since 2011.3.11
内部被ばく検査―個別対応等
きめ細やかなサポートが求められる
25年度は、4歳以上の全市民を対象に2回目 の検査が行われた。
セシウム137の半減期が30年であり、内部被 ばく線量は検査までの個々の食生活(経口摂取)
によって個人差が出てくる。実測に基づく確実 な健康不安の解消のためには、検査の継続的実 施と受検率向上の取り組みが欠かせない。これ までの検査結果からは健康への影響が心配され るレベルの数値は出ていないが、これにより全 市民の不安が解消されたわけではない。今後も、
食生活などにおける注意点と内部被ばくの軽減 に向けた正しい知識と正しい理解を広めていく とともに、検査結果で高値の検出があった市民 には、個別に確実な安心を与えるための明確な 説明と原因特定が不可欠となってくる。
放射能汚染への対応が長期にわたることが確 実である中で、市は、伊達市復興ビジョンの基 本施策である「安心して暮らすための健康づく り」に向けて、放射能リスクのもとでの健康管 理について確実に実行していくため、25年4月 に「放射能健康管理計画」を策定した。
健康管理の方向性を定めた同計画に沿って、引 き続き市民の健康管理に努めている。
25年10月には、同計画に基づき市が行う放射 能健康管理対策について、様々な立場の方々よ り、広く意見や提言等を得るため、6人の専門 家から構成する「伊達市放射能対策健康管理委
放射能健康管理計画の策定と
見 え な い 敵 放 射 能 と の 闘 い
不安軽減へ 心と体のケア事業
放射能健康管理対策については、外部、内部 被ばく検査を通じて個人毎の被ばく線量の確認 による不安の解消を追及してきたが、放射線に よる健康被害についてはこれまで検証結果がな いことから、専門家においても意見が分かれる ところであり、「安全」は図られても「安心」
が得られない現状であった。
そのため、市は、24年度から外部、内部被ば く検査と並行して、放射能・放射線への正しい 情報提供と健康づくりに関する知識の普及を図 ることで、心身ともに健康な生活を送れるよう サポートする「心と体のケア事業」を実施した。
乳幼児、子どもをもつ保護者は、放射能に対 する健康不安が大きく、一定程度の被ばく線量 の結果を確認しても、これまで経験したことの ない放射能への不安が消えることはなく、放射 能を怖がるあまり食品添加物へのリスクを軽視 したり、冷凍食品に偏った食事、運動不足など が確認され、新たな健康リスクが心配される状
態であった。
そのため、妊婦や乳幼児の保護者については、
不安やストレス解消を目的に、各方面からの支 援を得ながら放射能講話、親子あそび教室、ピ アカウンセリングなどの事業を実施した。
「フレッシュママクラス」
自治医科大学 公衆衛生学部門名誉教授の高村寿 子氏を講師に、ママ達の不安を解消し自分を癒 し、仲間どうし話し合いながら、自己決定力を 向上させるピアカウンセリング演習を行った 放射線と健康フォーラムの中で、市政アドバイザーの 宍戸文男氏が「健康管理のアドバイス」と題して講演 を行った(平成25年2月2日 伊達ふるさと会館)
since 2011.3.11
一般市民へ向けては、放射能・放射線の正し い知識、その中でも特に、食の安全性について 啓発していくため、講演会やフォーラムの開催、
地域への出前講話などを実施した。
また、市民の放射能・放射線への健康の不安 解消を図るために、NPO法人放射線安全フォー ラム会員半谷輝己氏を相談員に、放射能健康相 談窓口を保原保健センターに設置して相談体制 を強化するとともに、生活全般への安心感を与 えるために、医師や心理士などによる相談体制 の整備も図った。
他にも、市民の窓口となる市職員や児童生徒 を指導する教職員への心のケアと、放射能・放
た専門家による講話なども開催した。
現在では放射能に対する健康影響について、
相談件数などで見てみると大分落ち着いてはき たが、一方で不安な状態がより強まっている市 民もおり、二極化が進んでいる。
平成25年度は、基本的な事業は継続し、新た に子どもの体力増進や肥満予防対策のために教 育委員会と連携して「すこやか運動教室」を定 期的に開催した。また、26年度から、地域での 相談活動の充実と不安が強い世帯への個別支援 をしていくため臨床心理士や保健師、作業療法 士等からなる「心と体のケアチーム」の結成準 備を進めた。
ふれあい子育て相談会
県臨床心理士会副代表で東日本大震災対策プロ ジェクト代表の成井香苗氏を講師に、親子での 遊びを通して双方のストレスを解消し、保護者 が前向きに育児に取り組むことを目的に開催さ れた(平成24年3月1日 保原保健センター)
NPO法人放射線安全フォーラム会員の半 谷輝己氏を講師に、放射能と食品の安全性 についての講演会が5地区で開催された
(平成24年5月8日 月舘保健センター)
ルイ・パストゥール医学研究センター基 礎研究部インターフェロン・生体防御研 究室長の宇野賀津子氏を講師に迎え、「体 と心を元気に!免疫力アップ!」講演会 が開催された。生活のリスクマネジメン トの重要性を指摘し、市民が「食事」「睡 眠」「休養」「ストレス」「運動」などの 健康な生活習慣を確立して放射線に負け ない心身づくりの必要性を説いた(平成 25日2月2日 伊達ふるさと会館)
見 え な い 敵 放 射 能 と の 闘 い
平成25年1月に全世帯に配布 された放射能に関するパンフ レット(食品と食生活編)。12 の設問に対する問答形式で構 成されている。監修は、市政 アドバイザーの宍戸文男氏と 多田順一郎氏
放射能・放射線によるストレス により心の不調をおこす方が増 えてきたため、平成26年3月に ストレスケア編のパンフレット を作成した。監修は、市政アド バイザーの宍戸文男氏と臨床心 理士の成井香苗氏
100mSvの被ばくをすると、生涯のガン発 生率が0.5%程度増加する(確率的影響)こと が分かっている。
ICRP(国際放射線防護委員会)は、100mSv 以下では医学的に影響がないことを証明する ことが不可能なので、出来るだけ放射線被ば くを減らすために、ガンの発生率は被ばく線 量に比例すると仮定して管理することを提案 した。
ICRPは、放射線被ばくは少なければ少な い方がよいという考え方で被ばく限度を提案 しているが、それは放射線の管理基準であっ て、人体への影響を示すものではない。
この提案によると、10mSvでの放射線被 ばくによる発ガンのリスクは、0.05%増加す ると仮定される。これを、生活習慣における 発ガンのリスクと比較すると、次のような被 ばく線量に相当するガンの発生率になる。
喫煙:1000mSv以上、
受動喫煙は40~60mSv 大酒:800mSv
運動不足:300~400mSv 肥満:440mSv
痩せ:600mSv 野菜不足:100mSv
つまり、たばこを控える(出来ればやめる)、
酒もほどほど、食べ過ぎに注意、
痩せすぎに注意、野菜を食べて、
よく運動といったことに心がけ ると、現在程度の放射線被ばく によるマイナスは簡単に取り戻 し、健康で長生きできると考え られる。
(田中俊一市政アドバイザー「放射 能汚染下での生活」より引用)
大事なことは健康的な生活習慣!
100mSv
発ガンの増加率 被ばくによる発ガンのリスク
被ばく線量 0.50%
現在の医学では証明できない領域 分かっていないのではなく、検出感 度以下ということ。
since 2011.3.11
24年産米の稲の作付制限地区で 稲の試験栽培を実施
平成24年2月28日、国は、23年産米で放射性 セシウムが500Bq/㎏を超えた地域においては、
24年産米の稲の作付けを制限する方針を示し、
水田面積(約482ha)の38.7%にあたる186.6ha が作付制限を受けた。
そのような状況のなか、東京大学大学院農学 生命科学研究科が伊達市に対し、作付制限と なった地区の水田の経年的変化のモニタリング の欠落(玄米への放射性セシウム移行が生じる メカニズムの解明に活かせない)、水田の荒廃、
農家の営農意欲の減衰などによる農業復興を断 念させないためにも、試験的に稲の栽培を行う べ き で あ る と「 玄 米 の 放 射 性 セ シ ウ ム が 100Bq/㎏を超えた地域における稲の試験作付 推奨に関する提言」を出した。
市は、この提言を受け、国に対し、放射性セ
く、稲の試験栽培ができる ように強く要望するととも に、東京大学大学院農学生 命科学研究科教授の根本圭 介氏を市政アドバイザー
(水田対策)に委嘱し、稲
の試験栽培の指導・助言をもらいながら、25年 度以降に安心して稲の作付けができるよう原因 を究明しようとした。
稲の試験栽培には、市政アドバイザーの根本 氏、東京農業大学の後藤逸男教授や福島大学の 小山良太准教授等の指導のもと、生産農家、農 業生産法人などの多く関係者の協力を得なが ら、市は、作付制限となった水田から稲の試験 栽培圃場として75カ所(作付制限水田186.6ha の5.3%にあたる9.95ha)を選定した。
市政アドバイザーの根本氏は、小国地区において放 射性物質低減対策を全面に施用した4筆5枚と、低 減対策を行わず例年通りの施肥管理と水管理だけを 行った37筆55枚(ただし、55枚の水田1筆ごとに波板 で2坪の区画を設け、ケイ酸カリウムを施用した)の 合計41筆60枚の水田の試験栽培を実施した
根本圭介氏