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医療用リニアック

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2.2 医療用リニアック

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2.2.2 フラットニングフィルタの役割

高エネルギー光子線の一次光子のフルエンス分布は、ターゲットでの制動放射により前方 に凸な形状を示す。この形状は光子エネルギーによって変化する。そのため、この影響を補 正するために医療用リニアックの治療ヘッド部にフラットニングフィルタが採用されてい る。フラットニングフィルタの一般的な形状は円錐形で中心の厚さは数センチメートルであ る。原子番号の高い物質から成るため、中心軸ほどフルエンスを減少させ、特定の深さでほ ぼ均一な線量プロファイルが得られている。

しかし、近年登場した、小照射野を利用する定位放射線照射(Sterotactic raidotherapy, SRT) ではフラットニングフィルタを要せずとも均一な線量プロファイルが得られ、照射野内のフ ルエンスを変化させる強度変調放射線治療(Intensity modulated radiotherapy, IMRT)では均一 な線量プロファイルを必要としない。そのため、高線量率が期待できるflattening filter-free

(FFF)ビームを搭載した医療用リニアックへの関心が高まった。

27 2.2.3 flattening filter-freeビームの特徴

このような背景から登場したFFFビームはフラットニングフィルタを有するFFビームと比 較して以下のような特徴を有する。

2.2.3.1 深部線量分布

FFビームと同一の電子加速エネルギーでは、ビームハードニング現象による平均エネルギ ーの増加が起こらないため、同一深さでのFFFビームの深部線量分布(percentage depth dose, PDD)は減少する27)。図2.5にリニアック(TruBeam, Varian medical systems)の照射野10 cm×10

cmの6 MV FFビームおよびFFFビームの深部線量百分率(PDD)を示す。FFビームの10 cm深

のPDDは66.5 %であるのに対して、FFFビームでは63.3 %に減少した。FFFの6 MVビームの

PDDは標準的な4 MVもしくは5 MVビームのPDDに、FFFの18 MVビームのPDDは典型的な15 MVビームのPDDに相当すると報告されている28)

図2.5 照射野10 cm×10 cmの6 MV FFビームおよびFFFビームの 深部線量百分率(PDD)の比較

0 20 40 60 80 100

0 5 10 15 20 25 30

with flattening filter without flattening filter

Percentage depth dose

Depth in water (cm)

28 2.2.3.2 軸外線量比

図2.6に示すように、FFFビームでは大照射野になると中心軸の軸外線量比(off axis ratio, OAR)が高く裾ほど低下する。OAR形状は光子ビームエネルギーに依存し、エネルギーが高 いほど前方への放射が多くなるため、中心軸と裾のOARの高低差は大きくなる28)。また、FF ビームでは測定深が深くなるほど中心軸外の線量が顕著に低下する。これは、中心軸ほど光 子の平均エネルギーが高いためであると考えられ28)、フラットニングフィルタの無いFFFビ ームではこの影響はほとんどみられない。

図2.6 照射野40 cm×40 cmの6 MVビームの軸外線量比(OAR)

x軸は、FFビームは50 %線量位置で、FFFビームは30 %線量位置で正規化された中心軸から の距離である。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

depth = 5 cm depth = 20 cm

Relative dose

Normalized distance

without flattening filter

with flattening filter

29 2.2.3.3 線質

AAPM TG5125)やIAEA TRS-3987)のような従来の線量計測法が提供する補正係数や阻止能

比は、FFを有する従来のリニアックの光子スペクトルに基づく。しかしこれらのエネルギー スペクトルは臨床の環境において計測で決定することが難し。そのため、これらのプロトコ ールでは、基準照射野での深部量百分率あるいは組織ファントム比から容易に導くことがで きる線質指標(%dd(10)XTPR20,10)から線質を決定する。

線量決定には空気に対する水の阻止能比が重要であるが、このパラメータにもスペクトル の相違が影響する。Xiongら29)は、FFFビームに対してTG-51に従い%dd(10)Xの関数による阻 止能比を不確かさがわずかに大きくなるが適用できると結論づけた。また、TRS-398に従い

TPR20,10による阻止能比を使用する場合は阻止能比を0.5 %程度過大評価することを示した。

ただし、彼らのシミュレーションには散乱光子および混入電子除去のための金属フィルタが 含まれていなかった。そのため、実際の阻止能比とは異なる可能性がある。

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