F(。、+δ。,).F(。,)。匂旦。… (・。・3)
∂x 工=Xr
式(4.13)の右辺第1項はF(Xt)=Xt.1であるから,第2項までを式(4.12)に代入すると,
δXtに関する写像を得る.
δκr+1=DF(xご)δx∫ (4.14)
ここに,DF(Xt)は点XtにおけるFのヤコビ行列であり, Fの第i成分をF、, Xtの第」成分 をx3とすれば,つぎのように表される.
DF(κ,)=
このリアプノフスペクトルにおいて,少なくともリアプノブ指数の最大値(最大リアプノ ブ指数)が正であれば,式(4.11)の解はカオスの特徴である軌道不安定性を有する.
(b)時系列データにおけるリアプノフスペクトル
(a)に示した手順は,定式化された力学系に対するものである.実験や観測で得られ た時系列データでは,もとの力学系そのものが未知であり,式(4.15)のヤコビ行列を求 めることはできない.しかし,再構成した軌道のある一点に注目すれば,その近傍には他 の点が存在し,これらの点との変位ベクトルを式(4.14)の微小変位ベクトルと見なすこ とができる.そして,これらの点がつぎのステップにおいてどれだけ変化したかを評価す ることでヤコビ行列を推定する(Sano and Sawada,1985).まず再構成された軌道上の一 点Xtを中心に,微小半径εのm次元空間内の超球を考える.この超球に入る軌道上の他の 点Xk、をM個(i=1,2,…,M)選び出し, Xtに対するM個の点の変位ベクトルy、=Xk、−Xt
を微小変位ベクトルとみなす.時間τの経過後を考えると,XtはXt.。に, Xk1はXkl.。に変化 する.したがって,時刻t+τでの変位ベクトルをz、とすると,z、=Xk、+。−Xt.。となる.ここ で,超球の半径と時間τが十分に小さいとすると,yiとZiの関係は線形近似が可能であり,
ある行列Gtを用いてz、=Gt y、と表せる. Gtは式(4.15)のヤコビ行列の近似とみなすこ とができ,最小2乗法により次式のように与えられる.
Gτγ灘c
y ㍉MΣ国
−三
.ズ
C
︐
y
万MΣ河⊥M
戸
(4.20)ここに,▽1:行列Vの第j1成分, C」1:行列Cの第j1成分, yi」:y、の第j成分, z、、:z、の第
」成分(j,1=1,2,…,m)である.このGtを式(4.16)のDFとし,式(4.17)から(4.19)
の計算により,時系列データに対するリアプノフスペクトルが求められる.
(c)時系列データにおける最大リアプノブ指数(Sa七〇ら,1987;長島・馬場,1992)
この方法において,注目点とその近傍の点の距離が時間とともに増加していく様子を表 そうという基本的な考え方は(a),(b)と同じである.ある注目点とその近傍の点につい て,現在と一定時間後の2点間距離の比を計算し,これを数多くの点について行い平均す るというものである.具体的にはまず,再構成した軌道上の点の集合でなるべく近い2点 Xtp Xk〕のペアを作る.この2点の時間変化を追いながらτ間隔の距離の比
lx、.。−x細1
(421)
ム∫(ちτ)−
Ixグ刷
蒙タタ
05 0.4 × 03
自
・く 0.2 0.1 0.0
4 6 8 10 12 14 16
m
(a)尻羽岬
05 0.4 × 0.3 9
≧ 0.2
0.1 0.0
4 6 8 10
m
(b)松前
12 14 16
0.5 0.4 × 0.3 9 k O.2
0.1 0.0
4 6 8 10 12 14 16
m
(c)温海
05
0.4 × 0.3 9 ぺ 0.2
0.1 0.0
4 6 8 10
m
(d)石廊崎
12 14 16
×窪 ぺ
543210000000
4 6 8 10 12 14 16
m
(e)経ケ岬
0.5 α4 ×0.3 9
・< α2 0.1 0、0
4 6 8 10
m
(f)佐多岬
12 14 16
窪ぺ
54︐3210 000000
4 6 8 10 12 14 16
m
(g)喜屋武岬
囎一r=10
−e一ド20
−一s霧ト〜 r=30
一翻一ド40
−{≡}一・ r=50
図一4.8 最大リアプノブ指数
を求め,多数のペア(j=1,2,…,N)について次式のような平均操作を行う.
〈bg卿〉一÷かg姻
これにより,τの間のリアプノブ指数に相当する値
λ(ち・)一旦〈1・9∧(ち・)〉
τ
を求める.この値は最大リアプノブ指数の評価となる.
単で計算に要する時間も短い.
(422)
(4.23)
この方法は(b)の方法よりも簡
ここでは(b)の方法を用い,これにより求めた最大リアプノブ指数を図一4.8(a)から
(g)に示す.軌道再構成の遅れ時間rを10,20,30,40,50時間の5通り,埋め込み次元m を5から15の11通り,式(4.19)のNを600として計算を行った.これらの図から各地 点のいずれの場合も最大リアプノブ指数は正値となっており,温海と経ケ岬を除いてはm
=10の辺りで概ね変化が緩やかになっていることがわかる.よって,この結果からは各地 点のデータともカオスである可能性をもつと考えられる.
4.2.4 再構成軌道における時間発展の方向特性
4.2.2,4.2.3で述べた方法は,時系列データのカオス性を調べるのに広く用いられてき たが,相関積分には先述のような問題点があり,4.2.3に示したリアプノブ指数の求め方に 対しても,明らかにカオスでないデータに対して正値を与える場合のあることが指摘され ている.本項では,再構成軌道の力学的特性を検討するもう1つの方法を用いて,有義波 高データの解析を行う.この方法は,近接した軌道の方向が局所的に揃っているならばカ オスであるという基準によるものである。以下に,Kaplan and Glass(1993)および Waylandら (1993)による時系列解析方法にっいて述べる.まず,再構成した軌道上で M個の点Xtiを無作為に選択し,それらの各々にっいてK個の近接点X、」(i=1,…,M;j
=1,…,K)を見つける.時間τ経過後の各点をXw戊とし, Wi」=X画」−XI」と定義する.時 系列がカオスであるならば,適当な時間スケールτで見た場合にW、。の方向が揃っているこ とになる.Wi。の方向の分散を次式で定義されるEの値で評価する.
κΣ回
⊥K
=
E
叱,、一く酬2