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韓国では療養保険の導入により家族の介護負担の軽減及び公的な役割の強化ととも に、介護サービスの量的拡大によって介護を中心とする高齢者関連の産業が活性化す るきっかけになった。しかし、プラスの成果にもかかわらず、持続的な高齢人口の増 加やそれによる保険財政の危機、サービス質の確保、また、地域生活の維持など、様々 な課題が示されている。こうした流れの中で、最近、要介護認定者の抑制や療養保険 財政の安定化、ベビーブーマー世代における老後生活の課題などへの対応方法として 介護予防・生活支援の重要性が強調されている。

韓国保健福祉部(2013b)は、要支援者を介護の前段階である福祉と予防が必要な対 象に限定し、各自治体では、提供する地域保健福祉サービスを調整・提供することに なっている。しかし、対象者の限定、調整・協力の難しさ、担当組織及び人材の不在 などにより十分には実施されていない状況にある。

日本では、2000年の介護保険制度の導入以後、2006年に本格的な介護予防制度を導 入したが、その背景には、持続的な高齢者人口や要介護認定者の増加による財源調達 の限界が指摘され、介護保険制度の運営が不安定になるため、要支援者を含む要介護 者の拡大が指摘されている。

このため、介護予防事業という概念を導入し、地域の虚弱な高齢者、つまり、二次 予防事業対象者を把握し、要介護状態にならないように事前の対策を実施することは、

今後の韓国の介護予防・生活支援の仕組みの改善のために注目すべきである。

日本の介護予防事業は、単純に要介護状態に陥るのを予防するだけではなく、その 対象と支援内容を具体化していることに特徴がある。具体的には、要介護1及び要支 援者に対する介護予防給付は、心身機能の重度化の防止を目的とするための自立支援 に集中している。また、二次予防事業の対象を初期に発見・対応することにより、要 介護状態への進展を防ぎ、遅延させると同時に、生活習慣病による高齢性疾患の予防 のための介護予防知識、情報の支援が行われている。

<図11>は、現行の日韓の介護予防の仕組みを比較したものである。

日本の場合、一般高齢者から要介護者まですべての高齢者を対象に、生活支援の視 点から介護予防事業が行われており、支援内容もそれぞれの対象によって具体化され ている。これらに比べて韓国の場合は、介護予防の対象が要支援者に限定されており、

支援内容はドルボミサービスが中心になっている。

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図11 日韓における介護予防の仕組みの比較

介護予防は普遍的な支援であることが望ましいが、ドルボミサービスは、支援方式 は普遍的な視点が採用されながらも、実際の支援においては、健康の基準や所得の基 準によって選別的に対応する傾向がみられる。

また、支援方法についても、日本では、要介護・要支援者に対しては、ケアマネジ ャーがケアプランを作成し、保険者に報告する義務があり、また、このプランに基づ いてサービスを提供している(厚生労働省 2013b)。しかし、韓国の療養保険では、ケ アマネジメントが含まれず、標準長期療養利用計画書(ケアプランに相当)による支援 を行っているため、十分なニーズの把握や計画書の作成が義務ではなく、利用者やサ ービス提供者は、標準計画書をほとんど活用していない。

ケアマネジメントの不在は、要介護者だけではなく、要支援者などに対する全般的 なドルボミサービスの支援にも深刻な影響をもたらしている。制度の発足初期から要 支援者に、自治体がドルボミサービスを提供し、療養保険との隙間を補完する方式(地 域保健福祉サービス連携事業)で行われてきた。しかし、保険公団と自治体の間の連 携を実質的に担当する人材や組織の不在により、ドルボミサービスが必要な要支援者 に提供されていないという現象が生じている(金 2013)。

療養保険の成果を評価した研究では、2011年までの利用者の満足度や社会的な成果 において、約85%以上の高齢者がサービス水準に満足しているとされた。また、制度施 行以降、介護者の90%程度が、これまでの高齢者の扶養のために制限されていた時間 に、様々な社会活動ができていることと答えていた(朴ら 2011; 金 2013)。

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しかし、実際に、国民の老後のために、社会的ドルボミの機能と、利用者支援が十 分に保障されているのかについては、持続的に批判が提起されてきた (ゼガル 2009;

林ら 2011;金 2013)。各自治では、ドルボミ総合サービスを中心に実施しているが、

限定された財源のため、該当対象者や支援内容に自治体間の差異があり、体系的なサ ービス提供が十分に行われておらず、要支援者の体感は相当に低い。

善(2012)は、療養保険の限界点として、要介護認定範囲の制限によって発生する 制度の隙間である要支援者について、サービス支援が必要であると指摘している。ま た、身体的・認知的な機能の向上をはかる地域保健福祉サービスが効果的であり、必 要なサービスであると強調している。善は、政策への対案として、高齢者のケアニー ズに基づいた提供システムの改善が必要であるとしている。このためには、地域保健 福祉サービスや介護サービス、その他の社会サービスの間の円滑な連携システムの構 築が優先されるべきである。

元気な高齢者が住みなれた場所で暮らすための対策は、介護保険では、「生活支援」

「介護予防」にあたり、限定的な位置づけにとどまっている。日本は、2015年の制度 改正に向け、地域の実情に応じた取り組みの充実を市町村に求めている。ただ、こう した活動の主体として期待されるボランティア団体や NPO、民間企業などは、地域に よって差のあるのが実情である。厚生労働省も地域格差をどう埋めるかは今後の課題 としている。現行の韓国における介護予防・生活支援は、要支援者に限定され、地域 保健福祉サービスを中心に実施されている。また、それ以外に、介護予防・生活支援 として規定されてはいないが、老人福祉法や社会福祉事業法に基づき、老人福祉館や 福祉館、また、保健所などを通して予防機能が含まれた保健福祉サービスを提供され てきた。しかし、体系的・具体的な管理は不十分であるため、これに対する検討や研 究が求められる。

地域内の様々な保健福祉サービスや関係機関との連携を通した包括的な介護予防・

生活支援のためには、高齢者の生活機能の実態把握や地域保健福祉サービスの利用状 況などに対する検討が必要である。また、先に述べたように、地域保健福祉サービス や社会サービスの調整・管理ができるためには、現行の介護予防・生活支援の実施体 制についての体系的な検討が行われるべきである。

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