第 5 章 乾式二重床構造の面材部分の検討
5.3 床衝撃音レベルの測定結果
また,音源室側の床衝撃音の発生音が,床構造を透過して受音室の床衝撃音レベル に与える影響を確認するために,標準軽量衝撃源による音源室の床衝撃音の発生音測 定,音源室と受音室の室間音圧レベル差測定を行った。この結果,音源室の床衝撃音 の発生音から室間音圧レベル差を差し引いた値が,床衝撃音レベル測定値に比べて全 ての周波数帯域で
10 dB
以上小さい値であった。よって,影響は無いと判断した。より段階的に大きくなった。
タイヤ衝撃源における床衝撃音レベル差
ΔL
をみると ,63 Hz
帯域では最大で+10 dB
,125 Hz
帯域では+12 dB
などとなっている。既往の論文によると ,RC
造床に乾式 二重床を施工した場合の床衝撃音レベル低減量は , ここで得られた床衝撃音レベル差ΔL
よりも小さい傾向が報告されているたとえば5.7)。これは ,RC
造床に比べてベースと なる基本床の駆動点インピーダンスが小さく,加振された基本床がたわむことにより , 乾式二重床構造部分の空気層の空気ばねによる床衝撃音の増幅がみられなかったため と考えられる。5.3.2
タイヤ衝撃源とゴムボール衝撃源の比較タイヤ衝撃源とゴムボール衝撃源の床衝撃音レベル差
ΔL
(図5.5(1)
と図5.5(2)
)を 比較すると ,125 Hz
帯域以上において明らかにゴムボール衝撃源のΔL
の方が大きいこ とがわかる。図
5.6
に各仕様のタイヤ衝撃源の床衝撃音レベルからゴムボール衝撃源の床衝撃音-20 -10 0 10 20 30 40
63 125 250 500
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
床衝撃音レベル差[dB]
-20 -10 0 10 20 30 40
63 125 250 500
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
A0 A1 A2 A3 A4 A5 床衝撃音レベル差[dB] A6
-20 -10 0 10 20 30 40
63 125 250 500
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
床衝撃音レベル差[dB]
図
5.5
床衝撃音レベル差(1)
タイヤ衝撃源オクターブバンド
中心周波数[Hz] オクターブバンド
中心周波数[Hz] オクターブバンド 中心周波数[Hz]
(2)
ゴムボール衝撃源(3)
ゴムボール衝撃源0.1 m
落下-10 0 10 20
63 125 250 500
基本床, A0
衝撃力暴露レベル差 A1, A2, A3, A4, A5, A6
床衝撃音レベルの差 [dB] 衝撃力暴露レベルの差 [dB]
図
5.6
床衝撃音レベルの差L
H(1)-H(2)と 衝撃力暴露レベルの差L
I(H(1)-H(2))-20 -10 0 10
63 125 250 500
床衝撃音レベル差の差[dB]
図
5.7
床衝撃音レベル差の差ΔL
H(1)-H(2)は平均値
オクターブバンド中心周波数 [Hz] オクターブバンド中心周波数 [Hz]
レベルを差し引いた値
L
H(1)-H(2)と , タイヤ衝撃源の衝撃力暴露レベルからゴムボール 衝撃源の衝撃力暴露レベルを差し引いた値L
I(H(1)-H(2))を示す。乾式二重床構造を施工 していない基本床とA0
のL
H(1)-(2)は,L
I(H(1)-H(2))に近い値になっているが,乾式二重 床構造であるA1
からA6
のL
H(1)-(2)は,L
I(H(1)-H(2))との差があり,ほぼ一定の値となっ ている。これはRC
造床に対する既往の論文5.7)と比較すると近い結果になっており , この差がタイヤ衝撃源とゴムボール衝撃源の床衝撃音レベル差ΔL
の違いに表れてい ると言える。また , タイヤ衝撃源における床衝撃音レベル差からゴムボール衝撃源の同レベル差 を差し引いた床衝撃音レベル差の差
ΔL
H(1)-H(2)を図5.7
に示す。RC
造床に対する乾式 二重床構造の床衝撃音レベル低減量について検討した既往の論文5.8)に示されている タイヤ衝撃音とゴムボール衝撃源を用いた場合の差と比較すると , ほぼ同様の結果に なっていることがわかる。つまり , 木造床に乾式二重床構造を施工した場合のタイヤ 衝撃源とゴムボール衝撃源の床衝撃音レベルの関係はRC
造床に施工した場合の結果 と一致する傾向がみられた。これらの結果はいずれも,乾式二重床構造の場合に,タイヤ衝撃源よりもゴムボー ル衝撃源の床衝撃音レベル差が大きくなることを示しているが,この要因については 他の論文においてもいまだに解明されていない部分であり,今後の課題としたい。