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日本食品普及状況調査

ドキュメント内 タイの食品市場(国庫用)訂正.PDF (ページ 105-152)

(1)しょう油 

タイで通常消費されているしょう油は、日本のしょう油とは少し異なる中国系のしょう 油である。日本のしょう油に一番近いものは、シイウカーオ(白しょう油)と呼ばれるも ので、色は日本しょう油よりも薄いが、味は非常に似ている。他にも、白しょう油に砂糖 などを足し、味を調えたシイウダム(黒しょう油)や、しょう油ベースのシーズニングソ ースなどが多数の会社からさまざまな種類が出されている。 

シイウカーオ(白しょう油)は、各社共にプロテインの含有量に従いグレード分けした 数種類の製品を出しており、多いものでは 5 段階(Formula 1 から Formula 5)にグレード 分けしている会社もある。価格はグレードの最も高いものと低いものとで約 3 倍異なり、

あらゆる所得層に対応している。 

バンコクポスト紙(1999 年 11 月 11 日付)によれば、タイの調味料の市場規模は約 100 億バーツとされており、そのうちナムプラー(魚醤)が 50 億バーツ、シーズニングソース が 15 億バーツ、粉末調味料が 12 億バーツ、醸造しょう油および大豆ペーストが 9 億バー ツ、チリソースおよびオイスターソースが 5 億バーツ、ケチャップおよび蒸留酢が 4 億バ ーツの市場規模を有している。 

タイのしょう油市場で最大手である Dek Somboon (Healthy Boy)印のしょう油を製造する Yan Wal Yun 社は、国内市場の 50%のシェアを有しており、欧州、米国を中心に年間 3,800 万バーツ(1999 年)の輸出も行っている。近年、調味料の輸出は成長傾向にあり、各社共 に外国市場の開拓に力を入れている。 

現在、バンコクの一般的なスーパーマーケットで販売されている輸入品の日本しょう油 は、シンガポールで製造されたキッコーマンのしょう油のみである。伊勢丹やフジスーパ ーといった、日本人向けスーパーマーケットでは、日本から輸入されたしょう油が日本の 価格の2−3 倍で売られているが、タイ人が日本のしょう油を料理に使うことはないため、

タイ人向けのスーパーマーケットでは中国系のしょう油のみを扱うところがほとんどであ る。 

一方、日本企業がタイの企業と提携し、現地で日本のしょう油を醸造するケースも出て きた。日本で5番目に大きいしょう油製造会社であるヤマモリトレーディング社はタイの 大手ビール醸造会社であるブーンロートブリュアリー社と合弁で年間 150 万リットルの製 造能力を持つしょう油工場を 1997 年にタイ北部に立ち上げた。製品の販売先としては、タ イ国内の日本料理店、日本食製造工場、日本人の利用するスーパーマーケットを対象とし ている。このしょう油はシンガポールから輸入されたキッコーマンのしょう油よりは安く、

現地の中国しょう油よりは高い価格設定で、味は純正の日本しょう油である。また、イン ドシナの近隣諸国や香港などへの輸出も行っている。 

先述の Yan Wal Yun 社も、Dek Somboon (Healthy Boy)印の「Japanese Soy Sauce」の製

造をはじめ、同様の市場をターゲットにしていると思われる。 

 

(2)魚介類 

①ツナ缶詰 

  現在、タイは世界一のツナ缶詰の輸出国である。ツナ缶詰を製造する工場はバンコクに 隣接するサムットプラカーン県、サムットサーコン県を中心に全国に 30 ヵ所ある。輸出は 年々増加しており、2002 年のツナ缶詰の輸出は内容量で 26 万 8,262 トン、額にして 240 億 8,900 万バーツであり、今年 2003 年はさらに 27%増加して 34 万 537 トン、292 億バーツの 輸出が見込まれている。主な輸出先は米国、EU、カナダ、オーストラリアである。 

しかし、タイにはマグロ漁ができる大型漁船は一艘しかなく、トロール漁の経験がある 漁師もほとんどいないため、ツナ缶詰の原材料の魚は約 80%を輸入に依存している。原材 料として輸入される魚はシマカツオが最も多く全体の約 8 割、残りはキワダ、ビンナガ等 のマグロが占める。魚の主要な輸入先は日本、韓国、台湾などであり、タイはこれらの国 から輸入した冷凍魚を缶詰に加工して欧米に輸出することで利益を得ている。 

  一方、ツナ缶詰の国内消費は、全体の生産量のわずか 10%にすぎない。しかし、2003 年 の市場規模は約 6 億バーツで、2002 年に比べて 15%の成長が予測されており、国内のツナ 缶詰市場は急成長中である。これまで、タイでは魚の缶詰といえば、イワシの缶詰が最も 一般的な製品であり、価格もツナ缶詰の約 5 分の1と手頃であった。しかし、ここ数年、

ツナに含まれる DHA の効用が注目されるようになり、健康食品ブームも相まって、価格は 依然として割高ではあるものの、ツナ缶詰を選ぶ消費者が増えており、消費が急速に伸び ている。各メーカーも国内の景気の回復を見込んで、国内市場の開拓に投資をするように なり、Nautilus ブランドを製造する Pattaya Food Industries Co., Ltd.や、 Select ブラ ンドの Thai Union Frozen Products Plc.などの輸出大手が、国内向けにツナ缶詰が低脂肪 でヘルシーな食品であることを売りにした広告を大々的に行っている。Thai Union Frozen  Product Plc.は 1988 年設立、三菱商事(出資比率 3.14%)、はごろもフーズ(同 2.1%)。 も出資している。 

  また Thai RuamSinPattana Industrial Co., Ltd.は異なる価格帯の複数のブランドのツ ナ缶詰を製造しており、日本のはごろもフーズのシーチキンも主に輸出向けに製造してい る。このシーチキンはタイ国内でも一部のスーパーマーケットで販売されているが、日本 人向けスーパーマーケットで販売される日本製の同商品と比べると、グラム当たりの価格 は約7分の1と格安なものの、他のタイブランドの製品と比較すると割高である。 

         

② 練り製品(すり身) 

タイ語で「スリミ」と言えば、そのまま魚のすり身を指す程、タイでは練り製品は広く 知られている。「スリミ」は一般的にタイで食べられている魚のすり身製品とは区別されて おり、カニ風味かまぼこなど、主に日本への輸出用に作られる、高級な魚の白身を使った 練り製品を「スリミ」と呼ぶのである。 

一般にタイで食べられているすり身製品には団子状のルークチンや小判型のトードマン と呼ばれるものがあり、ルークチンに使われる魚は主にサワラなどの近海で獲れる魚で、

トードマンに使われる魚は主にナマズ科の淡水魚である。ルークチンはすり身を団子にし て加工したものがスーパーマーケットなどで販売されているが、トードマンは主にペース ト状のものが売られ、ペーストを買って、家で形を整えながら揚げるのが一般的である。 

タイで「スリミ」が作られるようになって 20 年以上が経ち、現在タイは、米国、日本に 次ぐ生産量を誇っている。輸出用の「スリミ」を製造している工場は 2000 年現在で、全国 で 12 ヵ所あり、原材料にはイトヨリ、キントキ、エソ、ニベなどの日本側の指定した魚を 使って製造される。2003 年の 1 月から 8 月までに輸出されたすり身製品は合計 7 万 1,159 トンで、輸出先は日本が全体の 68.5%で、次いで韓国 11.5%、シンガポール 6.2%であっ た。しかし、タイでは原材料となる魚の捕獲量が年々減少しており、中国やベトナム、フ ィリピンなどから魚を輸入し、すり身に加工する工場が増えている。 

「スリミ」の国内消費は年間約 50 トンと見積もられており、輸出量に比べるとごくわず かである。一方でタイ固有のすり身製品であるルークチンを作る工場は全国に 69 ヵ所あり、

年間におよそ 4,000 トンを生産している。「スリミ」の主な消費先は日本料理店の顧客であ ると考えられる。タイ人向けの日本料理店ではカニ風味かまぼこをそのまま料理として出 しているところや、寿司ネタに使っているところが多いため、タイ人の間では「スリミ」

と言えばカニ風味かまぼこを思い浮かべる人が圧倒的に多い。 

  日本の企業では、紀文がバンコクに隣接するサムットサーコン県に工場を持っており、

ちくわやかまぼこ、おでんだね等のすり身製品を製造している。製品の大部分は日本に輸 出されているが、バンコク市内のスーパーマーケットでも日本輸出用のパッケージに入っ た製品が販売されている。タイ人にとってはちくわやかまぼこ、おでんは馴染みのない食 品であるため、購買層は主に在タイの日本人である。 

           

 

(3)野菜(有機農産物) 

近年、バンコクの高所得者層を中心に健康食品への関心が高まっており、有機農産物に ついても一般に知られるようになった。 

タイ政府も輸出を前提とした食品の安全性を確保する政策を強く打ち出しているため、有 機農産物の生産、輸出の促進も進める考えである。政府は 1999 年より有機農産物生産のガ イドライン作成に取り組み、2001 年に農業協同組合省農業局の下に有機作物研究所

(Organic Crop Institute)を設立し、2002 年から政府による初めての有機農作物の認定

「Organic Thailand」が始まり、1年目には 13 社が認定を受けた。13 社のうち 8 社が野菜 や米の輸出を行っている。 

それ以前にも民間ではタイの NGO である ACT(Organic Agriculture Certification  Thailand)が 1995 年から有機認証を行っており、政府の認定制度確立までは ACT がタイで 唯一の有機認定機関であった。ACT は 2001 年には IFOAM (International Federation of  Organic Agriculture Movements)の認定を受けている。2003 年 6 月現在の認定件数は加工 業者 3 件、天然の果実採取をする者が 1 件、天然の蜂蜜を採取する者が 1 件、生産者グル ーププロジェクト 9 件、一般生産者 32 件で、認定した有機栽培面積は転換中も含めて合計 で 2,353 ヘクタールである。 

輸出向けに有機農産物を生産している企業の中には、日本の JAS 協会の認証機関である  OMIC(海外貨物検査株式会社)から有機認定を受けているところもあり、輸出先の国の認 証機関を利用するケースも多い。2002 年に政府の「Organic Thailand」の認定を受けた企 業にも、OMIC の認定をそれ以前から取得していた企業がある。 

現在、タイ国内で有機農産物の認定を実施している機関は、上述の有機作物研究所と ACT の2機関のみであるが、スーパーマーケットで一般に販売されている野菜についている認 証マークとして最もポピュラーなものは農業局の「衛生野菜および果実栽培パイロットプ ロジェクト」の認証マークである。「衛生野菜および果実」とは無農薬もしくは、国際基準 に則った安全値(MRL)以内の残留農薬量で、収穫や運搬、保管、包装、販売に至るまで、

衛生的に行われた野菜のことを指し、日本でいう減農薬や無農薬の農産物である。このプ ロジェクトは農業局によって 1994 年に開始されたもので、検査に通った会員には、衛生野 菜および果実の生産者または販売者であることを証明する認定証が発行される。2000 年以 降、申請する生産者および販売者が急増し、2003 年7月時点で累積 427 件の会員登録があ る。 

この他に「有機農産物」の認証ではないが、安全な野菜の認証として、農業普及局の「無 農薬および衛生野菜」、タイ北部山岳地域の生計向上を目的とする王立プロジェクトの一環 である「ドイカム」などの独自の基準に則した認証農作物があるが、一部のスーパーや健 康食品店舗に流通しているのみで、一般に出回っているまでには至っていない。 

現在、国内で生産される有機農作物は農作物全体の1%にすぎない。まだ農薬の使用を 意識的に管理している生産者は多くなく、せいぜい減農薬栽培どまりというのが現状であ

ドキュメント内 タイの食品市場(国庫用)訂正.PDF (ページ 105-152)

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