試運転計画
8.1. 試運転を開始する前に、施設がその設計目的と性能基準を満たすことを証明するため、施設
を試験することに関する適切な試運転計画が用意されていなければならない。規制機関が要求し 承認する試運転計画は、試運転のための組織と責任、試運転の諸段階、安全上の重要度に基づく SSCの適切な試験、試験スケジュール、試運転の手順と報告、評価と検証の方法、不適合と欠陥 の処理、及び文書化に関する要件を包含しなければならない。
8.2. この章における要件は、長期の運転停止期間の後に既存の工程を再起動する際にもまた、適
用しなければならない。
組織と責任
8.3. 施設とその工程の運転に特有な特性に将来の運転員が精通するようにするため、及び施設の
従業員へ知見を適切に伝達し、経験から学んだ教訓を反映することを確実なものとするため、試 運転計画の作成における運転組織、設計者及びメーカーの関与は、事業者によって定められなけ ればならない。
8.4. 施設の運転と保守のすべての面について運転員を訓練するために、試運転期間が利用されな
ければならない。この訓練活動の一貫として、運転に関する文書の検証を行わなければならない。
これには、運転手順、保守手順、緊急時手順、管理手続き及び運転の制限値と条件を含む。
8.5. 試運転作業組織から運転作業組織への移管は、知見と経験が失われないことを確実にするた
めに注意深く管理されなければならない。試運転は、事業者にとって施設に精通するためと、経 営陣にとって積極的な態度と姿勢を含む安全文化を啓発するための機会でもある。
8.6. 事業者は、試運転のすべての段階において安全に責任を負う者や組織が明確に特定されるこ
とを確実なものとしなければならない。安全に対する責任が移管されるときは、責任の移管に関 する取決めが明確に定められなければならない。
8.7. 事業者は、試運転計画と試運転の試験結果を審査し、事業者へ技術的助言を与えるために、
安全委員会(9.15項を参照のこと)を設置しなければならない。
8.8. 試運転の作業工程全体にわたり、規制機関と事業者の間で緊密な連絡が維持されなければな
らない。特に、事業者は安全に直接関係する試験の結果とその解析を、規制機関が審査と承認の ために適宜、利用できるようにすることを確実なものとしなければならない。
試運転の試験と段階
8.9. 試運転計画はいくつかの段階に分割されなければならない。これらの段階には、必要に応じ
て個々の設備試験、統合施設試験、及びコールドプロセス(すなわち放射性物質を伴わない)と ホットプロセス(すなわち放射性物質を伴う)に関係する系統試験を含まなければならない。
8.10. 試運転の試験は、機能グループ別に、また論理的な順序で調整され、さらに合理的に実行
可能な限り、すべての計画された運転の側面を包含しなければならない。
8.11. 事業者は、施設になされるすべての改造が正確に記録され、かつ、それによる可能性のある
影響が評価されるように、設計変更に関する正式の手順を定めなければならない。
8.12. 試運転段階では、事業者は、変更に対する安全評価が設計段階の評価作業から運転段階の
評価作業へ移管されるポイントを定めなければならない。
試運転の手順と報告
8.13. 試運転計画は、監査、評価及び検証のための対策と手順を含まなければならない。これは、
試験が計画通り実施されたことと計画の目的がすべて達成されたことを確認するためのものであ る。試運転の試験で発見されるすべての逸脱や欠陥を是正するための対策も設けられなければな らない。
8.14.定格運転時の化学物質や放射性物質を施設に用いずに、施設とその設備及び系統を効果的に 試験する場合は、ソフトウェアやハードウェアの系統に、試運転のための仮設措置を施す必要が ある場合がある。事業者は、そのような仮設措置の正式記録が保持されることを確実なものとし なければならない。その記録は、施設や系統が運転に入る前の試験の完了時に仮設措置のすべて が取り外されることを確実なものとするために、使用されなければならない。
8.15. 試運転の活動は書面による手順に従って実施されなければならない。この手順書には、試
験の目的、予期される結果と合格基準、試験中に要求される安全対策、必要な注意事項と前提条 件、及び試験要領を含めなければならない。
8.16. 必要であれば、手順書は、安全委員会(9.15項を参照のこと)、外部機関、メーカー及び規 制機関への通知とそれらの関与のためのホールドポイントを含めなければならない。
8.17. これらの試験の範囲、順序、期待される結果と合格基準を包含した報告書は、マネジメン
トシステムに従って適切な詳細さで作成されなければならない。この試験報告書には次の事項を 含めなければならない。すなわち、試験計画と試験結果、収集したデータとその解析の概要、容 認基準との比較結果の評価及び試験に合格したことの記述、逸脱と欠陥の特定、さらに、すべて の是正処置とその是正処置を正当とする理由である。
8.18. すべての試運転の試験結果は、それが事業者により得られたものであれメーカーによるも
のであれ、事業者と規制機関が利用できるようにしなければならず、そして施設の存続期間中、
保持されなければならない。