小学校国語B 4 意見文の組み立ての違いをとらえる
3 志摩市
全国学力・学習状況調査を踏まえた授業改善に係る取組
― 『授業改善に係る参考資料(国語編)』『授業改善に係る参考資料(算数・数学編)』から ― 津市教育委員会
Ⅰ はじめに
平成 20 年度全国学力・学習状況調査(以下「本調査」
という。)が4月 22 日(火)に実施された。本調査の目的 にも示されているように、本調査が教育指導や学習の改善 等に役立てられ、子どもたちのために生かされなければな らない。そこで、次の3つの留意点に配慮し、取組を行っ
た。 授業改善に係る参考資料
(国語編、算数・数学編)
【3つの留意点】
① スピード
本調査を本年度中に教育指導や学習の改善等に役立てていくためには、分析などを効 率よく行い、学校における取組及びその検証を行える期間を確保していくことが不可欠 である。そのためには、分析及びその公表等を迅速に進めなければならないと考えた。
② わかりやすさ
本調査に関わる解説資料、結果分析資料等を見やすく分かりやすく提示していくこと で、学校でそれらを活用する頻度が高まると考えた。また、重要な内容(問題分析、調 査結果分析及び取組など)については、直接説明する場を設けることで周知をより徹底 できる。
③ 具体を示す
教育指導や学習の改善等にすぐに役立てるには、具体的な内容を示すことが必要であ る。また、具体例を示すことで、それらを学校において児童生徒の実態に応じて改良し て実践することができる。
Ⅱ 「授業改善に係る参考資料」作成までの取組
ステップ1 全国学力・学習状況調査問題研修会までに
本調査の結果を分析して教育指導や学習の改善等に役立てることが重要である。本調査の結 果の受領は9月である。そこで、9月までにできる取組として、「本調査の問題を分析し、それ を踏まえた授業改善を考察・実践すること」が、有効な取組であると考えた。
(1) 年間スケジュールの提示
本調査の実施マニュアルに示されている「調査実施に関するスケジュール」をもとに、津市 の年間のスケジュールを立て、4月の校長会で各校に示した。スケジュールは教育に関する継 続的な検証改善サイクルが確立されるものにした。
(2) 本調査の問題及び、「平成 20 年度全国学力・学習状況調査解説資料」(国立教育政 策研究所)の「学習指導に当たって」をまとめた資料の配付
「平成 20 年度全国学力・学習状況調査解説資料」は、本調査の問題に基づいた日常の学習指
導のあり方が示されており、有効な資料となる。その有効性を実感し、活用してもらえるよう に見やすくまとめ直し、資料として各学校に配付した。本調査の問題を対象学年の担当教員だ けではなく、全教員が共通理解の上で、学習指導に生かしてほしいと考えた。
ステップ2 全国学力・学習状況調査問題研修会において
(1) 講演 「国語」 講師;三重大学教育学部准教授 守田庸一
「算数・数学」 講師;三重大学教育学部教授 上垣 渉
9月 30 日に国語、8月 22 日に算数・数学の研修会を行った。いずれも、「『平成 19・20 年 度 全国学力・学習状況調査 B問題』に関する考察と今後の対応策について」をお話いた だいた。国語では「PISA 型読解力を意識したB問題に関わる力」、算数・数学では「算数・
数学活用力」を中心に研修した。
(2) 演習(問題づくり、問題の発表及び考察)
講演終了後、参加教員が講演内容をもとに、活用力を高める問題を作った。
問題づくりをすることで次のようなことを期待した。
問題づくりをした後、各自が作った問題を全体に紹介し、その問題について考察を加えた。
(3) 参加者の声
研修会には津市内の各小中学校から参加があった。(国語…86 名、算数・数学…102 名)
アンケートの参加者の感想をいくつか紹介する。
☆ 学年の系統性を考え直すことができる。
☆ スパイラル(反復)を考えることができる。
☆ 「問題づくりをすること」のよさを体感できる。
☆ 「活用」について考えることができる。
☆ 日々の授業等を振り返り、授業改善につながる。
・ 新しい視点で国語の指導ができそうです。貴重な研修の場となりました。問題づくりから授業 で大切にしていくところが見えてくるように思います。
・ 学力調査の問題を基にして研修会を行ったことは非常に良かった。子どもたちの印象に残るよ うな授業を心がけていきたいと思います。調査結果の分析をし、子どもたち一人一人に返ってい くような指導方法をしていきたいと思います。
・ すごく参考になりました。教材研究に時間をかければかけるほど、より良い授業ができ、生徒 たちに知的刺激を与えられる授業ができるという希望がわきました。毎日の授業に追われる自分 に大変良い刺激になりました。
・ 演習は、授業での発問を考えるきっかけにもなり、有意義な時間になりました。何回かに分け て連続講座にすればどうかと思います。
・ 8月に行われた「算数・数学」の研修会にも参加しました。そのときは、問題づくりに戸惑い、
なかなか作業が進みませんでした。しかし、みなさんの問題例を見せていただくうちに、時間を 作って今後もいろいろ作ってみたいと思うようになり、今回の「国語」の研修会も同じような演 習があることを期待して進んで参加しました。いろいろ考えてみるのは、おもしろいです。
・ 全国学力・学習状況調査の問題等について解説していただいたので、良かったです。問題づく りをする活動も楽しくできました。校内研修で活用したいと思います。広告チラシ等の活用も参 考になりました。
・ 算数の活用力を高めるためには、教材づくりが大切であることがよく分かりました。「実際生 活にある問題」と「比較する問題」等がありました。今後、学校で使っていきたいと思います。
☆ 前半の講演内容を教員一人一人が振り返り、解釈を深めることになる。
☆ 全国学力・学習状況調査問題の構造をつかむことができる。
・ 問題を工夫することで、子どもたちが楽しんで考え、しかも、算数の力もつくのではないかと 思いました。計算ができても、実際生活に結びついていないのでは、算数の力が付いているとは 言えないと感じました。2学期から授業のあり方を、もう一度考えたいと思います。
・ 学力調査の分析は自分一人ではなかなか進まなかったので、この研修会に参加して、学力調査 の問題についてよく分かりました。学校でも研修会等で紹介したいと思います。授業のヒントに もなりました。
・ 演習があったおかげで、考える内容が深められました。問題づくりでは、「観点」や「その問 題で何を考えさせるか」などを考えなければならない。また、学年の発達段階や学習状況などを 考えなければならない。
・ 算数で求められる学力について、細かく分類して教えていただいたので、これから、それを意 識して授業していきたいと思います。学力調査の問題を見ただけでは、分かりにくかったので、
解説を聞くことができて良かったです。
ステップ3 「授業改善に係る参考資料(国語編、算数・数学編)」の作成
研修会の講演内容及び参加者が作成した問題を冊子『授業改善に係る参考資料(国語編)』
『授業改善に係る参考資料(算数・数学編)』にまとめた。研修内容の還流を図ることと、授 業に生かすことを目的として、校長会等で冊子活用の説明をし、各学校に配付した。
次に、冊子の「授業改善に向けた今後の対応策」「参加した教員が作成した問題」の中から 抜粋したものを紹介する。
(1) 授業改善に向けた今後の対応策
【 国語 】 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
① 書くことの機会を多くする
「書くこと」を中心とした単元だけでなく、「読むこと」「話すこと・聞くこと」の単元 でも自分の考えを書く機会を設定した授業にしていく。また、言葉を入れたり、教科書の 文をそのまま入れたりするようなワークシートのみを扱うことがないようにする。
② 書き方を練習する
「第一に」「第二に」や「はじめに」「次に」「最後に」といった様々な場面で使えるよう な書き出しを繰り返し使って、書き方を身に付けさせるようにする。
また、説明的文章の学習を通して、文章構成の仕方、筆者の考えの進め方などを文章を 書くときの型として身に付けさせる工夫をする。
③ 表現の仕方に着目する
説明的文章では、文章の批評読みもさせていく。また、文学的文章では、表現の効果に ついて解釈したり、語り手の視点を考えたりというような課題も授業に取り入れていく。
④ 複数教材を授業に取り入れていく ⑤ 自分の考えの根拠を明確にする ⑥ 学習を総合的に組み立てる
授業の中に、「話す」「聞く」「話し合う」「書く」「読む」といった学習活動を効果的に組 み合わせる。
⑦ 読書に親しむ