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24 第4章 Lee-Carterモデルの残差構造解析とモデリング

AGE 0

20 40

60

80

YEAR 1980

1990 2000 Residual

−0.4

−0.2 0.0 0.2 0.4

4.4 LCモデルのパラメータ推定値による対数死亡率の残差logmx,tlog ˆmx,t()

4.3.1 Renshaw-Haberman (RH) モデル

LCモデルを拡張しコーホート効果を織り込んだモデルとして,Renshaw and Haberman (2006)が提 案する以下のRHモデルがある.RHモデルは,期間効果とコーホート効果のそれぞれに年齢別の係数を 乗ずる形となっているが,特にこれらの年齢別の係数を1とした場合は,Age-Period-Cohort (APC)モ デルとなる.

logmx,txx(1)κtx(2)ιcx,t (4.6)

パラメータの推定には識別問題が生ずるため,Renshaw and Haberman (2006)では,αxの推定値を

ˆ αx = 1

T

T t=1

logmx,t. (4.7)

4.3 既存の拡張LCモデル 25

0 20 40 60 80 100

020406080100120

AGE

Q statistic

0 20 40 60 80 100

020406080100120

AGE

Q statistic

ラインはχ2(9)の上側5%点を表す.

4.5 LCモデルのパラメータ推定値による対数死亡率の残差の系列相関()

より得て,以下の識別条件を置いている.

x

β(1)x = 1 ; ∑

x

β(2)x = 1 ; ∑

t

κt= 0 ; ∑

c

ιc= 0. (4.8)

式(4.7)において,T は対象となる期間を表す.また,生年コーホートcは,t−xにより表される.

Cairns et al. (2009)は,過剰適合の問題から標本数が5未満のコーホートのデータを除き,式(4.8)の条 件の下,µx,t = exp[

αxx(1)κtx(2)ιc

]とし,Dx,t =Ex,tmx,tが平均Ex,tµx,t のポアソン分布に従 うとして,英国死亡率及び米国死亡率について各パラメータを推定している*4.Cairns et al. (2009)は,

LC,RHモデル等の8つのモデルを比較し,米国死亡率についてRHモデルが最良な適合結果であった としているが,RHモデルにおいてパラメータの頑健性の問題があることも指摘している.また,Dowd

*4αxの推定値は,式(4.7)によらず,最尤推定値を得るための繰り返し計算の中に含められ算出されている.Cairns et al.

(2009)では,依然として識別問題が残るが,最尤推定値へゆっくりと収束して行くことが述べられている.後述の我が国

の死亡データを前提としたRHモデルのパラメータ推定では,Cairns et al. (2009)による方法の方がRenshaw and Haberman (2006)による方法よりも頑健でないが良好な適合度の結果が得られる.

26 第4章 Lee-Carterモデルの残差構造解析とモデリング

0 20 40 60 80 100

020406080100120

AGE

Q statistic

0 20 40 60 80 100

020406080100120

AGE

Q statistic

ラインはχ2(9)の上側5%点を表す.

4.6 LCモデルのパラメータ推定値による対数死亡率の残差の系列相関()

et al. (2010)は,ある年より以前の期間のデータを用いて作成したある年の死亡率予測値が一貫している

か,また,予測開始年がその年へ近付くに従って実現値へ連続的に収斂して行くかを6つの死亡率モデル についてテスト(Contracting Horizon Backtests)し,RHモデルのパラメータ推定値による予測が不安 定であることを示している.

 本論文では,RHモデルのパラメータ推定を上記のCairns et al. (2009)と同様の方法により実施す る*5

4.3.2 Age-Period-Cohort (APC) モデル

APCモデルはLCモデルより前に開発され,医療統計や社会調査等において利用されてきた.APCモ デルは,総平均を年齢の主効果に組み入れ,以下の通り記述することができる.

*5過剰適合の問題へは,標本数が5以下となる生年コーホートのパラメータを考慮しないこと(ゼロ)で対処することとした.