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国外事業所等帰属所得に係る所得の金 額の計算

㈡ 内国法人の外国税額控除

2   国外事業所等帰属所得に係る所得の金 額の計算

⑴ 国外事業所等帰属所得

① 国外事業所等帰属所得の概要

 国外事業所等帰属所得は、内国法人が国外 事業所等を通じて事業を行う場合において、

その国外事業所等がその内国法人から独立し て事業を行う事業者であるとしたならば、そ の国外事業所等が果たす機能、その国外事業 所等において使用する資産、その国外事業所 等とその内国法人の本店等との間の内部取引 その他の状況を勘案して、その国外事業所等 に帰せられるべき所得(その国外事業所等の 譲渡により生ずる所得を含み、国内及び国外 にわたって船舶又は航空機による運送の事業 を行うことにより生ずる所得のうち、国外に おいて行う業務につき生ずべき所得に該当す るものを除きます。)とされています(法法 69④一)。

② 改正の内容

 内国法人の国外事業所等帰属所得に係る所 得の金額は、内国法人の国外事業所等を通じ て行う事業に係る益金の額から損金の額を控 除した金額とされました(法令141の 3 ①)。

「国外事業所等を通じて行う事業に係る益金 の額」及び「国外事業所等を通じて行う事業 に係る損金の額」は、別段の定めがあるもの を除いて、内国法人の各事業年度の所得の金 額の計算に関する法人税に関する法令の規定 に準じて計算することとされました(法令 141の 3 ②)。

 なお、内国法人の各事業年度の国外事業所 等帰属所得に係る所得の金額につき、法人税 法第22条(各事業年度の所得の金額の計算)

の規定に準じて計算する場合には、内部取引 に係る販売費、一般管理費その他の費用につ いては、債務の確定しないものであっても、

その事業年度の損金の額に算入することとさ

れるとともに、国外事業所等を開設するため の内国法人の本店等から国外事業所等への資 金の供与又は国外事業所等から本店等への剰 余金の送金等については、資本等取引に含ま れることとされました(法令141の 3 ③)。ま た、法人税法第52条(貸倒引当金)の規定に 準じて計算する場合には、貸倒引当金の設定 対象となる金銭債権には、内国法人の国外事 業所等と本店等との間の内部取引に係る金銭 債権に相当するものは含まれないこととされ ました(法令141の 3 ④)。

(注 1 ) 国外事業所等が内部取引により取得し た資産に関する規定、共通費用の額の配 分に関する規定及び外国税額の控除を受 ける場合の確定申告書等への国外事業所 等帰属所得に係る所得の金額の計算に関 する明細の添付に関する規定が設けられ ましたが、改正前の国外所得金額に係る 規定と同様ですのでここでの説明は省略 します(法令141の 3 ⑤~⑧、法規28の 5 )。

(注 2 ) 国外事業所等帰属所得に係る所得の金 額の計算における減価償却費の損金算入 額、貸倒引当金の繰入額、その他の損金 算入額につき、内国法人の各事業年度の 所得の金額の計算に関する法令の規定に 準じて計算する場合の損金経理額につい ては、損金経理額が法人の確定した決算 において費用又は損失として経理された 額であることに鑑みると、国外事業所等 における経理額を基礎とするのではなく、

法人全体の確定した決算による金額を基 礎とするのが適当と考えられます。

③ 適用関係

 上記②の改正は、内国法人の平成28年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対する 法人税について適用し、内国法人の同日前に 開始した事業年度の所得に対する法人税につ いては従前どおりとされています(改正法令 附則 9 )。

⑵ 国外事業所等に帰せられるべき資本に対応す る負債の利子の加算調整

① 改正前の制度の概要

 内国法人の外国税額控除に係る控除限度額 の計算における国外所得金額について、内国 法人の国外事業所等に係る自己資本の額がそ の国外事業所等に帰せられるべき資本の額に 満たない場合には、その国外事業所等を通じ て行う事業に係る負債の利子のうちその国外 事業所等に帰せられるべき資本の額に満たな い金額に対応する部分の金額を、国外所得金 額の計算上、加算調整することとされていま す(法令141の 2 ①一)。

 加算調整すべき金額は、国外事業所等を通 じて行う事業に係る負債の利子の額に、国外 事業所等に帰せられるべき資本の額からイに 掲げる金額を控除した残額(その残額がロに 掲げる金額を超える場合には、ロに掲げる金 額)のロに掲げる金額に対する割合を乗じて 計算した金額とされています(法令141の 2

⑪)。

イ 国外事業所等に係る自己資本の額 ロ 国外事業所等に帰せられる負債(利子の

支払の基因となるものに限ります。)の帳 簿価額の平均的な残高として合理的な方法 により計算した金額

② 改正の内容

 これまでは、国外所得金額の計算に関する 規定において、国外事業所等帰属所得に係る 所得の金額の計算上の調整項目として定めら れていましたが、上記のとおり、今回の改正 において、国外事業所等帰属所得とそれ以外 の国外源泉所得に区分して計算方法を定める とともに、国外事業所等帰属所得に係る所得 の金額の計算について明確化のための整備が 行われました。これに伴い、国外事業所等に 帰せられるべき資本に対応する負債の利子の 加算調整は、国外事業所等帰属所得に係る所 得の金額の計算の別段の定めとして、独立し た条として定められることとなりました。

 なお、改正前と改正後において、実質的な 内容について変更はありません(法令141の

4 )。

③ 適用関係

 上記②の改正は、内国法人の平成28年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対する 法人税について適用し、内国法人の同日前に 開始した事業年度の所得に対する法人税につ いては従前どおりとされています(改正法令 附則 9 )。

⑶ 銀行等の資本に係る負債の利子の減算調整

① 改正前の制度の概要

 銀行等である内国法人の有する資本に相当 するものに係る負債につき当該事業年度にお いて支払う負債の利子の額のうち、その内国 法人の国外事業所等に帰せられるべき資本の 額に対応する部分の金額は、国外所得金額の 計算上減算調整することとされています(法 令141の 2 ①二)。

 減算調整すべき金額は、規制上の自己資本 の額(注 1 )に係る負債につき内国法人が支 払う負債の利子の額(注 2 )に、イに掲げる 金額のロに掲げる金額に対する割合を乗じて 計算した金額とされています(法令141の 2

⑮)

イ 上記⑵により計算した国外事業所等に帰 せられるべき資本の額

ロ 規制上の自己資本の額(注 1 )

(注 1 ) 銀行法第14条の 2 第 1 号(経営の健全 性の確保)に規定する自己資本の額に相 当する金額、金融商品取引法第46条の 6 第 1 項(自己資本規制比率)に規定する 自己資本規制比率に係る自己資本の額に 相当する金額その他これらに準ずる自己 資本の額に相当する金額をいいます(法 令141の 2 ⑮二、⑥一ロ)。

(注 2 ) ここでいう利子には、法人税法施行令 第136条の 2 第 1 項(金銭債務に係る債務 者の償還差益又は償還差損の益金又は損

金算入)に規定する金銭債務に係る収入 額がその債務額に満たない部分の金額そ の他経済的な性質が利子に準ずるものを 含みます(法令141の 2 ①二、⑮)。

② 改正の内容

 これまでは、国外所得金額の計算に関する 規定において、国外事業所等帰属所得に係る 所得の金額の計算上の調整項目として定めら れていましたが、上記のとおり、今回の改正 において、国外事業所等帰属所得とそれ以外 の国外源泉所得に区分して計算方法を定める とともに、国外事業所等帰属所得に係る所得 の金額の計算について明確化のための整備が 行われました。これに伴い、銀行の資本に係 る負債の利子の減算調整は、国外事業所等帰 属所得に係る所得の金額の計算の別段の定め として、独立した条として定められることと なりました。

 なお、改正前と改正後において、実質的な 内容について変更はありません(法令141の

5 )。

③ 適用関係

 上記②の改正は、内国法人の平成28年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対する 法人税について適用し、内国法人の同日前に 開始した事業年度の所得に対する法人税につ いては従前どおりとされています(改正法令 附則 9 )。

⑷ 保険会社の国外事業所等に帰せられるべき投 資資産に係る収益の額の減算調整

① 改正前の制度の概要

 保険会社である内国法人の国外事業所等に 係る投資資産の額がその国外事業所等に帰せ られるべき投資資産の額を上回る場合には、

その上回る部分に相当する金額(①において

「投資資産超過額」といいます。)に係る収益 の額を国外所得金額の計算上減算調整するこ ととされています(法令141の 2 ①三)。

 投資資産超過額に係る収益の額は、保険会

社である内国法人の国外事業所等に係る投資 資産の額からその国外事業所等に帰せられる べき投資資産の額を控除した残額に、その保 険会社である内国法人の投資資産の運用利回 り(その保険会社である内国法人全体の当該 事業年度の投資資産から生じた収益の額の当 該事業年度の投資資産の額の平均的な残高に 対する割合)として合理的な方法により計算 した割合を乗じて計算した金額とされていま す(法令141の 2 ⑰)。

② 改正の内容

 これまでは、国外所得金額の計算に関する 規定において、国外事業所等帰属所得に係る 所得の金額の計算上の調整項目として定めら れていましたが、上記のとおり、今回の改正 において、国外事業所等帰属所得とそれ以外 の国外源泉所得に区分して計算方法を定める とともに、国外事業所等帰属所得に係る所得 の金額の計算について明確化のための整備が 行われました。これに伴い、保険会社の国外 事業所等に帰せられるべき投資資産に係る収 益の額の減算調整は、国外事業所等帰属所得 に係る所得の金額の計算の別段の定めとして、

独立した条として定められることとなりまし た。

 なお、改正前と改正後において、実質的な 内容について変更はありません(法令141の

6 )。

③ 適用関係

 上記②の改正は、内国法人の平成28年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対する 法人税について適用し、内国法人の同日前に 開始した事業年度の所得に対する法人税につ いては従前どおりとされています(改正法令 附則 9 )。

⑸ 特定の内部取引に係る国外事業所等帰属所得 に係る所得の金額の計算

① 改正の内容

 内国法人の国外事業所等帰属所得に係る所