参考書
西尾真喜子:確率論(実教出版,1978)Ya.G.シナイ:確率論入門コース(シュプリンガーフェアラーク東京,1995)
福島正俊:確率論(裳華房,1998)
A.N. Shiryayev: Probability (Springer, 1984) を参考書として推薦した.
コメント
講義の回数など
講義回数 休講回数 代講を頼んだ回数(その依頼先) 補講回数 TAの有無
(回) 15(但し,1回は期末テスト) 1 0 0 無
火曜日の講義であったために,他の曜日よりも講義回数はとれたので,海外出張の間,一回だけ休講にし た.また,教育実習生に配慮して,期末テストは7月の最終講義の日に行った.
受講者数,合格者数の内訳
学部 大学院 その他
F印:対象学年 F F (他学科等)
学年 1年 2年 3年 4年 M1 M2 D 総数 受講者数(人) 0 0 0 26 14 9 0 0 49 合格者数(人) 0 0 0 7 12 6 0 0 25
出席状況
初回は42名,2回目は31名であったが,その後は 25〜30名で最後まで安定して推移した(例えば7 月9日は28名.期末試験を受けたのは30名).なお,2回ほど出席を取り忘れたことがあったが,その 場合も他の日と同じような出席者数だったと思う.
前期・確率論II/確率論概論II 2002年度講義結果報告
B: コースデザインとの比較,引継事項
○当初予定の講義の目標
(1)確率論の基本的な枠組みを理解する,(2)基本的な極限定理を理解する,(3)重要な応用(実例)
として,ランダムウォークとブラウン運動を理解する,の3つの目標をたてた.ただし,(1)については 学部3年次に「確率論」の講義が既に開講されており,4年生や内部進学の修士一年生はある程度の知識が あるとも考えられた.そこで,(1)は確率論を知らない人用に大枠を述べるにとどめ,(2)と(3)に主 力を注ぐ計画を立てた.
○達成できた内容
(1)は当初から深入りはしない予定だったので,大体予定通り.(2)も大体予定していた範囲はこな せたと思う.(3)は時間の関係もあり,少し駆け足になってしまった.
○達成出来なかった内容
まず,(3)の内容については時間不足から予定よりも駆け足になってしまった.さらに,(1)に属する 基礎的事項(特に測度論関係)を意識的に避けていたため,ブラウン運動などの高度な内容にはいるための 準備も不足しがちであった.これらの理由により,ブラウン運動に関しては,その定義と基本的性質を紹介 するにとどまってしまった.
○分析および自己評価
確率論の基礎からブラウン運動まで,というのは,少し野心的すぎる試みであったと反省している.通 常は(1)の確率論の枠組みは既知として,(2)(3)を行うのであろうと思われる.今回は確率論未履修 者への配慮として(1)を加えた分,時間が足りなくなったものである.むしろ,(3)は完全にあきらめ て,(1)(2)に時間を使うべきだったかもしれない.(今度の4年生からは3年次の確率論がなくなるので,
(1)(2)に絞ることには十分に意味がある.)
なお,4年生と大学院生,および確率論既習者と未習者,という2つの異なったグループを相手にしたの で,レベルの設定が非常に難しかった.僕の能力ではどこかに的を絞らざるをえず,結局,易しすぎる結果 になったのではと恐れている.講義アンケートでも「難しすぎる」がたった一名しかいなかったのは良いこ とでもあろうが,気にはなっている.
C: 講義方法
○講義の基本的な構成,工夫した点
4年生と大学院向けのBasic courseであったため,できるだけ多くの学生がついてこれるように心がけ た.重要な概念は,たとえ学部3年までに習っているはずでも簡単に説明して思い出させる.新しい概念は できるだけ具体例や反例とともに導入する,など.
○講義内演習の方針,目標
一こまの講義であったので,講義の中で演習をやる時間はとてもなかった.その代わりに,二回に一回を 目標として,レポート問題を出題した.提出されたレポートは採点して次回の講義時に返却し,同時に「模 範解答」や「解説」を講義中におこなった.(レポートは合計6回になった.)
2002年度講義結果報告 前期・確率論II/確率論概論II
○他の講義との関連
これが非常に難しかった.特に,過去の講義(確率論,測度論)を聴講した学生としなかった学生が混在 しており,どうしたものか非常に苦しんだ.(基礎的事項を解説すると過去に学んだ学生は退屈するが,基 礎的事項をとばしてしまうと,過去にやっていない学生は全くついてこれない.)最終的に良い解決法は見 いだせず,この意味で他の講義との関連をうまくつけられたとは言えない.
○学生からのフィードバック
僕はできるだけ親しみやすく講義したいのだが,どうも学生からはなかなか質問がでてこない.そこで隔 回のレポートの採点をとおして,学生の理解度を測ろうと努力した.特に,レポートのできが悪い場合は進 度を気にせずに復習的に説明することを心がけた.講義アンケートでも「難しすぎる」がほとんどなかった ので,理解の徹底はある程度は達成できたのだと思う.
○学生の自己学習の支援
上でも述べた隔回のレポートが割合機能したと思う.質問はできるだけして欲しかったのだが,なかなか してくれなかった.これは今度の課題である.(ただし,特定の数人の学生はオフィスまで来てしつこく質 問してくれたので,納得いくまで応対したつもりである.)
なお,今回も講義ノート(またはレジュメ)を作って配布し,web pageにも掲載した.レポートの解答 などもここに載せた(全体で90ページ弱).これは意外と好評だったようである.
D: 評価方法
○評価の方針
Basic courseであるから,かなりの学生がついてこれる題材で,合格できる基準を作ろうと考えた.しか
し一方で,よくわかっている学生を飽きさせないようにもしようと考えた.結果として
・隔回のレポートを出題する(これは講義の復習の意味合いが強い).
・期末テストを行う(これは実力判定)
を2つの柱とした.さらに,これではまだ余力のある人が不満かと思ったので,「夏休みレポート」を出す ことにした.
最終得点は(レポートの点)と(期末の点)を 1:1および 1:4で平均したものの「良い方」をとること にした.これは,「日頃まじめに勉強する人」はレポート点だけでかなりうまくいく一方で,「独学で試験だ け受ける人」でもそこそこいくように,との配慮である.(講義をしている身としてはもちろん,日々の講 義に出席して学んで欲しいが,独学で学ぶ人もいても良いとは思う.かつての自分を考えると,独学の人が うまくいくようにもしたい.)
○最終評価の方法
レポートの方は講義の復習という性格もあるので,「基礎的問題」と「進んだ問題」に分けて出題し,「基 礎的問題」がある程度解ければ 可と良の中間くらいになるようにした.
期末テストの方は実力判定でもあるので,「基本的考えまでわかっていれば優」「基本的考えは少し怪しい が答えは正しく出せるなら良」との考えで採点した.
最終成績は上に述べたように,(レポートの点)と(期末の点)を1:1 および1:4で平均したものの「良
前期・確率論II/確率論概論II 2002年度講義結果報告
い方」をとることにした.この段階ではあまり小賢しいことは考えず,単純に計算式を当てはめた.
最終成績は以下のとおりであった。(受験者総数34名、合格者25名,ただし,「受験者」には学期の始 めの方だけレポートを提出し,途中で脱落した人も含む.そのような人を含まない「実質的な」受験者は3 0人程度.)
優 良 可 4年生 4 1 2 M1 4 2 6 M2 3 1 2
○評価方法,成績の結果に対する自己評価
例年,評価方法は講義開始時に宣言し,基本的に変えることはない.しかし,今回はやむを得ぬ事情で変 える必要に迫られた.当初は中間テストを予定していたのだが,教育実習への出席生が不利になるなどの 事情で断念せざるを得なかったのだ.この意味で評価方法を講義開始後に変えたことになる.(ただし,そ の場合も講義の半ばまでには評価方法を確定し,何度も宣言したので,混乱はなかったと信じる.)
評価はもちろん,公正に行った.合格基準については上記の変更後は学生にも公開したので,あらかじめ 告知していたと言って良いのではないだろうか.
なお,受講生の中に二人「自分はこの期末テストの出来を恥ずかしいと思っているので,今年度は単位は 必要ない.来年度に再度,チャレンジしたい」と言う人がいた.通常に採点すればその人たちは単位がつく ところであったが,本人の意思を尊重し,また教務委員長とも相談の上,「単位なし」に処置した.
E: 学生の取り組み
○評価出来る点
かなりの学生は学期中のレポートを積極的に出すなどした点.
○改善してほしい点
一方で,折角出題した「夏休み特別レポート」の提出率は高くなかった.出題が夏休みに入ってしまった こともあって,しかたないのかもしれないが,ちょっと残念.