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㈠ 特定外国子会社等に係る所得の課 税の特例(外国子会社合算税制)の

1   改正前の制度の概要

⑴ 特定外国子会社等の課税対象金額の益金算入 制度(会社単位の合算課税制度)

① 制度の概要

 居住者、内国法人及び特殊関係非居住者が その発行済株式等の50%超を直接及び間接に 有する外国法人(以下「外国関係会社」とい います。)でその本店又は主たる事務所の所 在する国又は地域(以下「本店所在地国」と いいます。)におけるその所得に対して課さ れる税負担がわが国において課される税負担 に比して著しく低いもの(以下「特定外国子 会社等」といいます。)の所得に相当する金 額(以下「適用対象金額」といいます。)の うち、その特定外国子会社等の発行済株式等 の10%以上を直接又は間接に有する内国法人 のその有する株式等に対応する部分として計 算した金額(以下「課税対象金額」といいま す。)をその内国法人の収益の額とみなして、

その所得の金額の計算上、益金の額に算入す ることとされています(措法66の 6 ①)。

 ただし、特定外国子会社等が独立企業とし ての実体を備え、かつ、その本店所在地国に おいて事業活動を行うことについて十分な経

済合理性がある等の所定の基準(以下「適用 除外基準」といいます。)の全てを満たす事 業年度については合算課税は行われません

(旧措法66の 6 ③)。

(注) 居住者の各年分の所得に対する所得税及 び連結法人の各連結事業年度の連結所得に 対する法人税についても同様の制度が設け られています(旧措法40の 4 ①③、68の90

①③)が、これらの制度の基本的な仕組み は内国法人に係る特定外国子会社等の課税 対象金額の益金算入制度と同様ですので、

説明は省略します。

② 特定外国子会社等の判定

 特定外国子会社等とは、外国関係会社のう ち、本店所在地国におけるその所得に対して 課される税負担がわが国において課される税 負担に比して著しく低いものとされています

(措法66の 6 ①)。この所得に対する税負担が 著しく低い外国関係会社とは、次の外国関係 会社とされています(旧措令39の14①)。

イ 法人の所得に対して課される税が存在し ない国又は地域に本店又は主たる事務所を 有する外国関係会社

ロ 各事業年度の所得に対して課される租税 の額が所得の金額の20%以下である外国関 係会社

 外国関係会社の租税負担割合が20%以下 であるかどうかの判定は、次のように行う こととされています(措令39の14②)。

《算式》

租税負担割合 =

本店所在地国で課される

外国法人税(注 1 、 2 ) + 本店所在地国以外で課される

外国法人税(注 3 ) + みなし納付外国法人税 本店所在地

国の法令に 基づく所得

本店所在地国 の法令で非課 税とされる所 得(注 4 )

損金算

入支払配当 損金算

入外国法人税 損金算入さ れない保険 準備金

益金算入すべ き保険準備金

還付外 国法人

(注 1 ) 本店所在地国の間接納付に係る外国税額控除額も含まれます。

(注 2 ) 本店所在地国の税率が所得の額に応じて高くなる場合には、最高税率で計算できます。

(注 3 ) 非課税配当に係る外国法人税は除かれます。

(注 4 ) 受取配当等は除かれます。

(注 5 ) 分母の金額が欠損又はゼロの場合には、主たる事業に係る収入金額(上記(注 4 )の配当等以 外のものに限ります。)から所得が生じたとした場合に適用される税率により判定します。

③ 適用対象金額の計算

 適用対象金額は、基準所得金額から前 7 年 以内に生じた欠損金額及び納付すべき法人所 得税の額を控除する調整を加えた金額とされ ています(措法66の 6 ②二、措令39の15⑤⑥)。

 基準所得金額は、特定外国子会社等の各事 業年度の決算に基づく所得の金額につき、わ が国の法人税法等の規定の例に準じて計算し た場合に算出される所得の金額及び納付する 法人所得税の額の合計額から還付を受ける法 人所得税の額及び持株割合25%以上等の要件 を満たす子会社から受ける配当等の額の合計 額を控除した残額とされています(旧措令39 の15①)。

 なお、上記の基準所得金額については、わ が国の法人税法等の規定の例に準じて計算す ることに代えて、特定外国子会社等の本店所 在地国の法人所得税に関する法令の規定によ り計算した所得の金額に一定の調整を加えて 計算した金額をもって基準所得金額とするこ とができることとされています(措令39の15

②)。

 さらに、これらの方法により計算した金額 に控除対象配当等の額がある場合には、その 金額から控除対象配当等の額を控除した残額 をもって基準所得金額とすることとされてい ます(措令39の15③)。この「控除対象配当 等の額」とは、特定外国子会社等が一定の他

の特定外国子会社等から受ける配当等の額の うち当該他の特定外国子会社等の合算対象と された金額から充てられた部分の金額をいい ます(旧措令39の15③一・二)。

④ 適用対象金額に係る適用除外基準

 特定外国子会社等が次の全ての要件を満た している場合には、特定外国子会社等のその 満たす事業年度については、本制度の適用は ない(会社単位での合算課税は行われない)

こととされています(旧措法66の 6 ③)。

イ 事業基準 株式等・債券の保有、工業所 有権・著作権等の提供又は船舶・航空機の 貸付けを主たる事業とするものでないこと。

 ただし、特定外国子会社等が事業持株会 社に該当する場合には、適用除外の対象と ならない株式等の保有を主たる事業とする 特定外国子会社等から除外することとされ ています。

ロ 実体基準 本店所在地国において、その 主たる事業を行うに必要と認められる事務 所、店舗、工場その他の固定施設を有して いること。

ハ 管理支配基準 本店所在地国において、

事業の管理、支配及び運営を自ら行ってい ること。

ニ 非関連者基準又は所在地国基準

イ 非関連者基準 卸売業、銀行業、信託 業、金融商品取引業、保険業、水運業又

は航空運送業を主として特定外国子会社 等の関連者以外の者との間で行っている こと。

 この場合の「主として特定外国子会社 等の関連者以外の者との間で行ってい る」かについては、特定外国子会社等の 主たる事業の区分に応じて、各事業年度 の収入金額等の50%超が非関連者との取 引から成る場合等の判定基準が設けられ ています(措令39の17⑧)。ただし、特 定外国子会社等が卸売業を主たる事業と する統括会社に該当する場合には、その 特定外国子会社等に係る被統括会社を関 連者の範囲から除外して判定することと されています(旧措令39の17⑩)。

ロ 所在地国基準 上記イの非関連者基準 が適用される 7 業種以外の事業を主とし て本店所在地国において行っていること。

⑵ 特定外国子会社等の部分課税対象金額の益金 算入制度(資産性所得の合算課税制度)

① 制度の概要

 特定外国子会社等が、上記⑴④の適用除外 基準の全てを満たすことにより上記⑴の会社 単位の合算課税制度が適用されない適用対象 金額を有する場合において、租税特別措置法 第66条の 6 第 4 項各号に規定する特定所得の 金額を有するときは、その特定所得の金額の 合計額(以下「部分適用対象金額」といいま す。)のうち、その特定外国子会社等の発行 済株式等の10%以上を直接及び間接に有する 内国法人のその有する株式等に対応する部分 として計算した金額(その金額が課税対象金 額に相当する金額を越えるときは、その相当 する金額。以下「部分課税対象金額」といい ます。)をその内国法人の収益の額とみなし て、その所得の金額の計算上、益金の額に算 入することとされています(措法66の 6 ④)。

 ただし、特定外国子会社等の部分適用対象 金額に係る収入金額が1,000万円以下である

場合又は決算に基づく所得の金額に相当する 金額のうちに部分適用対象金額の占める割合 が5%以下である場合には、資産性所得の合 算課税は行われません(措法66の6⑤)。

(注) 居住者の各年分の所得に対する所得税及 び連結法人の各連結事業年度の連結所得に 対する法人税についても同様の制度が設け られています(措法40の 4 ④⑤、68の90④

⑤)が、これらの制度の基本的な仕組みは 内国法人に係る特定外国子会社等の部分課 税対象金額の益金算入制度と同様ですので、

説明は省略します。

⑶ 適用除外基準の適用に関する手続要件  適用対象金額に係る適用除外又は部分適用対 象金額に係る適用除外の措置は、確定申告書に 適用除外に該当する旨を記載した書面を添付し、

かつ、適用除外に該当することを明らかにする 書類その他の資料を保存している場合に限り、

適用することとされています(旧措法66の 6 ⑦、

旧措令39の17の 2 )。

 なお、特定外国子会社等が統括会社に該当す ることにより会社単位の合算課税制度の適用除 外基準の適用を受けようとする場合には、これ らに加え、特定外国子会社等が統括会社に該当 することを明らかにするために必要な統括業務 の内容を記載した書類を確定申告書に添付し、

かつ、統括業務に係る契約に係る書類の写しを 保存しなければならないこととされています

(旧措令39の17の 2 、旧措規22の11④)。

(注) 「統括業務」とは、特定外国子会社等が被統 括会社との間における契約に基づき行う業務 のうちその被統括会社の事業の方針の決定又 は調整に係るもの(その事業の遂行上欠くこ とのできないものに限ります。)であって、特 定外国子会社等が 2 以上の被統括会社に係る その業務を一括して行うことによりこれらの 被統括会社の収益性の向上に資することとな ると認められるものをいいます(措令39の17

①)。