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心拍出量の高度の低下が主体の場合1-2

ドキュメント内 −Û”RflÇ-Œ{ŁÒ-01 (ページ 56-61)

臓移植も念頭においておく必要がある.

急性心不全の初期治療はまず血行動態,なかでもうっ 血症状の改善をはかる.しかし,急速かつ過度の利尿は 低血圧や脱水の原因となり,血栓形成や腎機能悪化をき たすおそれがあるので注意を要する.血行動態の改善が 持続し,利尿がつけば静脈内投与している急性心不全治 療薬を漸減していく.漸減後に血行動態や利尿が再増悪 すれば急性心不全治療薬を再度増量し,血行動態や利尿 の改善をはかる.

経口の慢性心不全治療薬は急性心不全治療開始後どの 時期に開始すればよいのか一定の指針は確立されていな い.しかし,一般的には,比較的早期に ACE 阻害薬を 導入している.ACE 阻害薬が使用できない場合はARB を用いてもよい(表 37).ACE 阻害薬の導入にあたり,

次の2つの事項に留意すべきである.一つは,十分な利 尿が得られる前に比し利尿がついた後ではACE 阻害薬 の反応性がよく,同一量で維持すると血圧低下の可能性 があること,もう一つはACE 阻害薬は利尿薬の反応を 低下させる可能性があることである192).従って,ACE 阻害薬の投与は少量から開始し,漸増する.維持量は血 圧などで規定されるが経験的なものである.血圧が低い 場合はカプトプリル(心不全の保険適応はない)で開始 し,そのままカプトプリルで維持したり,もし血圧が上 昇すればより長時間作用型に変更したりする.ACE 阻 害薬投与後も心不全症状が存在したり,血管収縮のサイ ンが持続すれば硝酸薬の追加投与が有効なこともある193

(表37).

基礎疾患が収縮障害に基づくものであれば,β遮断薬 を導入する(表37).拡張期心不全に対する有効性はい まだ確立していない.うっ血所見がなく心不全が十分に

安定した状態でβ遮断薬を導入することが望ましい.入 院中に導入し,外来で維持量まで増量する方法が現実的 である.心不全増悪のためβ遮断薬が不忍容の場合はピ モベンダン1.25mg/日または2.5mg/日を併用すればβ 遮断薬を導入できることがある194

さらに,上記以外薬剤も急性心不全から慢性期への移 行にあたって導入されるが,他の項(Ⅲ.4)を参照さ れたい.

急性心不全は基礎心疾患の新規出現や悪化と増悪因子 との相互作用により発症する.基礎心疾患の増悪であれ ば,従来の内服を強化しておく必要がある.一方,基礎 心疾患の変化は少なく増悪因子の影響が大きければ,そ の増悪因子への対応が中心となる.S0からS1を経て退 院となるが(Ⅲ.1-1参照),退院にはいくつかの条件 をクリアしておく必要がある.早めの退院は再入院の原 因ともなり医療経済的にもかえって不利益となる場合が ある.また,心不全再発予防のためにも患者に対する心 不全教育は重要である.退院基準としてまとめられたも のはわが国にはなく,欧米での基準を記載しておく(表 38)195)

急性心不全が疑われる患者の治療では原因が何であ れ,呼吸,血行動態などの患者の状態を安定させること が第一目標となる.そのための血行動態モニター,呼吸 表 36

両心不全の治療:循環血液量の増加が主体の場合 クラスⅠ

・ループ利尿薬:レベルC クラスⅡa

・強心薬(ドブタミン,PDE 阻害薬):レベルC 両心不全の治療:心拍出量の高度な低下が主体の場合

クラスⅡb

・強心薬(ドブタミンとPDE 阻害薬の併用):レベルC

急性心不全から慢性期への移行と退院の目安

表 37 急性心不全から慢性期への移行 クラスⅡb

・急性心不全の比較的早期から ACE 阻害薬(使用できな

い場合はARB)を少量から開始し,漸増する:レベルC

・収縮不全による心不全の場合はうっ血所見がなくなれ ばβ遮断薬を導入する:レベルC

表 38 急性心不全患者の退院基準 1.目標体重の達成

2.目標血圧の達成

3.日常労作時の息切れやめまいがない

4.経口治療薬追加・変更後少なくとも 24 時間以上状態が

安定している

5.静注用治療薬中止後,少なくとも 48 時間以上状態が安

定している 6.明らかな脱水がない

7.腎機能が安定しているか,もしくは改善に向っている

治療のフローチャート

管理,薬物投与などをまず行うと同時に,原因の検索を 行う.病歴聴取,一般採血,動脈血液ガス分析,心電図,

胸部X 線写真にくわえて,心筋マーカー,心エコー,

場合によっては Swan-Ganz カテーテルによる血行動態 の評価などが必要となる.これらの検査によって心原性 が否定できる,あるいは非心原性が強く疑われる場合に は,それぞれの該当科専門医にコンサルテーションを行 う.心原性と考えられるならば,Ⅰ.総論,Ⅱ.診断に 述べたように心不全の病態を診断しそれぞれの病態に応 じた的確な治療が必要である.同時に原因となる心疾患 に対する治療を行う.特に虚血に伴う心不全では早期の 再灌流,血行再建を行うことが最も重要となる.急性心 不全に対する全般的アプローチ(表 1,図2,3,5及 び9参照)と代表的な心不全病態に対する治療のアル ゴリズムを示した(図 11-13).但しこれらの病型は全 く独立しているわけではなく,実際にはオーバーラップ がみられることが多いので,それぞれの治療を組み合わ せる必要がある.治療法の詳細については該当する各章 を参照されたい.

急性心原性肺水腫の場合には呼吸管理が重要である.

酸素投与(クラスⅠ)のみで血液ガス像が改善しなけれ ば , 速 や か に 陽 圧 呼 吸 を 行 う . こ の 場 合 ,C P A P, BiPAP などのNIPPV をまず試み(クラスⅡa),改善が みられない場合には気管内挿管を行う(クラスⅠ).薬 物療法ではループ利尿薬静注または持続点滴(クラス

Ⅰ),モルヒネ静注(クラスⅡb),硝酸薬舌下,スプレ ーまたは点滴(クラスⅠ),カルペリチド点滴(クラス

Ⅱa)などを行う.また著明な高血圧を伴う場合にはニ トログリセリン,Ca 拮抗薬(ニカルジピンなど)やニト ロプルシドによる血圧管理(クラスⅠ)が不可欠である.

心原性ショックでは,まず一定の容量の急速輸液を試 みる(クラスⅠ).血行動態が改善しない場合には血圧 のレベルに応じたカテコラミンの種類,用量の選択を行 い投与する(クラスⅠ).薬物で血行動態を維持できな い場合にはIABP やPCPS の適応を躊躇してはならない

(クラスⅠ).

慢性心不全の急性増悪では比較的時間の余裕がある場 合が多い.治療の基本はうっ血の改善と心拍出量の増加 を図ることである.慢性的な体液の貯留を伴っているこ とが多く,肺うっ血のみならず,全身の浮腫を認めるこ とが多い.うっ血の改善にはループ利尿薬の経口・静注 または点滴(クラスⅠ),硝酸薬(クラスⅠ),カルペリ チド点滴などを行う(クラスⅡa).一方,左室収縮機能 が低下している場合には血行動態改善,心拍出量増加を 目的とした強心薬の投与が現在のところ一般的である が,実際のところエビデンスが欠如しておりその適応に 関しては慎重を要する.低拍出量と考えられる場合には,

ドブタミンや PDE 阻害薬を用い,場合により併用する

(クラスⅡa).血圧が低い場合にはカテコラミン製剤,

特にドパミンの点滴を行う(クラスⅡa).薬物治療によ って血行動態が維持できない場合には PCPS,LVAS な どの補助循環を考慮する(クラスⅠ)(Ⅲ.参照).さら にこれらの機械的循環補助から離脱できない場合には心 臓移植を検討する(クラスⅡa)(Ⅲ.5-3参照).

図 11 急性心原性肺水腫治療のフローチャート  急性心原性肺水腫 

薬物治療  呼吸管理 

酸素投与 

非侵襲的陽圧呼吸 

気管内挿管,PEEP

改善がみられない 

改善がみられない  著明な 

高血圧  ニトログリセリン点滴

カルシウム拮抗薬点滴

(ニカルジピンなど)

ニトロプルシド点滴  

フロセミド静注または持続点滴 硝酸薬舌下,スプレー 点滴,カルペリチド点滴 モルヒネ静注 

それぞれの治療アルゴリズムへ 

ショックを伴う,あるいは慢性心不全の急性増悪に基づく場合 

図 12 心原性ショック治療のフローチャート  心原性ショック 

容量負荷の所見がない 

補液(生食 300-500 ml 急速輸液) 

血行動態改善せず 

収縮期血圧 70 mmHg 以下 

呼吸管理,原因治療 

収縮期血圧 70-90 mmHg

ドパミン 5-15(20)μg/kg/min

ノルエピネフリン 0.03-0.3μg/kg/min 静注  血行動態改善せず 

血行動態改善せず 

補助循環(IABP,PCPS) 

ドパミン 5-15(20)μg/kg/min

ノルエピネフリン 0.03-0.3μg/kg/min 静注 

図 13 慢性心不全の急性増悪治療のフローチャート  慢性心不全の急性増悪 

全身および肺うっ血 

利尿薬  ループ利尿薬 硝酸薬 カルペリチド 

心拍出量低下 

補助循環(IABP など)

離脱困難  血液浄化 

改善せず 

血行動態改善せず 

LVAS,心臓移植の検討 

収縮期血圧 90 mmHg 以上 

血行動態改善せず 低血圧なし 

PDE 阻害薬

アデニル酸シクラーゼ賦活薬  カテコラミン製剤

 ドパミン  ドブタミン 

ドキュメント内 −Û”RflÇ-Œ{ŁÒ-01 (ページ 56-61)

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