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保険の負債評価 1 ソルベンシー規制の動向

日本の金融庁もメンバーである保険監督者国際機構(IAIS)では,保険コアプリンシプル(ICP)をベー スとして,監督基準や指針(ガイダンス)を定めており,ソルベンシー基準においても基本原則を定めて いる.ICPでは,ソルベンシー目的の資産・負債の評価基準として,経済価値ベースを求めている.指針 (ガイダンス)においては,経済価値評価は,市場整合的評価と償却原価の両方を含んだ概念としている.

93 IAISは2013年10月9日,各国の主要保険会社を対象*5とした新しい資本規制を発表した.2016年まで に新規制を最終決定し,試験運用を行った後,2019年に導入する見通しとされている*6

 このような動向を踏まえ,欧州では,ソルベンシーIIへの移行が検討されている.ソルベンシーIIに おいては,経済価値ベースの資産・負債評価が志向されており,この場合の経済価値とは,市場整合的な 取引価格と定義されている.ソルベンシーIIの枠組みは,国際アクチュアリー会(IAA)のワーキンググ ループで策定された「保険者ソルベンシー評価のための国際的枠組み」に大きく影響を受けていると言わ れている.ソルベンシーIIについては,実施の延期に加え,緩和策の検討が行われている.

 米国では,各州が規制の設定主体であるが州監督官の組織であるNAICがRBC(Risk Based Capital) 規制*7を提示しており,枠組みは統一されているが,上述の動向も踏まえ,2008年からSMI(Solvency Modernization Initiative)と言うソルベンシー基準見直しのプロジェクトが発足している.SMIは,市 場整合的評価に対し,慎重に捉える方向性が示されている.

 我が国においても,国際的な動向を踏まえ,金融庁が経済価値ベースのソルベンシー基準の検討を進め る方向性を示している.経済価値評価については,2007年のソルベンシー・マージン比率の算出基準等 に関する検討チーム報告書や2011年の保険会社向けの総合的な監督指針等において,一定の幅がある表 現がなされており,いずれにしても,継続して検討されて行く見通しである.

2.2 保険の国際会計基準 IFRS4 の改正動向

国際会計基準審議会(IASB)の保険契約(Insurance Contract)に係る会計プロジェクトの第1フェー ズについては,2004年3 月にIFRS4(国際財務報告基準4号) が公表されたが,本質的な改正は第 2 フェーズに委ねられている.IFRS4では,組込デリバティブは,一定の要件を満たし主契約と明確に区 分できる場合,金融商品会計に基づき公正価値を算出することとされている.

 第2フェーズは2004年7月から開始され,2007年5月にDPが公表された.その後,2010年に公開 草案,2013年に改訂公開草案が公表されている.2007年のDPの中で,負債評価は第三者に譲渡する場 合の対価(現在出口価格)によるべきとされたが,保険契約の性格にも鑑み,2010年の公開草案において は,履行価値に基づくものとされた.2013年の改訂公開草案において,保険負債は,履行キャッシュフ ローの見積り及び現在価値への割引,リスク調整,契約上のサービス・マージンの3要素によるビルディ ングブロック・アプローチにより測定する必要があるとされている.ビルディングブロック・アプローチ は次の3つにより構成されるとみることができる.

1. 履行キャッシュフローの現在価値 2. リスク調整

*5世界約140ヶ国の約50の保険会社が対象とされている.

*6世界の主要保険会社で構成されるジュネーブ協会は,規制導入のスケジュールが厳し過ぎると指摘している.

*7我が国のソルベンシーマージン基準策定の際に参考とされたものであり,概ね我が国と同様の枠組みである.

94 付録 付録B 年金と保険の負債評価 3. 契約上のサービス・マージン

上記の履行キャッシュフローの割引価値の将来キャッシュフロー及び割引率は毎期見直すとされて いる.割引率変動による履行キャッシュフローの現在価値の変動は,その他包括利益(OCI:Other

Comprehensive Income)の中で認識し,その他の基礎率の変動による保険負債の変動及び解約・失効等

による変動については,一定のルールに基づき,契約上のサービスマージンを調整とされている.上記の リスク調整は,保険契約に固有のリスクと不確実性に対応したマージンを表しており,利用可能な技法は 限定されていない*8.上記の契約上のサービス・マージンは,契約の当初測定において初日利得が生じる 場合,これと相殺するための負債とされる.

 いずれにしても,保険の国際会計基準IFRS4は,現在,改正の途上にある.

*82010年の公開草案においては,VaRCTE,資本コスト法の3手法に限定されていたが,2013年の改訂公開草案では削除 された.

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付録 C  生命表の諸関数の定義

付録Cでは,生命表において使用される各記号や諸関数について説明する.生命表は,一定期間にお けるある人口集団についての死亡状況を,死亡率,平均余命等の生命関数を用いて表現したものである.

本付録の内容は,我が国の簡易生命表(2013)の説明によっている.