続いて,これら計算結果をもとに,フレーミングを表現した予約語(例.LONG,CLOSE など)の指示に従い,指示を実現するための縦横のフレームサイズを計算する.ただし,
フレームの縦横比は一定とする.このh2,w2 とh1,w1のサイズ比kを計算し,視点の座 標位置と注視点座標を結ぶ距離l1 に乗算することで,目的のフレーミングを満たす視点 と注視点の距離l2を算出することができる.このカメラ距離を基に,撮影指示に基づいて カメラ配置モデルの横位置と縦位置へ移動したものが最終的なカメラポジションとなる.
4.4.2 クレーンダウンの決定例と出力例
続いてクレーン操作の実現について説明する.クレーン操作とは,機械式のクレーンを 用いてカメラを移動させながら撮影ターゲットを捉える方法である.本節では,具体的な クレーン操作を先述のロングショットと同様の部屋に入ってきた人物とその移動の撮影に 適用する際の手順について述べる.まず,実際にクレーン操作を模したカメラワークであ る,クレーンダウンを適用した例を図4.9に示す.
クレーンダウンは登場する人物を俯瞰的なカメラポジションから撮影し,人物の移動に あわせて徐々にカメラポジションを下降させていくカメラワークである.よって,4.4.1 節で述べたロングショットと異なり,カメラポジション決定の前処理においては,視点注 視点ともに「移動」という指示を付加する.クレーンダウンの場合,視点注視点ともに移 動する性質を持つため,ロングショットの場合のようにフレームから撮影対象が外れるか どうかの判定なしに,開始時点のカメラ位置から終了時点のカメラ位置へと徐々に移動さ せることでクレーンの動きを実現できる.したがってクレーン操作の実現には,クレーン 開始フレームにおけるフレーミングの指示とクレーンダウン終了時におけるフレームでの フレーミングの指示からそれぞれ基本の位置決定方法で計算したカメラポジションを用 い,この開始と終了フレームにおけるカメラポジション座標を線形補完したものをクレー ンを適用する場面の総フレーム数で分割する.この分割されたフレームにおけるそれぞれ の注視点を各フレームごとの撮影ターゲットの中心座標としてカメラの移動と同期させる ことにより,クレーンダウンを模すことができる.
4.4.3 2 名の人物によるインタラクションの演出例
2 名の人物が将棋を指している状況を例として,映像作家による絵コンテと,絵コン テに基づいたCinematized Realityシステムによる出力例,およびカメラ配置について図 4.10に示す.
図4.9 クレーンショットの例
図4.10 将棋を例としたインタラクションの演出例
図4.10においては,まず人物AとBが将棋を指している様子を説明するためにロング ショットを用いている(図中の ). ではAが駒を指すことに注目させたいのでクロー スショットを用いて手と将棋盤を強調している. も同様にBの次の一手を視聴者に注 目させるものだが,ここではズームインというカメラワークを用いて,より強調させる 手法が用いられている. では再度Aの一手を捉えているが,今度は俯瞰というカメラ ワークにより,静的な演出がなされている.コンテを作成した映像作家によると,直前の
伴,劉イ砲 いて動きのあるカメラワークを用いていることから, い砲 いては静的な 俯瞰ショットとしたとのことである.また,この い旅堝阿 物語的に直後の イ箸い 賁 のトリガとなるため, イ搬仂氾 なカメラワークにすることで強調する狙いがあったとの ことである.そして では, で決定的な一手を打たれた人物Bが苦悩する様子をバス トショットという表情に注目を集めるカメラワークを用いて表現している.続いて, Δ は次の一手が見つからない人物Bが将棋盤をひっくり返すという,いわゆる「オチ」にあ たる場面を,タイムスライス*10という,場面を非常に強調するカメラワークを用いて表現 している.
4.3.3節でも述べたように,現状ではこれらのカメラワークはアノテーションされたイ
ベント毎に指定する必要があるが,コンテと出力例を比べてもわかるように,細かい違い はあるものの基本的にはカメラの配置が再現できていることがわかる.