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5.2 節電対策のシミュレーション

5.2.4 授業動的割当て策

最後に,1日ののべ授業時間を47コマ(70.5時間)に固定し,授業日である168日間す べてに対して,その日の気温の分布から累積加重授業時間をもっとも小さくするような授 業時間の割当て策を考える.この授業動的割当て策は,気温を考慮した授業時間の節電効 果を最大限に生かした場合における消費電力量の削減量を想定しており,授業時間の変更 による平均消費電力量の減尐およびピークカットの効果の上限が得られる.

5号館における大教室を含めた全教室数が16部屋であることから,1時限あたり16コマ を超えないように重み | ( ) | のもっとも小さいものを選び,優先的に割当てる.

実際には,授業の単位は90分であり,時刻 に対応する重みとのずれが生じるが,

( 限授業の重み) | ( ) | | ( ) |

( 限授業の重み) | ( ) | | ( ) | | ( ) |

( 限授業の重み) | ( ) | | ( ) |

( 限授業の重み) | ( ) | | ( ) | | ( ) |

( 限授業の重み) | ( ) | | ( ) |

( 限授業の重み) | ( ) | | ( ) |

として授業時間の比をとることで,時限ごとの気温を考慮した重みを求め,優先順位とし た.例えば2010年7月15日では

11 35

18 51

23

15 12 3 32

20 54

20 22

6 0

15 30 45 60

4000~ 5000~ 6000~ 7000~ 8000~ 9000~ 10000~ 11000~ 12000~ 13000~

度数

消費電力量 [kWh]

従来 カット策

( 限授業の重み)

( 限授業の重み)

( 限授業の重み)

( 限授業の重み)

( 限授業の重み)

( 限授業の重み)

となるため,優先順位は6限>5限>1限である.したがって,この順に16コマ,16コマ,

15コマの授業を割当てる.日ごとに時限の優先順位を求め,授業を割当てるため,授業時 間は日ごとに異なるが,おおまかな傾向としては,暑い日には朝と夕方に集中して授業を 行い,寒い日には昼過ぎに集中して授業を行う.図 5.10 に授業を割当てた様子を示す.こ の割当て方法に基づき,168 日間に対して授業動的割当て策を行った場合の比較を図 5.11 に示す.

この結果から,授業動的割当て策の効果として,平均値が 130 キロワット時(平均消費

電力量の1.6% にあたる)減尐し,ピークの480キロワット時(平均消費電力量の5.7% に

あたる)だけカットされることがわかる.これは,最大の変動幅が夏季約2500キロワット 時(図 5.2 による)であることをふまえると,その20% を制御できたことになる.

図 5.10 割当て策による授業時間の変化(2010年7月15日の例)

24 26 28 30 32

0 5 10 15 20

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

気温 [℃]

授業時間[h]

時刻 従来

割当て策 気温

図 5.11 割当て策による消費電力量の変化

5.3 4 つの節電対策の比較

表 5.1 に,これまでの4つの節電対策による消費電力量の変化を比較したものをまとめ た.授業 1 時間繰上げ策は,消費電力量の平均およびピークの変化はほとんど見られず,

節電効果がない様子がわかる.授業平均化策は,従来から平均の変化はほとんどないもの の,ピークは約300 キロワット時(平均消費電力量の3.8% にあたる)カットする.3,4 限カット策では,平均を50キロワット時(平均消費電力量の0.6%)減らし,約400キロ ワット時(平均消費電力量の5.0%)だけピークをカットする.授業動的割当て策では,消 費電力量の平均を130キロワット時(平均消費電力量の1.6%)減らし,ピークを約480キ ロワット時(平均消費電力量の5.7%)カットする.よって,授業平均化策だとピークカッ トの最大効果をもつ動的割当て策の63% にあたる効果があり,3, 4限カット策だと80%強 の効果があるということができる.

表 5.1 節電対策による消費電力量の変化の比較

平均 分散 標準偏差 最小値 25%点 中央値 75%点 最大値 従来 8362 2944370 1716 5117 6965 8426 9334 12942 繰上げ策 8360 2929135 1711 5135 6965 8429 9333 12973 平均化策 8329 2848702 1688 5180 6979 8402 9347 12622 カット策 8318 2796760 1672 5142 6938 8450 9325 12527 割当て策 8232 2826382 1681 5105 6835 8378 9284 12465

11 35

18 51

23

15 12 3 16

33

21 21

5 0

15 30 45 60

4000~ 5000~ 6000~ 7000~ 8000~ 9000~ 10000~ 11000~ 12000~ 13000~

度数

消費電力量 [kWh]

従来 割当て策

第 6 章 おわりに

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