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64 5.3.2 イオン再結合補正
ファーマ形電離箱(30013, PTW社)およびスキャニング型電離箱(31010, PTW社)をSCD
100 cm、水ファントムの10 cm深および20 cm深に配置し、照射野は10 cm×10 cmにてリニ
アック(TrueBeam, Varian medical systems社)の6 MV FFおよび6 MV FFFビームを照射し た。電位計(Supermax, Standard Imaging社)の印加電圧を100 Vから400 Vまで変化させ、
印加電圧を切り替えた際は、表示値を安定させるために1000 MU以上のプレ照射を行った。
まず、6 MV FFおよび6 MV FFFビームによる1/V-1/Mプロットを比較した。次に、
1/V-1/Mプロットの直線部を外挿した切片からMsatを求め、常用電圧Vにおけるksを式5.4より 算出し、2点電圧法によるksと比較した。最後に、DPPに対してksをプロットし、DPPとks
の関係を明らかにした。
5.3.3 空気に対する水の質量衝突阻止能比の算出
治療領域の光子ビームのエネルギースペクトルは直接計測することは困難であるため、現 在はモンテカルロ法を用いてシミュレーションによって決定することが一般的である。モン テカルロ法は照射過程での物理現象を忠実に再現することができるため、本報告ではモンテ カルロシミュレーションを用いて、リニアックの治療ヘッドから発生する光子の解析、水中 の校正深における線量分布計算によるコミッショニング、エネルギースペクトルの計算、空 気に対する水の平均制限質量衝突阻止能比の算出を行った。
5.3.3.1 治療ヘッドのモデリング
本報告ではモンテカルロシミュレーションコードとしてEGSnrc54,55)のユーザコードである
BEAMnrc56)を使用し、リニアック(TrueBeam, Varian Medical Systems社)の治療ヘッドをシミ
ュレーション上に再現した。現在ジョーより上流の構造は非公開であるため、メーカのホー ムページから取得したphase spaceデータ57)をBEAMnrcコード57)の入力に使用し、ジョーから 下流の構造は設計図に従い詳細に構築した。治療ヘッドの構造はビームの進行方向に従って、
phase spaceデータの入射面、ジョー、phase spaceデータのサンプリング面である。シミュレー
ションでは、ベースプレートとマルチリーフコリメータ(Multi leaf collimator, MLC)は構造 が複雑であるため、標準条件では照射野の整形に使用されず、スペクトルに与える影響を無 視できると考えることができるため構築しなかった。SSD = 100 cmの位置に設定した平面に 入射する照射野10 cm×10 cmにおける粒子の種類、エネルギー、進行方向(phase spaceデータ)
をサンプリングした。使用したphase spaceデータはFFビームの公称4 MV、6 MV、8 MV、10
MV、15 MV、FFFビームの公称6 MV、10 MVである。ヘッド部のシミュレーションでは光子
および電子のカットオフエネルギーをそれぞれPCUT=0.189 MeV、ECUT=0.7 MeV、ヒストリ ー数を2×109とした。
シミュレーションによるエネルギースペクトルの正しさを保証するために、線量分布の測 定値と計算値を比較する方法が一般的に用いられている58,59)。本研究では、リニアックの代 表的なビームデータ集(Representative Beam Data, RBD)47)のPDDおよびOARを、モンテカル ロシミュレーションによる計算値と比較してシミュレーションの精度を検証した。PDD、
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OARの計算はSSD=100 cmでのphase spaceデータをDOSXYZnrcモンテカルロシミュレーショ ンコード60)の入射ビームとして使用し、コード化した30 cm×30 cm×40 cmの水ファントムに 入射させて中心軸のPDDと10 cm深のOARの計算を行った。DOSXYZnrcは任意に作成したフ ァントムのボクセル毎の吸収線量を計算するEGSnrc54,55)のユーザコードである。PDD、OAR のシミュレーションでは光子および電子のカットオフエネルギーをそれぞれPCUT=0.01
MeV、ECUT=0.521 MeV、ヒストリー数を2×109とした。スキャン方向のファントムの寸法は
電離箱線量計(CC13, IBA社)の電離空洞の直径である0.6 cmに近い値である0.5 cmとした。
各ボクセルziに付与された吸収線量D(zi)を算出しPDD(zi)(%)を次式で評価した。
max
( ) 100 ( )
( )
i i
PDD z D z
= D z (5.5)
ここで、zmaxは吸収線量が最大となる深さである。また、OARは各ボクセルxiに付与された吸 収線量D(xi)を算出しOAR(xi)を次式で評価した。
axis
( ) ( )
( )
i i
OAR x D x
= D x (5.6)
ここで、xaxisビーム中心と一致するボクセルである。
シミュレーションで得られたPDDとRBDのPDDの相対偏差δ(%)は以下の式で評価した。
cal RBD
PDD
RBD
100PDD PDD
δ = PDD− (5.7)
同様に、シミュレーションで得られたOARとRBDのOARの相対偏差δ(%)は以下の式で評 価した。
cal RBD
OAR
RBD
100OAR OAR
δ = OAR− (5.8)
5.3.3.2 光子エネルギースペクトルの算出
SSD =100 cmの位置で算出したphase spaceデータを入力としてBEAMDPプログラム63)を用 いて空中での中心軸の光子エネルギースペクトルを算出した。中心から半径 2 cmの円に到 達した光子エネルギーをサンプリングした。エネルギービンは0.05 MeVごとに分割した。
5.3.3.3 空気に対する水の平均制限質量衝突阻止能比の算出
任意の物質に対するSpencer-Attixの平均制限質量衝突阻止能比を計算するEGSnrc54,55)のユ ーザコードであるSPRRZnrc61)を使用して、基準条件、校正深における空気に対する水の平均 制限質量衝突阻止能比( / )L ρ w,air(カットオフエネルギーΔは10 keV)を算出した。SSD=70 cm
のphase spaceデータを入射ビームとして使用し、光子および電子のカットオフエネルギーを
それぞれPCUT=0.01 MeV、ECUT=0.521 MeV、ヒストリー数を5×108とした。
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