• 検索結果がありません。

時系列データの直接操作に基づく視覚的分析における問題点

ドキュメント内 首都大学東京 (ページ 36-39)

2.3.3

節で示したように

,

時系列データに対して

semantic interaction

に基づくインタフェースを

実装する際の問題点として

,

以下の

3

点が想定される

[87].

3.2.1

時間軸上でのインタラクションの衝突

本節において

,

時間軸とは

,

散布図や線グラフを構成する軸のような画面

(

空間

)

上の表現ではな

,

インタフェース上で経過し

,

分析者の体感として経過する実時間に対応する

.

データ表現に時 間軸を用いる可視化手法として

,

アニメーションが代表的である

.

アニメーションの再生に伴い

,

オブジェクトの配置は変化する

.

一方で

,

直接操作に基づく視覚的分析では

,

インタラクションに よっても画面上のオブジェクトの配置は変化する

. 2

つの配置の変化は共に時間軸上で発生する

.

そのため

,

パラメータの調整結果をフィードバックする際に

,

1

のようにアニメーションによる オブジェクトの移動と

,

直接操作による移動が時間軸上で衝突すると考える

.

そのため

,

分析者は オブジェクトの配置の変化が直接操作に起因するのか

,

データ自体の時間的変化に由来するかを 判断しづらくなり

,

インタフェースの直感性が喪失してしまうと考える

.

このとき

,

アニメーショ ンを用いずに

, small multiples

等の手法を用いて時系列データを可視化する手法も考えられる

.

かし

,

時点数が増えた場合に画面領域が足りなくなったり

,

操作適用済みの時点を判断しづらくな る問題が想定される

.

以上の理由より

,

時系列データの視覚的分析に対して

semantic interaction

を適用する場合

,

時間軸上でのインタラクションの衝突が問題点として想定される

.

3.2.2

時空間軸間でのインタラクションの衝突

Semantic interaction

では

,

直接操作は可視化されたデータオブジェクトに対する空間的な配置

変更として行われる

[23]. 3.2.1

節で述べた時間軸における衝突と同様に

,

オブジェクトが配置さ れたインタフェースの画面

(

空間座標

)

を空間軸と定義する

.

この時

,

オブジェクトへの直接操作

1.

時間軸上でのインタラクションの衝突例

は空間軸に対するインタラクションとして解釈できる

.

一方で

,

再生速度の変更などの操作は

,

間軸に対して行われる

.

この時

,

視覚的分析インタフェースにおいて一部の操作は

,

時間軸・空間 軸の両方を適用対象として持つため

,

操作の適用対象に関して

,

時間および空間軸間の衝突が生じ る

.

例えば

,

2

の左に示すように

,

特定のオブジェクトに対する類似オブジェクトを検索する操 作を実行した場合を考える

.

このとき

,

操作の解釈手法として

,

特定時点でのみ配置が近接するオ ブジェクトを検索するか

(

空間的な類似

),

全時点における時間的な値の変化傾向が類似するオブ ジェクトを検索するか

(

時間的な類似

)

について

2

通りが考えられる

.

そのため

,

適用結果が分析 者の意図と異なりうる

.

衝突を回避するために

,

時間的変化をアニメーションの様に時間軸上の変動として描画する モードと

,

折れ線グラフの様に配置により描画するモードを別々に用意し

,

両者を相互に切り替え るシステムも考えられる

.

しかし

,

分析者の操作に基づきモード間の遷移を暗黙的に行う場合

,

解釈による分析者の混乱が起こりうる

.

また

,

複数の可視化手法を明示的に切り替えたり

,

複数の ビューとして並置する場合

,

画面の切り替えによりインタラクション数が増加したり

,

必要となる 画面領域が増大するため

,

ユーザビリティ低下の原因となりうる

.

時空間軸間での衝突が発生しうるインタラクションとして

, 2.1.1

節で述べた

Yi

らによるイン タラクションの分類

[97]

では以下が該当すると考える

.

Select:

興味のあるオブジェクトの選択

Abstract

/

Elaborate:

データの詳細度の変更

Filter:

特定の条件に従うデータを提示

Connect:

対象オブジェクトの関連オブジェクトの提示

Select

操作の場合は

,

空間上のオブジェクトの選択と

,

時系列データ内の興味のある時点に関す

る選択が考えられる

. Abstract/Elaborate

操作における衝突の例として

,

時系列データに対して詳 細を確認するために拡大

(

ズームアップ

)

操作を行った場合

,

空間的に拡大表示したいのか

,

再生 速度を遅くしたいのか

, 2

通りの解釈が想定される

. Filter

操作の該当例としては,図

2

に示した ものが挙げられる

.

加えて

, Filter

操作では

,

空間上への可視化に直接用いない

,

オブジェクトの名 称を対象としたフィルタリングも想定されるため

,

それらの判別は困難になりうる

. Connect

操作 に関しても

,

関連オブジェクトの判断に関して図

2

と同様の問題が発生する

.

(空間的解釈)

(時間的解釈)

全ての時点で類似するオブジェクト 特定の時点で類似するオブジェクト

類似 オブジェクト

の検索

オブジェクトの選択

Time: t

Time Time: t

t Time

システム: どちらの意図で操作されたかを解釈困難 図

2.

時空間軸間でのインタラクションの衝突例

3.2.3

可視化手法間のトレードオフ

可視化されるデータ数が増加した場合の視覚的混乱や重なりの発生への対処は

,

情報可視化・

視覚的分析における一般的な課題である

[97].

特に

,

時系列データの視覚的分析では

,

この問題に 加えて時間軸における変化の把握が必要となる

.

そのため

,

認知的負荷を抑制しながらデータの時 系列変化を把握できる可視化手法が必要である

.

アニメーションを用いた可視化手法は

,

データの変化概要を認識するタスクに関しては静的可 視化よりも有効であることが示されている

[47].

そのため

,

聴衆にデータの傾向を理解させるス トーリーテリングのような用途では有効といえる

.

しかし

,

探索的分析などにおけるデータの時 間的特性の把握にアニメーションを用いた場合

,

再生/静止の繰り返し操作に起因する認知的負荷 の増大や

,

探索の正確性・速度の低下が問題点として報告されている

[72].

一方で

,

軌跡や

small

multiples

のような

,

アニメーションを用いない可視化手法は

,

探索の正確性や

,

複数時点の比較に

関してアニメーションより有効であるとされている

[72].

しかし

,

前者は多数のオブジェクトが 存在する場合に点の重なりが生じ

,

直接操作が困難となる

.

後者の場合には

,

可視化結果が占有す る画面領域が広くなり

,

探索時間や認知的負荷が増大する

[72].

また

, small multiples

のような複 数ビューを用いる可視化手法に

semantic interaction

を適用する場合

,

パラメータへの操作適用結 果を各画面について個別に確認する必要があり

,

分析者は負担が大きくなるため

,

指標構築タスク に対しては不適切と考える

.

このように

,

時系列データに対して一意に有効な可視化手法は存在しない

.

そのため

,

分析目的 や対象データに応じて複数の手法を組み合わせる必要がある

.

ドキュメント内 首都大学東京 (ページ 36-39)