参考書
田辺広城 著,関数解析(上・下)・実教出版 垣田高夫 著,シュワルツ超関数入門・日本評論社 新井仁之 著,フーリエ解析と関数解析学・培風館コメント
なし講義の回数など
講義回数 休講回数 代講を頼んだ回数(その依頼先) 補講回数 TAの有無
(回) 12 2 0 0 無
受講者数,合格者数の内訳
学部 大学院 その他
F印:対象学年 F (他学科等)
学年 1年 2年 3年 4年 M1 M2 D 総数 受講者数(人) 0 0 0 24 3 0 0 0 27
合格者数(人) 0 0 0 4 3 0 0 0 7
出席状況
4/11 学部生15名,院生8名, 4/18 学部生11名,院生6名 4/25 学部生10名,院生5名, 5/9 学部生 8 名,院生6名 5/16 学部生5名,院生5名, 5/23 学部生4名,院生6名 5/30 学部生4名,院生6名, 6/13 学部生 1名,院生 5名 6/24 学部生 3名,院生 4名, 7/4 学部生 3名,院生 4名 7/11 学部生4名,院生5名, 7/12 学部生4名,院生 3名 院生の中には,研究生が一名と単位の取得を希望していない学生が含まれる.
前期・近代解析 2002年度講義結果報告
B: コースデザインとの比較,引継事項
○当初予定の講義の目標
学部における関数解析は,関数空間論と作用素解析の基礎を学ぶことにあると考えるが,これらの一つ の到達点は,共役(双対)空間,共役(双対)作用素という視点を得ることである.結果,(少々乱暴だが)
測度は(ある)連続関数の空間の双対空間の要素と見なせる事がわかり,関数概念の一つの拡張であるL.
Schwartzによる超関数論(Distribution)の基本思想を理解することができる.微分の概念も(双対作用素
の概念を通して)通常の意味では微分不可能な関数にまで拡張され,現在の偏微分方程式論において重要 な役割を演じている.これらの雰囲気を感じ取ってもらえればと思う.
○達成できた内容
関数空間の説明や,その具体例をいくつか上げながら,少々まわりくどくはあったが,必要な事項を話 したのち,Poisson方程式を題材にして超関数論と偏微分方程式論の基礎を解説した.主に緩増加超関数と
Fourier変換の話題が大半を閉めたが,代数的な関数概念の拡張や佐藤超関数についても簡単に触れた.
講義内容
4/11:ガイダンス,解析学小史(微積分〜Fourier級数〜超関数,) D’Alembert の波動公式,Fourierの方法の演習
4/18:関数概念の拡張とその必要性(概説)
・Heavisideの演算子法からMikusinskiの演算子法 常微分方程式の解法,Laplace変換,準整域の拡大 ・Diracのデルタ関数からSchwartzの超関数
Schwartzのidea:双対空間,双対作用素 4/25:超関数とは何か?双対作用素を利用した「微分」の定義 (強い位相を持った小さな空間の必要性)
関数解析学からの基礎的事項 ・局所凸線形位相空間とその種類
(Normed spaces, Banach Spaces, Hilbert spaces, Frechet spaces) 5/9 :古典解析学の各種の収束といろいろな関数空間
(昨年度の関数解析と重ならない例で,完備性の証明など具体的な計算を行った) 5/16:いろいろな関数空間(続)
・線形作用素,双対空間 (局所凸性の必要性),双対作用素 5/23:双対空間の種々の位相と回帰性
急減少関数の空間とFourier変換
5/30:(print2種類を配付:「古典的な関数等式」「Γ関数,Β関数とその周辺」) 急減少関数の空間とFourier変換(続)
緩増加超関数の空間とFourier変換(予備的考察)
・Diracのデルタ関数とFourier変換
・双対作用素として緩増加超関数の空間に Fourier変換を定義する (例に基づいた具体的な計算と佐藤の超関数との関係)
2002年度講義結果報告 前期・近代解析
急減少関数の合成績とFourier変換
全空間の場合のPoissonの方程式の解の表示公式を得る
(厳密には急減少関数の空間で閉じた計算は行えないが,Γ関数を 利用して関数の世界で基本解を用いた表示公式を求めて見せた) 6/13:緩増加関数の空間を導入し,前回得た解の公式が,本当にPoissonの方 程式の解 を与えることをみ,さらに,その解の性質についても簡単に言 及した.熱方程式の初期値問題の解の公式は「急減少関数の空間と Fourier変換」の枠組みで,今までの講義で計算してきたものを用いれ ば,簡単に得られることを説明し,演習問題とした.基本解についても 言及した.
6/20:休講
6/27:Poissonの方程式の解の無限遠での減衰評価
緩増加超関数の空間とFourier変換(章を変えて本格的に)
・緩増加超関数の定義と例 7/4:緩増加超関数の空間と Fourier変換 ・緩増加超関数の定義と例(続)
緩増加超関数の空間の上の種々の作用
・微分,Fourier変換,変数変換,関数乗法,合成積 ・具体的な超関数とその演算;
主値積分,対数関数の一階,および二階導関数,
Hadamardの有限部分など Fourier変換は演習問題とした 合成積とFourier変換
・超関数論的にPoissonの方程式の解の表示公式を得る(前半)
7/11:合成積とFourier変換
・超関数論的にPoissonの方程式の解の表示公式を得る(後半)
・(上の話題と関連して)Lp 関数の世界でのFourier変換 7/18:一般の超関数
○達成出来なかった内容
一般の(Schwartz)超関数の話は,あまりできなかった.超関数は,どんなときに関数や測度と同一視で きるかと言ったことを,ちゃんと説明するためには,連続関数の空間やLp 空間の双対空間の話をちゃんと すべきであったが,このことに時間を割くことができなかったのが残念である.
○分析および自己評価
講義開始当初は,関数解析を受講していないという方々のためにと,関数空間の説明や,その具体例をい くつか上げながら,少々まわりくどくはあったが,必要な事項を丁寧に話し,また,超関数の話を小出しに して興味を引くようにしていたつもりだった.しかし,却って逆効果だったのか,連休明けには,3年次の 関数解析から一番前に張り付いている学部4年生と,見知った顔をの大学院生(と研究生)のみが講義に出
前期・近代解析 2002年度講義結果報告
てくるようになった.こう言った状況であったので,その後は,大学院生の顔ぶれをみて,偏微分方程式と 超関数の方へ話を振った.また,最前列に座った4年生たちに意見にも時折耳を傾けながら講義を進めた.
講義の前半は,やや散漫な印象を与えたかも知れないが,後半は,思ったように講義を進められたのでは と思っている.概念の説明や計算は,親切丁寧を心掛けたので,講義時間中に演習問題を解いてもらうとい うより,こちらで色々な計算をしてみせるといった風になってしまったが,個人的には,このような講義ス タイルも悪くはないとは思っている.
Poisson方程式を題材に選んだのは正解だったと思う.古典的な方法でも超関数論的にも解の公式を得る
ことができるし,どちらも一長一短があることが分り,超関数論と言えども,古典解析学の技法が大切であ ることを伝えることができるからである.超関数の利点を,積極的に伝えるためには,波動方程式の基本解 について,さらに詳しく言及すべきであったかもしれないが,これを講義でやるには,ちょっと重すぎるよ うな気がする.
一般の(Schwartz)超関数の話は,あまりしなかったが,緩増加超関数の話だけでも,Fourier変換で具 体的な計算ができるので, これはこれで題材としは良いと考える.
C: 講義方法
○講義の基本的な構成,工夫した点
解析の計算(特に不等式による評価)は,一度は習わないと分らないと思われるようなものが多いので,
丁寧に話したつもりである.また,超関数の例も,豊富と言う訳にはいかなかったが,大事なものは提示で きたと思う.また,学部2年程度の内容かもしれないが,良く使われるΓ関数やΒ関数の基本事項などはプ リントを配って各自の勉学を促した.
○講義内演習の方針,目標
上記のような理由で,各自が自分でじっくり考えると言う時間を特別にとってと言うよりは,問題を出し ても,こちらで解説していることが多かった.不等式による評価の基本的な方法は理解できたのではないだ ろうか.
○他の講義との関連
いろいろな計算を通して,ルべーグ積分や関数解析無しでは現代の偏微分方程式論は成り立たないこと が,講義の内容からも分かって頂けたと思う.また,複素解析の留数定理の大切さもわかって頂いたと思い たい.粟田先生の大学院講義において佐藤の超関数が出てくるような事を聞いたので佐藤の超関数につい ても簡単にふれた.また代数的な方法(準整域の拡大)によっても,一つの超関数論(Miksinskyの方法)
が展開できることにも触れた.
○学生からのフィードバック
大学院生と一番前の4年生たちに意見を聞きながら講義を進めた.
○学生の自己学習の支援
在室中は部屋のドアを開けているので,積極的な学生は質問によく来た.また,4年生は最前列に座って いて,割と気軽に質問していたように思う.
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D: 評価方法
○評価の方針
レポートのみ.内容は,講義では詳しく話せなかった急減少関数の空間の位相に関する問題と,講義で
扱ったPoisson方程式と熱方程式の復習的な問題.現代の解析学の入り口への案内的な講義であったし,少
人数ゆえに学生達の顔もよくみえたので,これで十分であったと思う.
○最終評価の方法
レポートを10点満点で採点.8点以上が優,6点以上が良,5点以上が可.誘導付きの基本的事項に関 する問題と講義の復習といった問題であったのでこれが妥当なところだと思う.
優 良 可 4年生 2 2 0 大学院 0 3 0
○評価方法,成績の結果に対する自己評価
当初は試験を予定していたが,聴講生が少なくなったのと,熱心に話を聞いている院生の多くが単位に関 係がなかったこともあり,4年生にも意見をもとめてレポートとした.点数に関しては,常々,60点以上 が合格と話していたので,ほぼその通りだと思う.