す。教材開発には両者の綿密な情報交換が必 要になるが、電子メールは時間・場所を選ばず忙し い教員にとっては有効な手段となる。

6)メディアへ教材を出力

編集が完了した教材を、

CD‑ROMやイントラネッ

トサーバなどに出力する。

5.教材内容

5−1 (A)「西洋服飾史」(図2、表5)

É

濱田雅子教授(生活環境学科)

É古代、中世、近世、近代、現代の服飾史 É

授業そのものを電子教材化

É15年度前期の短大1年「コスチューム文化史」の

全授業(12回:各90分)を撮影

É教材画面は、インデックスフレーム、映像フレー

ム、テキストフレーム、URLフレームに分かれ ている

5−2 (B)「舞踊教育学」(図3、表6)

É徳家雅子助教授(健康・スポーツ科学科)

É

ダンスの授業の導入部分の電子教材化

É15年度後期にダンス部の学生による創作ダンスを

テーマごとに撮影し、ダンスの基本的な動きを教 材化

É

11教材(各30分)

É教材画面は、映像フレームの下に動画と連動した

説明を表示

É画用紙の一筆書きをPremiereやPhotoshopで加工

し、動画や静止画の上に重ねる

図2 「西洋服飾史」教材の一画面

表5 「西洋服飾史」の教材内容一覧 第1回 古代(衣服のはじめ他)

第2回 古代(西アジア地方の服飾他)

第3回 古代(ギリシャ人の服飾他)

第4回 古代(ローマ人の服飾他)

第5回 中世(ビザンティン帝国の服飾他)

第6回 中世(ゴシック時代の服飾他)

第7回 スライド(南仏の旅から)

第8回 近世(16世紀の服飾他)

第9回 近世(17世紀の服飾他)

第10回 近代(フランス革命期と総裁政府時代の 服飾他)

第11回 現代(初期現代衣装他)

第12回 現代(現代の服飾−大戦後の服飾他)

図3 「舞踊教育学」教材の一画面

表6 「舞踊教育学」の教材内容一覧

Vol.0

身体でどんな動きができるか?色々試し

てみよう

Vol.1

ポーズから動きを作る

Vol.2

一筆書きで動きを作る

Vol.3 Lead

Vol.4

9Point

ドキュメント内 情報教育研究センター年報 2003 (ページ 52-67)

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