全般
10.1. 事業者は、施設の停止の充分以前から、施設の最終的な廃止措置のための準備(資金準備
を含む)を整えなければならない。また、この準備は規制機関による承認を受けなければならな い。参考文献[22]に、施設の廃止措置のための要件が定められている。
廃止措置計画
10.2.「規制機関によりそれ以外に承認されない限り、事業者は、施設の存続期間にわたって廃止 措置計画を作成し、これを維持していかなければならない」(参考文献[22]、5.1項)。いくつかの 既存の施設では、最終的な廃止措置を考慮して設計されあるいは運転されてきたわけではないか もしれないが、保守、変更、試験を含むすべての運転上の活動は、事業者により、最終的な廃止 措置を容易にする方法で、行われなければならない。
10.3. 廃止措置計画では、廃止措置段階で発生する廃棄物の保管、処理、輸送及び処分を考慮に
いれなければならない。
10.4. 廃止措置計画の実施と廃止措置の完了を容易にするため、事業者は次の措置を講じなけれ
ばならない。
(a) 廃止措置のために必要な人的財的資源、及び設計と運転に関する専門技術と知識を維持しな ければならず、並びに、そのような情報がすべての支援組織や後継事業者へ引渡されるよう に、設計、建設、運転及び廃止措置プロセスに関係する記録と文書を保存しなければならな い。
(b) 最終の放射線調査結果のような重要な情報とともに記録と文書を、廃止措置の完了後に規制 機関によって定められる期間中、確実に維持しなければならない。
(c) 許認可条項によって求められるあらゆる安全関連情報を、計画的に規制機関に報告しなけれ ばならない。
10.5. 廃止措置計画は、特に、施設や規制要件の変更、技術の進歩、及び最後に廃止措置作業の 必要性を反映するために、定期的に評価されなければならず、また、必要に応じて最新化されな ければならない。異常事象が発生した場合には、新しい廃止措置計画又は既存の廃止措置計画の 修正が要求されねばならない。
廃止措置作業
10.6. 施設の運転停止が決定された場合、その廃止措置に法的責任を有する組織は、施設を廃止
するための許認可申請書を最終廃止措置計画書[参考文献 2、参考文献 22]と共に規制機関へ提出 しなければならない。
10.7. 施設の運転は停止するが廃止措置は延期することを意図する場合、そのような選択が安全
であること、また廃止措置計画の作成時に運転停止期間中に起こり得る事象が考慮に入れられて いることが、最終廃止措置計画書の中で説明されなければならない。将来の世代に過度の負担が 課されないであろうことが説明されなければならない。延期期間中の安全を確実なものとするた め、適切な保守、監視計画が作成され、規制機関の承認を得なければならない。
10.8. 例えば、事故により施設が突然停止した場合には、承認された廃止措置計画に従って廃止
措置を開始する前に、施設は安全な状態に戻さなければならない。
10.9. 廃止措置作業では、短期間の間に大量の廃棄物が発生する可能性があり、また廃棄物の種
類と放射能量は様々である可能性があり、大型の廃棄物も出ることがある。事業者は、適切な方 法が廃棄物を安全に管理するために利用できることを確実なものとしなければならない。解体技 術と除染技術は、廃棄物の発生と空気汚染を最小限に留めるように選択されなければならない。
10.10. 大型設備の除染、切断と取扱い、及びいくつかの既存の安全系の段階的な解体や撤去のよ
うな廃止措置作業は、新たな危険性を生み出す可能性がある。これらの作業の安全への影響は、
それらの危険性が緩和されるように、評価され、かつ、管理されなければならない。
10.11. 事業者は、廃止措置の間だけでなく、廃止措置を行った敷地のその後の所有又は使用の結 果から生じる被ばくに対しても、作業員と公衆の構成員の両者の防護を確保しなければならない。
事業者は、参考文献[12]に従って定められた国の放射線防護要件を適用しなければならない。
10.12. 施設の廃止措置を実行する従業員は、そのような作業に関して適切に訓練を受け、認定さ
れなければならない。事業者は、従業員が、当面のことと関係のある環境、健康及び安全に関す る基準を明確に理解し、かつ、履行することを確実なものとしなければならない。
廃止措置の完了
10.13. 敷地が無制限の使用に解放され得る前に、規制機関が定める終点条件を満たしていること
を証明するための調査が行われなければならない(参考文献[22]、9.2項を参照のこと)。
10.14. 敷地が無制限の使用に解放できない場合、人の健康と環境の保護を確保するため、適切な
管理が維持されなければならない(参考文献[22]、9.6項を参照のこと)。
10.15.すべての必要な最終確認調査を含む最終廃止措置報告書が作成され、適宜、他の記録とと もに保持されなければならない。
付属書Ⅰ
ウラン燃料加工施設に特有の要件
以下の要件は、天然ウラン、高濃縮ウラン又は再処理されたウランから得られた、235U濃縮度6%
を超えない低濃縮ウランの UF6から、燃料集合体(例えば PWR、BWR、HWR、CANDU及び AGR用の燃料集合体)を製造するウラン燃料加工施設に特有のものである。これらの要件は、天 然ウラン又は金属ウランの燃料を取扱う施設には適用しない。このウラン燃料加工施設の要件を 満たすための指針は、参考文献[23]に提示されている。
設計
安全機能
I.1. 施設は、臨界事故及び危険物質の事故時の放出を防止するように設計されなければならない。
その設計は、通常運転からの放射線被ばくを合理的に達成可能な限り低く維持するものでなけれ ばならない。
工学的設計
I.2. 放射性物質と同様に、化学上の危険性を閉じ込めるには、作業場や環境へのすべての経路を
含まなければならない。
臨界防止
I.3. 臨界安全は防止対策によって確保されなければならない。
I.4. 臨界安全を達成するためには、管理上の対策よりも、実行可能な範囲で設計が優先されなけ
ればならない。
I.5. 臨界安全は、予期される運転時の事象(例えば容器に入れ過ぎること)、設計基準事故あるい
はそれに同等な事象(例えば火災、溢水又は冷却能力の喪失による)時に、次に示す系統のパラ メータの1つ又はそれ以上を通常運転時の未臨界制限値以内に維持することにより達成されなけ ればならない。
(a) あるプロセスに存在する核分裂性物質の質量と濃縮度
(b) 処理装置の形状寸法(寸法や形状の制限)
(c) 溶液中の核分裂性物質の濃度
(d) 減速度
(e) 反射材の管理
(f) 適切な中性子吸収材の存在
I.6. ウラン燃料加工施設の設計の安全は、下記の重要な因子を単独で又は組合せて考慮した、特
有の臨界安全解析によって立証されなければならない。
(a) 濃縮度について、施設のあらゆる部分での最大許容濃縮度は、この濃縮度レベルに達する ことがあり得ないことを二重偶発性原理に従って立証されない限り、すべての評価におい て使用されなければならない。
(b) 質量について、臨界安全は、十分な裕度をもって評価されなければならない。
(c) 形状寸法について、解析には、施設の配置と、配管、容器及びその他のプロセス設備の寸 法を含めなければならない。
(d) 濃度と密度について、保守的な手法がとられなければならない。
(e) 減速について、解析では、起り得る最も反応度の高い条件を決めるために、減速度の範囲 を考慮しなければならない。
(f) 反射について、反射に関しては保守的な仮定が設けられなければならない。
(g) 中性子相互作用について、関与する可能性があるすべての施設ユニット間の中性子相互作 用が考慮されなければならない。
(h) 中性子吸収材について、安全解析において考慮されるとき、また劣化のリスクがあるなら ば、中性子吸収材の存在と健全性は定期的な試験で検証可能なものでなければならない。
中性子吸収材パラメータ(例えば、質量と密度)の不確実さが臨界計算において考慮され なければならない。
I.7.核分裂性物質の質量がしきい値を超える区域でのウラン燃料加工施設に関する臨界安全が、国 の規定に従って、立証されなければならない。臨界安全に関する安全上重要なSSC及び運転制限 値と条件は、そのような解析に基づいて導かれなければならない。