第7章 枠組壁工法床の重量床衝撃音遮断性能の向上方法
7.3 施工者の課題への対応
官民一体となり,性能表示を促進するための更なる検討を進める必要がある。
7.3.3
簡易な自社性能評価方法の検討7.3.3.1
性能表示の現状木造民間賃貸共同住宅で床衝撃音遮断性能を表示するには,日本住宅性能表示制度 を利用することが最も簡単な方法である。これは同制度の表示すべき住宅の性能に関 する評価方法の基準に定められている,相当スラブ厚
11 cm
の仕様に合致するかを判 断するものである。これ以外の仕様の場合は,特別認定評価を受けなければ表示でき ない。同制度で新たな遮音工法を設計段階で判定するためには,
RC
造床のように多くの測 定実績や理論構築が必要で,木造床については,まだデータが不足しているのが現状 である。データ蓄積や理論構築は,今後も進めていかなければならないが,当面の対策とし ては,自社評価による表示が行えると良いと考える。
重量床衝撃音レベルの実測機器は,最低限とした場合にタイヤ衝撃源,ゴムボール 衝撃源,騒音計
2
台という構成になる。合計コストは約200
万円で中小の事業者では 対応できないと考えられる。また,1
室測定に1
日かかるため負担も大きい。そこで,より低コストで時間のかからない簡易測定方法を検討した。
本論の結論でもある,ゴムボール衝撃源を衝撃源として,評価は最大
A
特性床衝撃 音レベルとする。これにより,1室最短で2
分,コストはゴムボール衝撃源,騒音計 1台で合計40
万円程度である。7.3.3.2
簡易評価方法の検討これまで,木造共同住宅において測定した重量床衝撃音レベルの結果
28
件について,JIS A 1418-2
に従って,加振点を室対角5
点,受音点を室対角5
点(マイクロホン高 さはランダム)で測定した場合と,簡易評価方法1
として,加振点を室中央1
点,受 音点を室中央1
点の場合,簡易評価方法2
として受音点を室対角5
点の場合の測定結 果を比較した。図
7.5
にJIS
の測定と簡易評価方法1
の各周波数帯域の床衝撃音レベルの関係を示 す。衝撃源はゴムボールである。簡易評価方法1
の受音点の高さは1800 mm
である。63 Hz
帯域のみ両者の差が大きくなっていることがわかる。これは,天井から放射さy = 0.80 x + 12.01 R² = 0.82
30 40 50 60 70 80 90
30 40 50 60 70 80 90
5点加振5点受音点の床衝撃音レベル[dB]
250 Hz 帯域(1/1oct.)
y = 0.77 x + 11.01 R² = 0.88
30 40 50 60 70 80 90
30 40 50 60 70 80 90
5点加振5点受音点の床衝撃音レベル[dB]
500 Hz 帯域(1/1oct.)
y = 0.85 x + 19.50 R² = 0.89
50 60 70 80 90 100 110
50 60 70 80 90 100 110
5点加振5点受音点の床衝撃音レベル[dB]
63 Hz 帯域(1/1oct.)
y = 0.74 x + 16.32 R² = 0.70
40 50 60 70 80 90 100
40 50 60 70 80 90 100
5点加振5点受音点の床衝撃音レベル[dB]
125 Hz 帯域(1/1oct.)
中央1点加振中央1点受音点の床衝撃音レベル [dB]
中央1点加振中央1点受音点の床衝撃音レベル [dB]
図
7.5
JIS の測定方法と簡易測定の床衝撃音レベル比較中央1点加振中央1点受音点の床衝撃音レベル [dB]
中央1点加振中央1点受音点の床衝撃音レベル [dB]
(3) 250Hz
帯域(4) 500Hz
帯域(1) 63Hz
帯域(2) 125Hz
帯域れた音は床面との反射を繰り返すが,天井高さは
2400 mm
であるため,63 Hz
帯域 の音の半波長と一致し,上下中央部で最も音圧が高くなるためである。マイクロホン高さは
1800mm
のため少しずれているが平均値よりも高い音圧を測定することになる。他の周波数帯域では波長が短いため中央部でも平均値に近い結果が得られた。
次に,単一数値評価量である
L
数とL
iA,Fmaxの比較を行った。図7.6
にJIS
の測定y = 0.83 x + 14.67 R² = 0.68
30 40 50 60 70 80 90
30 40 50 60 70 80 90
中央1点加振中央1点受音点のL数[dB]
5点加振5点受音点のL数[dB]
y = 0.88 x + 8.79 R² = 0.82
30 40 50 60 70 80 90
30 40 50 60 70 80 90
中央1点加振中央1点受音点のLiA,Fmax[dB]
5点加振5点受音点のLiA,Fmax [dB]
y = 0.97 x + 4.25 R² = 0.92
30 40 50 60 70 80 90
30 40 50 60 70 80 90
中央1点加振5点受音点のL数[dB]
5点加振5点受音点のL数 [dB]
y = 0.97 x + 2.81 R² = 0.93
30 40 50 60 70 80 90
30 40 50 60 70 80 90
中央1点加振5点受音点のLiA,Fmax[dB]
5点加振5点受音点のLiA,Fmax [dB]
図
7.6
JIS
測定と簡易評価1
の関係(L数)
図
7.8
JIS
測定と簡易評価2
の関係(L数)
図
7.7
JIS
測定と簡易評価1
の関係(
L
iA,Fmax)図
7.9
JIS
測定と簡易評価2
の関係(
L
iA,Fmax)結果と簡易評価方法
1
の測定結果のL
数の関係を,図7.7
にL
iA,Fmaxの関係を示す。L
数はその決定周波数が63 Hz
となることが多いため相関の寄与率は低めになった。L
iA,FmaxはL
数よりも寄与率が高くなっており,簡易評価としては使用できそうである。簡易測定方法
2
とJIS
測定の関係を図7.8
及び図7.9
に示す。簡易評価方法1
に比 べて明らかに寄与率が高くなっている。周波数特性を収集せずにL
iA,Fmaxのみで測定 を行うのであれば,受音点を5
点としても所要時間は差ほど長くはならないだろう。望ましくは,騒音計に周波数分析機能のついているものを使用して,各受音点の周波 数帯域毎の結果も記録しておくと
JIS
測定との比較を行いやすいだろう。いずれにしても受音点を少なくした場合は,測定点の高さを明記すべきである。