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旅行時間の信頼性の評価基準

ドキュメント内 中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻 (ページ 33-37)

第4章  関西圏の路線バスへの適用

4.1  シミュレーションの設定

4.1.3  旅行時間の信頼性の評価基準

  本節では,旅行時間の信頼性の評価基準を定める.まず,サンプルの選択する経路は,

旅行時間が最小になるように経路(以下,最短経路という)を選択すると仮定する.最短

経路は,Dijkstra法で算出する.そこで,サンプルが通る時刻表ネットワーク上の旅行

経路Aを算出し,旅行時間A(乗車時間A+待ち時間A)を算出する.次に,同じサンプ ルが通る遅延ネットワーク上の旅行経路Bを算出し,旅行時間B(乗車時間B+待ち時 間B)を算出する.

本研究では,旅行時間Aと旅行時間Bを比較し,遅延が生じているか否か,早着が 生じているか否かで旅行時間の信頼性の評価を行う.さらに,旅行経路Aと旅行経路B が同じ旅行経路を通るか否かで旅行経路の信頼性の評価も行う.

  以下に同じサンプルが遅延ネットワークと時刻表ネットワークを移動した時の旅行 時間と旅行経路の例を示す.ここで言う旅行経路とは,サンプルが通ったノード番号と する.

<サンプル例>

路線バス利用開始時刻: 8:17  出発駅:a駅   到着駅:d駅

  サンプルは,上記に示す情報を持っており,図4.2のような時刻表ネットワーク上を 移動する.その時の旅行時間Aと旅行経路Aを算出する.ノードとリンクの説明は,

図3.16に従い,ノードの横にある数字がそのノードが持つ時間である.

  まず,出発駅がa駅,路線バス利用開始時刻が8:17であるから,a駅から出発する 路線バスで,8:17以降に出発する路線バスの駅ノードに,出発ノードから出発リンク が張られる.次に,到着駅がd駅であるから,d駅に到着するすべての路線バスの駅ノ ードから到着ノードに到着リンクが張られる.そして,出発ノードから到着ノードまで の最短経路を算出する.図4.3において赤色で示した経路は,旅行経路Aの最短経路を

示す.さらに,駅ノード内の数字は,ノード番号とする.

  次に,同じサンプルが,図4.4のような遅延ネットワーク上を移動する.遅延を考慮 することによって,時刻表ネットワークと多少異なるネットワーク構造を取る.その時 の旅行時間Bと旅行経路Bを算出する.先程と同様に,サンプルの出発ノード,出発 リンク,到着ノード,到着リンクを張る.図4.5において赤色で示した経路は,最短経 路を示す.表4.3に,図4.3,図4.5のように最短経路が決定した時の旅行時間と旅行 経路を示す.

鉄道 路線バス2 路線バス1 8:54

8:48 8:51

8:45 8:39

8:45

8:29 8:35 8:29

8:19 8:24

8:15 8:25

8:20

d駅 c駅

j駅 i駅

b駅 a駅

図4.2  時刻表ネットワーク(例)

図4.3  旅行経路Aの最短経路(例)

図4.4  遅延ネットワーク(例)

a駅 b駅

i駅

j駅 c駅

d駅

8:23 8:28

8:18

8:33

8:27 8:35

8:29

8:45

8:39

8:45 8:51

8:48 8:54

路線バス1

路線バス2 8:38

鉄道

a駅 駅

駅 駅

b i

j c

8

d 8:20

8:25

8:15

8:24

8:19 8:29

8:35

8:29

8:45

8:39 8:45

8:51

8:48 :54

7

8 11

12

13 14

10

3 6 9

2 5

1 4 出発リンク

到着リンク 出発ノード 到着ノード

図4.5  旅行経路Bの最短経路(例) 表4.3  サンプル例の旅行時間と旅行経路

旅行時間A(分) 31 旅行時間B(分) 32 乗車時間A(分) 17 乗車時間B(分) 24 待ち時間A(分) 14 待ち時間B(分) 8

旅行経路A 2→5→7→9→11→13 旅行経路B 1→4→7→9→11→13 利用駅A a→b→i→j→c→d 利用駅B a→b→i→j→c→d

表4.3より,旅行時間に遅延が生じているのがわかる.遅延が生じたことにより,乗 車

経路A と

8:29

a駅 b駅

i駅

j駅 c駅

d駅 8:23

8:28

8:18

8:33

8:27

8:35 8:45

8:39 8:45

8:51 6

8:38 8:5

時間は増加したが,待ち時間は減少している.さらに,乗りたい路線バスより,1本 前の路線バスに乗車でき,旅行経路にも変化が生じている.このような変化を全サンプ ルから取得し,旅行時間の信頼性の評価,旅行経路の信頼性の評価を行う.

旅行時間は,乗車時間,待ち時間の2つから評価を行う.旅行経路は,旅行

旅行経路Bで比較し,サンプルが通るノードがすべて同一な経路は「同一経路」,サ ンプルが通るノードは異なるが利用駅Aと利用駅Bが同一な経路は「同一路線」,どち らも異なる経路は「異経路」の3つに区別し,評価を行う. 表4.3のサンプル例の旅 行経路は,「同一路線」となる.

8:50

4 5

7

8 0

11 12

13 14

3 6 1

2 9

出発リンク

1

到着リンク 出発ノード 到着ノード

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