• 検索結果がありません。

特集2

■資料2-5-1-11 新司法試験の合格状況(法学部出身者・非法学部出身者別)■

■資料2-5-1-13 各年度修了者の新司法試験の合格状況(累積合格率)■

■資料2-5-1-12 新司法試験の合格状況■

【注】1.数値は、文部科学省から提供を受けた資料をもとに、日弁連が作成したもの。

   2. 累積合格率とは、法科大学院を修了後、5年以内3回までの司法試験の受験制限のもと、どのくらいの受 験者が合格したかその割合をいう。

【注】 「中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会(第47回)」によるもの。但し、2012年につい ては、法務省公表資料によるもの。

【注】法務省公表資料をもとに、日弁連が作成したもの。

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年

法学部系出身者(A)(人) 893 1,439 1,618 1,617 1,679 1,689 1,685

 合格率 48.8% 41.9% 35.0% 29.4% 27.5% 25.9% 26.8%

非法学部系出身者(B)(人) 116 412 447 426 395 374 359

 合格率 44.6% 35.2% 27.3% 22.6% 19.2% 16.7% 17.7%

全体(A+B)(人) 1,009 1,851 2,065 2,043 2,074 2,063 2,044

合格率 48.3% 40.2% 33.0% 27.6% 25.4% 23.5% 24.6%

修了年度 修了者数

(人) 累積合格者数

(人) 累積合格率 既修者 未修者

2005年度修了者

(2006~2010年受験可) 2,176 1,518 69.8% 69.8% − 2006年度修了者

(2007~2011年受験可) 4,418 2,188 49.5% 63.4% 39.5%

2007年度修了者

(2008~2012年受験可) 4,911 2,273 46.3% 65.4% 32.6%

2008年度修了者

(2009~2013年受験可) 4,994 2,300 46.1% 68.0% 30.5%

2009年度修了者

(2010~2014年受験可) 4,792 2,121 44.3% 64.7% 30.3%

2010年度修了者

(2011~2015年受験可) 4,535 1,722 38.0% 54.0% 26.5%

2011年度修了者

(2012~2016年受験可) 3,937 1,027 26.1% 39.2% 15.3%

受験者数(人) 合計者数(人) 合格率(%)

(年)

(人) (%)

2006

0 0.0

10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0

2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012

2,091 48.3

40.2

33.0

27.6 25.4 23.5

1,009

4,607

1,851

6,261

2,065

7,392

2,043

8,163

2,074

8,765

2,063

25.1 8,387

2,102

 

(2012 年9月現在)

1 法曹養成制度の改革は、法曹が国民の期待に対応して いないとの認識の下、当初、司法試験制度の改革として 始まった。

  1988(昭和63)年3月、法務大臣の下に設置された 法曹基本問題懇談会は、「当時の法曹界の現状が国民か ら縁遠く、裁判に時間が掛かりすぎ、国民の権利擁護に 問題が少なくない」「検察が十分な後継者を確保できて おらず、国民の期待する検察体制の維持について危惧が ある」等と指摘した。そして、同懇談会は、「現状の司 法試験制度は、合格率がわずか約2%、合格者の平均年 齢は約28歳、合格までの平均受験回数が約6回となって おり、長期間の受験勉強に専念しなければならず、若年 者の相当多くが法曹以外の職域に進む一方、合格者の多 くが社会人としての経験を積む機会がなく、他の分野で 活躍する同世代の者に比べて相当遅い時期に実務家とし ての教育を受け始める状態になっている」とし、「この ような現状は、法曹界が国民の期待に応え得る後継者を 確保するという観点から見て、もはや放置しがたいもので あるというほかない。」と指弾した。

  この流れの中で、1990(平成2)年10月16日、法曹 三者は、司法試験制度改革に関する基本的合意をまとめ た。ここでは、合格者の増員を図る一方で、法曹養成制 度等改革協議会を設置し、1996(平成8)年実施予定 の丙案のための検証を行うことが合意された。そして、

1997(平成9)年10月28日、法曹三者は、前記改革 協議会の意見を受け、「司法試験制度と法曹養成制度に 関する合意」をとりまとめ、平成11年度から司法試験 合格者を年間1000人程度へ増加するとともに、司法修 習を1年6

月とした。さらに、この時点で、司法試験 合格者数を年1500人程度とすることも議論された。

  この一連の経過を見ると、実は司法制度改革以前から 一貫して、法曹は国民にとって遠い存在であり、過度な 受験競争のために、若い優秀な層が法曹界を目指さない と批判されていたのである。

2 ところが、このような司法試験制度の改善をはかった ものの、旧制度下では、この司法試験という「点」を 通過することにあまりに大きなウエイトが置かれたた め、多くの法曹志望者が司法試験という受験に合格する こと、すなわち、「点」を通過することが法曹教育の基 本となってしまった。そして、この「点」通過のための 処方箋について、大学や大学院が無関心であったため、

勢い、法曹志望者の予備校への依存度が高まり、その予 備校では司法試験を合格することが最大の眼目であった

ため、受験生は合格しやすい答案を作成することになっ た。その極端な形が、ある抽象的な法的論点について書 き方を学ぶ、いわゆる「論点ブロック」であった。結 果、旧試験では、答案が金太郎飴のようになってしまっ たと批判された。

3 このような旧制度の問題点が指摘されていた中で、司 法制度改革が始まった。司法制度改革は、法曹、主とし て弁護士を「社会生活上の医師」と位置づけ、その医師 である弁護士が、法の光の当たらない地域や分野に積極 的に進出し、弁護士による公平・公正な社会を実現する こと(いわば、弁護士による「法の支配」の実現)を目 指した。司法制度改革は、突き詰めれば、国民が自律的 存在として生き生きと活動するために、そのサポーター としての弁護士の必要性を謳ったのである。したがっ て、その弁護士をどのように養成するかが、必然的に重 要な課題となる。

  この課題の解決について、前記のような弊害を持つ旧 制度での単なる量的増員手法は、認められなかった。司 法制度改革では、「点」による過度な選抜ではなく、

法曹志望者がきちっと学修できる制度的システムを用意 し、そこに優れた研究者と実務家を教員として配置、

理論と実務を有機的に結びつけながら、日々の双方向・

多方向授業を施すことで、学生の基礎的な法的思考力等 を鍛えることを目指した。そこでは、司法試験に合格す るために手法を学ぶのではなく、法曹になるために必要 な基本的教育が施されるのであった。そして、この基本 的教育こそ、裁判官や検察官になろうとする者も学修す ることになる極めて重要な下地作りであった。この点が 法科大学院教育の本質であって、この下地作りに、多く の弁護士教員が関わることになった。つまりは、法曹志 望者は、当事者法曹である弁護士から、法曹としての下 地作りを受けることになり、司法修習においては、当事 者法曹としての弁護士の下地の上に、分野別の研修が実 施されることになったのである。これは、実質的に見れ ば、教育的には法曹一元が実行されているのであり、し たがって、弁護士会は、多くの優れた弁護士教員を、法 科大学院に送る必要があり、それゆえにこそ、法科大学 院は法曹養成の中核たる地位を占めるのである。

  法科大学院の本質は、弁護士が、弁護士志望を含む法 曹志望者に対し、国民のサポーターとしての当事者法曹 教育を施すことにあり、それは、法曹一元の理念に合致 するのみならず、司法制度改革の理念にも合致するので ある。

法曹養成制度 -改革前と改革後-

三澤 英嗣

(東京弁護士会・日弁連法曹養成対策室室長)

◆コラム◆

特集2

関連したドキュメント