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今 回 合 成 し た キ ャ ッ プ 化 合 物 は 非 常 に 剛

65

CPK分子モデルからの考察では、

‑115 ‑

直であり、図6‑5に示したように、メトキシ部位が空孔に対して外側へ向き、キ ャップに連結した芳香環部位が杢孔内へ大きく倒れ込んでいる構造となる。メ

トキシ部位が空孔内へ倒れ込んだ構造は歪みが大きく分子モデルも作裂できな いことからも、その妥当性は支持されるものである。

この構造を基にMM3(92)分子力学計算法により安定構造を算出したところ、図 6‑6に示すような構造となった。

ネ『・

66 MM3(92)法により求めたVI‑5の安定構造(左:lowerrimより、右:upperrimより)

その結果、 'H‑NMRからも予想されたように、メトキシ部位が空孔に対して外 側へ向き、キャップに連結した芳香環部位が空孔内へ大きく倒れ込んでいる構 造が安定構造であることが明らかになった。また、隣接する芳香環の角度が大

きく異なり、 tert‑ブチル基同士の立体反発も緩和され、 "upperrim"側から空孔内 が見えないような構造となっている。すなわちこの化合物は、"lowerrim"側には

‑116 ‑

メシチレン骨格(cap)、"upperrim市、JIには三つのterιブチル基の倒れ込みが観測さ れ、一分子で疑似的に「閉じた空干し」を形成していることになる。このように 簡 便 な 反 応 に よ り 、 し か も 高 収 率 で 、 剛 直 な 骨 格 で 固 ま れ た 閉 じ た 空 間 を 創 り 出 す こ と が で き る と い う 事 実 は 、 原 料 で あ る カ リ ッ ク ス

[ 6 ]

アレーンの柔軟性を 考えると非常に興味深い。

Three  t e r t ‑ b u t y l   g r o u p s ( i n s i d e )   on t h e  upper rim 

M e s i t y l e n e  m o i e t y (  c a p )   on t h e  lower rim 

67 架橋子とle7・チル基により形成されるVI5H閉じた空孔H

ここまで、 VI‑5の 安 定 構 造 に 対 し て 考 察 し て き た が 、 動 的 挙 動 に 着 目 し て み るとVI‑5は川cone"‑"cone"問で異性化が起こる可能性があるO one"‑"cone"間の異 性化がlH‑NMRのタイムスケールより速くなれば、二種類であった架橋メチレン プ ロ ト ン は 一 本 の シ グ ナ ル に 融 合 す る ヘ こ の 融 合 は 、 異 性 化 速 度 が 遅 い 場 合 は

xo"位と "endo"位 の プ ロ ト ン に 区 別 さ れ て 現 れ る が 、 高 温 条 件 の も と で 異 性 化 速度を上昇させることでタイムスケールより速くなり確認できる場合がある。

図6‑8に示すように、昇温測定においては1300

C

ま で 架 橋 メ チ レ ン の 広 幅 化 が 観 測されておらず、 lH‑NMRの タ イ ム ス ケ ー ル よ り も 速 い 異 性 化 は 起 き て い な い こ

とが示された。

温度可変の2D‑EXSY測定では、 "exo"1.立と"endo"{.立 の 架 橋 メ チ レ ン プ ロ ト ン の 相関が観測されず、 "cone"‑"cone"聞 の 反 転 が2D‑EXSY測 定 のlH̲N恥恨のタイムス ケールに近い速度で起きているという可能性は否定される。

117‑

ところで最近、 Reinhoudtらはカリックス[6]アレーンの1,3,5位にメチル基を導 入し、更に2,4,6‑位に置換基を導入することで、メチル基の空孔内への倒れ込み (self‑inclusion現象と呼ばれている)が起こりそのコンホメーションを制御可能で あることを報告している10)

表ι1 種々の13.5‑メチル‑246アルキル誘導体の部分的'H̲NルRデータ(CDCI3298K)  o Ar(Mt  Ar(R) bl o OCH2  o ArCH2  o OCH3 o t‑Bu(M)  o t‑Bu(R)  化合物 s(6H)  s(6H)  s(6H)  AB(6H)  s(9H)  s(27H)  s(27H)  VI̲161U 7.20  6.56  4.53  4.463.37  2.15  1.32  0.71  VI1710) 7.32  6.71  4.96  4.643.40  2.26  1.38  0.84  VI‑1S10 7.18  6.56  4.43  4.523.36  2.23  1.47  0.71  VI1910) 7.18  6.61  4.83  4.493.30  2.17  1.31  0.74  VI2010) 7.28  6.73  '5.06  4.55,3.42  2.31  1.38  0.84  VI̲2110)  7.27  6.72  4.98  4.523.40  2.28  1.38  0.84  VI2210) 7.30  6.66  4.49.3.62  2.21  1.36  0.78  VI2310) 7.26  6.70  5.11  4.643.41  2.30  1.36  0.83  VI2410) 7.27  6.70  5.10  4.633.41  2.29  1.37  0.82  VI256) 7.10  6.81  4.49  4.43.3.46  2.69  1.24  0.94  VI‑5  6.39  7.26  4.89  4.813.56  3.85  0.72  1.41 

a)  Mはメチル基ついた芳香環を示す、 b)Rはメチル基以外がついた芳香環を示す

VI16 R CH~(O)NEt2

VI17 R CH~6H5

VI‑18  R = CH:zC(O)OBu VI19 R CH2-(4-Br-C~4)

VI20R CH2(3N02‑Cif14) VI21 R CH2- (3-CN-C6~)

VI22R P(O)(OEt)2  VI23R CH}‑(2‑Naphtyl)  VI24 R CH2(4‑CJ15‑CJ七

VI‑25 

‑119 ‑

この"self‑inclusion"現 象 に よ り 、 分 極 し た 水 素 を 持 つ メ チ ル 基 と "electro n ‑rich" 

な芳香環との間で弱い CH‑π 相互作用"が生じ、 "fla口enedcone"コ ン ホ メ ー シ ョンの安定化へ寄与していると述べられている。

そ の 根 拠 の ー っ と な っ た 種 々 の135‑メチルー246‑ア ル キ ル 誘 導 体 のlH̲NR データと化合物VI‑5のlH̲N恥 依 デ ー タ と を 比 較 す る と そ の 特 異 性 が 顕 著 に 現 れ てくる(表6‑1)。 ま た 、 シ ア ヌ ル 酸 キ ャ ッ プ カ リ ッ ク ス[6]ア レ ー ン に 関 す る デ ータも併せて示しt:.0化 合 物VI5はこれらの安定化の寄与を受けるよりも先に、

キ ヤ ツ ピ ン グ 反 応 が 速 や か に 起 こ っ た た め 、 も は や メ チ ル 基 が 環 の 内 側 に 倒 れ 込む"self‑incl usi on"現象が発現で、きなくなったものと考えられる。

6‑4  二 点 架 橋 型 カ リ ッ ク ス[6]ア レ ー ン 誘 導 体 の 合 成 と 構 造 特 性

6‑4‑1  二点架橋型カリックス[6]ア レ ー ン 誘 導 体 の 合 成 に 関 す る 考 察

二 点 架 橋 ( ブ リ ッ ジ ) を 持 つ カ リ ッ ク ス[6Jア レ ー ン は 、 無 置 換 の カ リ ッ ク ス [6Jア レ ー ン を 出 発 原 料 と す る と 、 オ ル ト 置 換 の 架 橋 子 を 用 い れ ば 1,2‑位に、メタ 置 換 の 架 橋 子 を 用 い れ ば 14‑位 に 、 パ ラ 置 換 の 架 橋 子 を 用 い れ ば 14‑位に11)導 入 されたものが容易に合成できる。また、今回1235‑テ ト ラ メ チ ル カ リ ッ ク ス[6] アレーンを出発原料とすることで、 13‑位 に メ タ 置 換 の 架 橋 子 を 高 収 率 で 導 入 す ることができた。前述した135トリメチルカリックス[6]アレーンを出発原料と す る こ と で 三 点 架 橋 を 容 易 に 導 入 で き る こ と を 含 め て 総 括 的 に 考 え る と 、 基 本 的にカリックス[6]ア レ ー ン の 六 つ の ベ ン ゼ ン 単 位 は 、 メ チ ル 置 換 ベ ン ゼ ン 系 の 架橋子と相補的な関係にあると言える。

しかしながら、二点架橋型カリックス[6]ア レ ー ン は こ れ 以 外 に も 多 数 報 告 さ れるようになりつつある。Gutscheらは燕置換のカリックス[6Jアレーンにキシレ ニル'基 の み な ら ず ¥ ア ン ト ラ セ ン 骨 格 な ど 立 体 障 害 の 大 き な 架 橋 子 の 導 入 に も 成功している11)。またUngaroらは、エチレングリコール鎖で1,4‑位の架橋に成功

している12)。岡 崎 ら は 反 応 活 性 な 官 能 基 を 有 す る 架 橋 カ リ ッ ク ス[6]ア レ ー ン の 合 成 を 行 っ て お り 、 い ず れ も 比 較 的 高 収 率 で 反 応 は 進 行 し て い る 13)。最近では

‑120 ‑

Luningらが無置換のカリックス[6]ア レ ー ン を イ ソ フ タ ル 酸 の 酸 塩 化 物 で 処 理 す ることで 1,3‑位への一段階架橋に成功している14。)

こ れ ら の 合 成 で は 、 六 つ の 反 応 点 を 有 す る 無 置 換 カ リ ッ ク ス

[ 6 ]

アレーンが用 い ら れ て い る が 、 比 較 的 高 収 率 で 反 応 が 進 行 し て い る こ と が 特 徴 的 で あ る 。 し か し な が ら 、 副 生 成 物 ( お そ ら く 多 量 化 し た も の 、 他 の 位 置 で 架 橋 し た も の な ど)の生成は遊けられなし10 今回得られた化合物のうち、 13‑架橋型カリックス [6Jアレーンは、無置換のカリックス[6Jア レ ー ン を 出 発 原 料 と し て 用 い る 手 法 で は 得 ら れ な い 。 メ チ ル 誘 導 体 を 出 発 原 料 と し て 用 い 、 反 応 点 の 数 を 等 し く す る こ と で ほ ぼ 定 量 的 に 様 々 な 種 類 の 架 橋 型 カ リ ッ ク ス ア レ ー ン を 合 成 で き る こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ の よ う な 手 法 は 他 の 架 橋 子 の 導 入 に 際 し で も 適 用 が 可 能 であると考えられる。

6‑4‑2  二点架橋型カリックス[6Jア レ ー ン 誘 導 体 の 構 造 特 性 に 関 す る 考 察 2点 架 橋 ( ブ リ ッ ジ ) を 持 つ カ リ ッ ク ス [6Jア レ ー ン の 構 造 特 性 評 価 は 、 主 に 'H‑NMR測定により行った。コンホメーション特性及びコンホメーション変換を 温度可変(VT‑)N恥依を用いて観測した。昇温測定(30‑1300C : 1122‑テトラクロ ロエタンーd2)及 び 低 温 測 定(‑85 ‑OOC  :塩化メチレンー仇)を行った。 VI‑12及 び VI‑13、VI14の温度可変(VT‑)NMRス ペ ク ト ル を 図6‑9‑図6‑11に示す。

121‑

ArCH2Ar  ^~、 U A ̲  

¥ ¥  

69 V12の温度可変IH‑NMRスペクトル

122̲ 

Bu

1300

8ppm 

OC

b

ArCH2Ar  ArOCH

610 V 113の温度可変IH‑NRスペクトル

‑123 ‑

1300

包巴 。

OC

611 VI‑14の温度可変lH‑N¥1Rスペクトル

‑124 ‑

1300

ppm 

ppm 

VI12に関して

IH‑NMRは室温で比較的シンプルなスペクトルを示し、 ‑30C

C

で は 全 て の シ グ ナ ルがシャープになり、極めて対称、性の良いスペクトルを示した。 tert‑フーチルプロ トン(s,36H: s, 18H)、芳香族(calix)プロトン(dd8H: s4H)、及びメトキシプロトン (s12H)の 分 裂 パ タ ー ン 、 更 に は カ リ ッ ク ス[6Jア レ ー ン の 架 橋 メ チ レ ン 部 位 が2

組のダブルダブレット(dd8H: dd4H)を 示 す こ と よ り 、 容 易 に"cone"構造で、ある ことが明らかになった。また、架橋(bridge)部位のコンホメーションに関しては、

芳香族(bridge)プ ロ ト ン の 一 部 と 芳 香 族(bridge)と の 連 結 部 位 の プ ロ ト ン が 高 磁 場 側 に 観 測 さ れ て い る の で 、 芳 香 族(bridge)の う ち 半 分 程 度 が カ リ ッ ク ス[6Jアレー ン の 空 孔 内 に 位 置 し て い る も の と 考 え ら れ る ( 図6‑12)。これは、 Gutscheらの 報告した化合物(VI‑26)と は 全 く 異 な る 構 造 で あ る 。 彼 ら の 化 合 物 で は 、 架 橋 子 部位にp‑キシレン骨格が用いられており、その安定コンホメーションは"1.2.3‑

ternate"構 造 、 し か も 架 橋 子 が カ リ ッ ク ス[6Jア レ ー ン の 空 孔 を 貫 く よ う な 構 造 (" self‑anchored  rot以 加e"と呼ばれている) (図6‑12) を と っ て い る 。 こ の 構 造 と 比 較 す る と 、 架 橋 子 部 位 の 僅 か な 構 造 の 遣 い に よ り カ リ ッ ク ス

[ 6 ]

ア レ ー ン の 構 造

自身を大きく変化させることが可能であると言える。

"cone  ??I

2

3 alternate"

図612 V12及びVI26の安定コンホメーション

コ ン ホ メ ー シ ョ ン 変 換 に 関 し て は 、 昇 温 測 定 の 結 果 に 着 目 す る と 興 味 深 い 現 象が観測された。すなわち、カリックス[6Jア レ ー ン の 架 橋 メ チ レ ン プ ロ ト ン の2

組 の ダ ブ ル ダ ブ レ ッ ト は 融 合 温 度(70‑900C)で コ ア レッ セ ン ス が 確 認 さ れ たO 他 の プ ロ ト ン で は こ の よ う な 現 象 は 観 測 さ れ て い な い こ と を 考 慮 す る と 、 こ れ は 'cone"‑"cone川間の反転によるものであることは明らかである。従って、この系で

‑125 ‑

はコンホメーションが固定されていないと結論できる。

V1‑13に関して

IH‑NMRは室温で比較的シンプルなスペクトルを示し、VI12の 場 合 と は 対 照 的

に、 1300

C

で 全 て の シ グ ナ ル が シ ャ ー プ に な り 、 最 も 対 称 性 の 良 い ス ペ ク ト ル を 示した。ど

ι f

ブチルプロトン(s9H:s, 18H : s9H : s, 18H)、芳香族(calix)フ。ロトン (dd4H : s2H : dd4H : s2H)、 及 び メ ト キ シ プ ロ ト ン(s3H: s6H : s3H)の 分 裂 パ ターン、更にはカリックス[6]ア レ ー ン の 架 橋 メ チ レ ン 部 位 が3組 の ダ ブ ル ダ ブ レ ツト(dd,4H: dd,4H : dd,4H)を示すことより、 IH‑NMRの タ イ ム ス ケ ー ル よ り も 速 い 速 度 で 、 架 橋 部 位 の 反 転 が 起 こ っ て い る 可 能 性 は 否 定 さ れ るo"cone'守喜造で、あ る か ど う か 、 ア ニ ソ ー ル 単 位 の 反 転 が 起 き て い る か ど う か に つ い て は 現 在 の と ころ断言することはできなし30 また、 1300

C

におけるIH‑1HCOSY測 定 に よ り 架 橋 メ チ レ ン 及 び オ キ シ メ チ レ ン 部 位 の 相 関 を 調 べ る と 図6‑13のようななった。

!)  ny 

]

包 ふ ゆ ♂

o d w  

f0 

6‑13 V13lH‑1HCOSY NMRス ペ ク ト ル ( 部 分 )

‑126 ‑

一般的にオ キ シ メ チ レ ン プ ロト ジは4.2‑4.6ppm付 近 に 現 わ れ る こ と が 知 ら れ ているので"D"がそれと帰属できる。その他の川A""B""C"についてはカリックス

[ 6 ]

アレーンの架橋メチレンプロトンであるが、一般的なcone構 造 の 場 合 に 観 測 されるム S値は約O.9ppmで、あるので、 "C"のメチレン部位に挟まれたアニソール 単位は"flattened"構造をとっているものと思われる。このことは、一つのメトキ シ基のみ高磁場側に観測されることからも支持される。この化合物は、 3点架橋 (キャップ)を持つ化合物(VI5)と比較するとその特徴が明らかになる。 VI‑12

とVI5では、架橋の数が2個であるか、 3個であるかの違いのみであるが、その コンホメーションの自由度は大きく異なる。 VI‑12では低温測定における広幅 化が顕著で¥僅かな広幅化しか起こらないVI‑5と比較すると差は歴然である。 もちろん、この自由度の違いは3点目の架橋により生み出されたものであり、カ リックス [6Jアレーンのコンホメーションを3点 の 架 橋 に よ り 効 率 的 に 抑 制 で き たためである。

VI14に関して

'H‑NMRは室温で比較的ブロードなスペクトルを示しているが、 700C付 近 で 全 てのシグナルがシャープになり、最も対称、性の良いスペクトルを示した。fεf千プ チルプロトン(s18H:s18H:  s18H)、芳香族(cal以)プロトン(dd4H : dd4H : 

dd4H)、及びメトキシプロトン(s6H:s6H)の分裂パターンを示すことより、対 称性の良い構造であることがわかる。架橋メチレンプロトンのシグナルより、

この温度では、 'H‑NMRのタイムスケールよりも速い速度での架橋部位の反転が 起こっていることはない。しかしながら、低温にすることによりシグナルの融 合化が確認され、‑850Cでは再び比較的鋭いシグナルが現れてきたo‑850Cではte

ブチルプロトン(S9Hx6本)となり、カリックス[6Jアレーンでは最も対称性の悪 い構造になっていると推定される。3‑5ppm付 近 の 架 橋 メ チ レ ン プ ロ ト ン に つ い ても同様の現象が観

j i l l

され、この温度においては対称性の悪い構造が最安定な コンホメーションになっていることが示唆される。架橋部位を有する隣接べン

127‑

ゼン単位は、 CPKモデルよりそのコンホメーションが同じ側にしかとれない。

一 般 的 に カ リ ッ ク ス [6]ア レ ー ン の 再 安 定 コ ン ホ メ ー シ ョ ン と 言、わ れ て い る

"1 ,2,3‑al ternate"を、この分子も再安定コンホメーションとしてとっているとする とこの現象は矛盾なく説明できる。

6‑5  分子不斉カリックス[6]アレーンの合成と構造特性

不 斉 認 識 を 達 成 し よ う と す る と き 、 ホ ス ト 分 子 に 何 ら か の 不 斉 の 要 因 を 導 入 す る こ と は 必 須 の 条 件 で あ る 。 ホ ス ト 分 子 へ の 不 斉 の 導 入 法 は 種 々 存 在 し 、 最 も容易な方法は光学活性な置換基を導入することであろう。しかしながら、こ の 方 法 で 導 入 さ れ た 不 斉 の ホ ス ト 分 子 で は 、 合 成 の 容 易 さ と は 相 反 し て そ の 不 斉認識能の発現はかなり困難となる。効 果 的 に 不 斉 識 別 を 行 う に は 、 ホ ス ト 分 子 の 設 計 の 際 、 認 識 し よ う と す る ゲ ス ト 分 子 と の 錯 体 構 造 を 予 想 し 、 ゲ ス ト 分 子の不斉炭素の位置する周辺を効果的に不斉の環境にすることが必要である。

そこで注目されるのが環状化合物における『分子不斉jl5)の概念である

光 学 活 性 な 置 換 基 を 導 入 し な く と も 異 種 置 換 基 の 配 列 と コ ン ホ メ ー シ ョ ン に よって、カリックスアレーンには不斉要素を比較的容易に導入できるl針。岩本ら はカリックス[4]アレーンの"lowerrim" (水酸基部位)をアルキル化することによ り2段階(スキーム 6‑5)l7)、または3段階(スキーム 6‑6)l8)の 反 応 で 収 率 良 く 不 斉 の導入に成功している。カリックス [4]アレーンの 4個 の フ ェ ノ ー ル 単 位 に 異 種 置 換 基 を 導 入 す れ ば 分 子 不 斉 化 合 物 に な る の は 当 然 で あ る が 、 同 ー の 置 換 基 を 持 つ フ ェ ノ ー ル 単 位 で も 一 方 が 反 転 し て い れ ば 異 種 単 位 と な り 、 こ の こ と に 注 目すると最低 1種類の置換基の導入だけで分子不斉のカリツクス[4]ア レ ー ン が 合成できる。

‑128 ‑

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