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第 3 章 実用的な最適化手法の開発 18

4.1 セルオートマトン PSO の問題点

4.1.3 改良の有効性の検証

の探索における各粒子の位置の変化は小さいことから,再度クラスタリングを行う 際の計算時間は短くなると予想される.したがって,全粒子との距離計算と比較し て,この改良案は計算時間を短縮できると考えられる.

離計算の時間短縮の両方を改良を行ったCAPSOの3つである.実行パラメータは,

3.2.2の実験と同様に,各手法の粒子数を100,繰り返し回数を3,000,悪化受理率

を20%,移動量の最大値を35%とし,Rastrigin関数の次元数を300として30回実 行した.また,距離計算の短縮におけるK平均法のクラスタ数Kは10とした.計 算に用いたPCのスペックはIntel (R) Core (TM) i7 CPU [email protected],メモリ 4GB,Windows 7 64bitである.各手法を実行して得られた評価値などを表4.2に 示す.

表 4.2: 300次元のRastrigin関数に対する適用結果

手法 計算時間 平均値 最良値 最悪値 標準偏差 標準 約4分 330.953 265.181 407.209 40.465 行動の改善のみ 約6分 109.410 71.187 154.632 20.967 時間短縮 約3分半 102.934 64.159 162.747 27.757

表4.2において,手法の「標準」は3.2.2で用いた標準的なパラメータのCAPSO,

「行動の改善のみ」は4.1.1で述べた行動ルールの改良のみを行ったCAPSO,「時間

短縮」は4.1.2で述べた距離計算の時間短縮と行動ルールの改善を行ったCAPSOを

表している.結果より,行動ルールの改善を行うことで,得られる解の精度が向上 したことがわかる.さらに,計算時間の短縮は,「行動の改善のみ」と「時間短縮」

の平均値などからわかるように,探索性能に影響を与えなかった.なお,標準的な パラメータと比べて行動ルールを改善したことによって計算時間が増加した理由は,

局所探索時に前回の状態を保存するなどいくつかの処理が追加されたことに起因し ている.標準的なパラメータを用いたCAPSOは,粒子数を100から200に増やす ことで計算時間が約3倍の11分となる.これに対して,行動ルールの改善と距離計 算の時間短縮を行うことで,同じように粒子数を200に増やした計算時間は約2倍 の6分半であり,粒子数を増やすことによる計算時間の増加量も軽減できた.

行動ルールの改善効果を検証するために,改良を行ったCAPSOの探索推移と粒 子の状態,状態改善の回数を調べた.それぞれを図4.6から4.10に示す.まず,図 4.6は,探索の繰り返し回数毎の最良解の平均値と粒子群全体の平均評価値を表して いるが,両値共に同程度の値となっている.これらの値は,大きな差は見られない が,探索終盤であっても,図4.1と同じように,平均評価値は常に上下していた(図

4.7).よって,基本的な解探索性能や特性を残しながら,改良した行動ルールは局 所的な探索性能を向上できたと考えられる.

0 1000 2000 3000 4000 5000

0 1000 2000 3000

平均値 gbest

繰り返し回数 f(x)

図 4.6: 改良CAPSOの探索推移

90 91 92 93 94 95

2000 3000

平均値 gbest

繰り返し回数 f(x)

図 4.7: 改良CAPSOの探索推移(拡大)

次に,探索中の粒子の状態は,図4.8に示すように,探索終盤にpbestである粒子 が4割は存在する.3.2.2の実験では,図4.2のようにpbestと同じ状態の粒子は存在 しなかった.これに対して,pbestに向かって移動するよう粒子の行動ルールを変更 したことから,このような結果が得られたと考えられる.そして,図4.9に示すよ

うに,探索毎に状態が改善された粒子は半数程度であるが,標準的なパラメータと 比べて,自身より悪い状態を参照したとき,および自身がpbestのときの状態が改善 される確率が高くなっていた.一方,自身より良い状態の相手に対する行動は,図 4.10に示すように,状態が改善しない割合が高くなっていた.しかしながら,この 結果は状態が改善しなかったものをすべて含んでおり,探索後半は状態がpbestの粒 子が増加していたことから,良い状態の相手に対する接近の効果は低下していない と考えられる.また,自身より悪い相手を参照した際に,pbestへ接近,または局所 探索を行うことから,自身がpbestでないときは状態が改善される可能性が高くなる だけでなく,pbestからさらに状態改善が行われる可能性も高めることができた.

100 2030 4050 60 7080 10090

1 1001 2001

pbest pbestを参照

繰り返し回数

1 1000 2000 3000 粒子数

図 4.8: 改良CAPSOの粒子の状態

以上の結果より,Rastrigin関数のような多峰性関数において,CAPSOの局所的 な探索性能の向上と計算時間の短縮が有効であることを示した.CAPSOを実問題 へ適用する際には,本節で示した改良パラメータを用いるだけでなく,適用問題の 設計空間に応じて行動ルールを調整することが望ましい.このとき,CAPSOの行 動ルールは個々の粒子の行動に着目して変更を加えやすいことから,問題に対する 拡張性が高いと予想される.したがって,以降の実験では,標準的なパラメータや 改良した行動ルールを問題に応じて調整することで有効性の検証を行う.

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1 1001 2001 3001

良い相手を参照 悪い相手を参照

pbestが悪い相手を参照

繰り返し回数

1 1000 2000 3000 粒子数

図 4.9: 状態が改善された粒子の統計

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1 1001 2001 3001

良い相手を参照 悪い相手を参照

pbestが悪い相手を参照

繰り返し回数

1 1000 2000 3000 粒子数

図 4.10: 状態が改善しなかった粒子の統計