- 56 - 6 構造的な不正事案等
選挙における期日後 90 日(平成 22 年 10 月9日)現在に比べ、検挙事件数が 13 事件、87 件、
検挙人員が 169 人、逮捕者が 18 人それぞれ減少している。(図2−6−(1)−2)。
【事例1】選挙運動者による現金買収事件(大阪)
会社役員の選挙運動者(48)らは、立候補予定者に当選を得しめる目的を持って、平成 25 年5月頃から 6月頃、選挙運動者に対し、選挙運動用文書を頒布する等の選挙運動の報酬として、現金合計約 200 万円 を供与した(7月 22 日検挙)。
【事例2】選挙運動者による現金買収事件(山形)
嘱託社員の選挙運動者(59)は、候補者に当選を得しめる目的を持って、平成 25 年7月中旬頃、運動員 10 名に対し、候補者への投票及び選挙運動することの報酬として、それぞれ現金数千円を供与した(7 月 30 日検挙)。
- 58 -
【事例3】候補者による現金買収事件(福岡)
候補者(50)は、自己の当選を得る目的で、平成 25 年6月頃、選挙運動者数名に対し、選挙運動をする ことの報酬として、1時間につき 800 円又は1日につき1万円の割合で計算した金銭を供与する約束をし た(8月6日検挙)。
図表2−6−(1)−2 公職選挙法違反事件の検挙件数・人員
人員 人員 人員
うち逮捕 うち逮捕 うち逮捕
買 収 12 61 85 19 20 119 235 35 -8 -58 -150 -16 自 由 妨 害 19 19 19 15 23 47 25 16 -4 -28 -6 -1 投 票 干 渉 7 10 14 6 10 12 14 5 -3 -2 0 1
詐 偽 投 票 等 16 16 19 4 8 8 8 1 8 8 11 3
投 票 偽 造 3 3 8 4 5 5 16 9 -2 -2 -8 -5
地 位 利 用 0 0 0 0 1 1 1 0 -1 -1 -1 0
戸 別 訪 問 1 1 1 0 0 0 0 0 1 1 1 0
文 書 違 反 13 14 15 1 20 21 34 1 -7 -7 -19 0
そ の 他 9 9 9 3 6 7 6 3 3 2 3 0
合 計 80 133 170 52 93 220 339 70 -13 -87 -169 -18
注:いずれも選挙期日後90日現在
事件数
今回(第23回)
H25.10.19
前回(第22回)
H22.10.9
件数 件数
件数
事件数前回比
事件数
(イ) 一般地方選挙違反取締り
一般地方選挙において、北九州市議会議員選挙における投票偽造事件、東京都議会議員選挙にお ける詐偽登録・詐偽投票事件等を検挙している。
【事例1】北九州市議会議員選挙における投票偽造事件(福岡)
不在者投票を行う施設として指定された特別養護老人ホームの施設長(37)らは、平成 25 年1月頃、同 施設の入所者数名がいずれも投票に関する意思表示が不能であるにもかかわらず、同人らの投票用紙に候 補者の氏名を記入した上、選挙管理委員会に送付して投票を偽造した(2月 15 日検挙)。
【事例2】東京都議会議員選挙における詐偽登録・詐偽投票事件(警視庁)
会社役員(57)は、平成 25 年2月頃、真実は、社員数名が東京都A区内に転居した事実がないのに、同 人らをして、同区内に転居した旨の虚偽の住民異動届を提出し、同区の選挙人名簿に登録させた上、同年 6月頃、同区内の期日前投票所において、同人らをして、不正な手続きにより資格を偽って交付を受けた 投票所入場整理券を使用して投票した(7月1日検挙)。
オ 公務員犯罪
主な公務員犯罪としては、中間市職員らによる生活保護費不正受給に絡む詐欺事件等を検挙してい
る。
(2) 経済をめぐる不正事案 ア 企業犯罪
企業犯罪については、東証一部上場会社役員らによる業務上横領事件、畜産会社役員らによる特定 商品等の預託等取引契約に関する法律違反事件等、社会的反響の大きい事件を検挙している。
【事例1】東証一部上場会社役員らによる業務上横領事件(愛知)
東証一部上場の自動車部品製造会社の常務取締役(64)らは、同社取締役会においてA社向けの金融支援 を行わない方針が決定されていたにもかかわらず、A社に対する不正な手形保証の事実を隠蔽するため に、B社を介してA社に送金し、同手形保証に係る約束手形を回収する目的で、平成 20 年3月頃から同 年4月頃までの間、金融機関において、同社代表取締役名義で振り出した小切手を呈示して、合計約 15 億円をB社名義の口座に振込入金させ、もって横領した(2月6日検挙)。
【事例2】畜産会社役員らによる特定商品等の預託等取引契約に関する法律違反事件(警視庁)
和牛の預託等取引業を行う畜産会社の代表取締役(69)らは、繁殖牛の売買・飼養委託契約の締結につ いて勧誘するに当たり、同社が保有する繁殖牛の頭数が大幅に不足して、約定どおり顧客に割り当てる繁 殖牛が存在しないにもかかわらず、平成 22 年9月頃から平成 23 年7月頃までの間、実在しない繁殖牛の 耳番号を記載した契約書等を顧客に送付するなどし、繁殖牛の保有の状況につき不実のことを告げた(6 月 18 日検挙)。
イ 金融関連犯罪
金融・不良債権関連事犯の検挙事件数は 68 件で、前年同期に比べ8件減少している。
検挙事件数の内訳をみると、前年に比べ「融資過程における事件」は6件増加、「債権回収過程に おける事件」は9件減少、「その他金融機関の役職員による事件」は5件減少している(図表2−6
−(2))。
図表2−6−(2) 金融・不良債権関連事犯検挙事件数の推移
注:本表は、実務統計による集計数値である。( )内は、「暴力団等に係る金融・不良債権関連事犯」を示す。
平16 平17 平18 平19 平20 平21 平22 平23 平24 平25
件数 率(%)
20 20 32 19 18 50 41 53 40 46 6 15.0
(11) (12) (14) (15) (12) (39) (33) (45) (28) (34) (6) 21.4
52 47 27 13 10 6 4 10 11 2 -9 -81.8
(43) (38) (21) (10) (5) (6) (2) (9) (11) (2) (-9) -81.8
72 49 68 47 44 50 39 30 25 20 -5 -20.0
(1) (1) (1) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0)
-144 116 127 79 72 108 84 93 76 68 -8 -10.5
(55) (51) (36) (25) (17) (45) (35) (54) (39) (36) (-3) -7.7 増減
融 資 過 程
債 権 回 収 過程 そ の 他 金 融 機 関 役 職 員
合 計
年次 区分
- 60 -
(ア) 融資過程における金融・不良債権関連事犯
金融・不良債権関連事犯のうち、融資過程における詐欺事件等を 46 件検挙している。
【事例1】大手都市銀行に対する医療機器仕入資金借入名下多額詐欺事件(警視庁)
医療用機械器具製造販売会社の代表取締役(79)は、融資金名目で金融機関から現金をだまし取ろうと企 て、真実は、返済原資とした売掛債権を有しておらず、融資金を返済する確実な当てがないのに、これが あるように装い、金融機関に対して、同売掛債権を根担保として同金融機関に譲渡する旨の内容虚偽の債 権譲渡担保差入証を提出するなどして、医療用機械器具仕入資金の融資を申込み、融資金が確実に返済を 受けられるものと誤信させ、平成 20 年3月頃、融資金として 40 億円をだまし取った(2月1日検挙)。
【事例2】大手都市銀行等に対する住宅ローン融資金名下詐欺事件(警視庁)
被疑者(50)らは、住宅ローンの融資金名目で金融機関から現金をだまし取ろうと企て、複数の金融機関
に対して、他人になりすまし、かつ、勤務先等を偽って、偽造したローン借入申込書を真正に成立したも
ののように装って提出して、それぞれ融資を申込み、確実に融資金の返済が受けられるものと誤信させ、
ドキュメント内
平 成 25 年 の 犯 罪 情 勢 平 成 26 年 6 月 警 察 庁
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