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心室中隔穿孔,僧帽弁乳頭筋不全)の治療5-7

ドキュメント内 −Û”RflÇ-Œ{ŁÒ-01 (ページ 42-45)

術後は,左室後負荷軽減のため,IABP を併用するこ とが多い.術前用いたPCPS は循環動態の改善が得られ れば不要であるが,循環動態の維持が困難な場合には,

PCPS あるいは直接減圧ができる左心補助人工心臓の適

応が考慮される.

成績は,blow-out 型は不良であるが,外科的治療が適 切に行えた症例では長期生存が可能である.

2

)心室中隔穿孔110−115)

AMI の1-2% にみられ,梗塞発症平均2から3日後 に発症するとされる.約60% は心室中隔の前壁から心 尖部に,20% から40% では後壁側に起こる.

自然予後は不良で,約25% が24時間以内に,50% が1週間以内に,70% 以上が2週間以内に死亡し,10

から20% の患者しか4週以上生存しないとされる.

聴診上,胸骨左縁第 3-4肋間に新たな汎収縮期雑音を 聴取し,心不全を伴う場合には強く疑う.心エコー検査 におけるシャント血流の存在や,Swan-Ganz カテーテル による右心カテーテル検査における肺動脈での酸素飽和 度の有意な上昇とシャント率の算出により診断される.

梗塞により脆弱化した心室中隔が破裂し,右室側に穿 孔した状態である.多くは急速に穿孔部が拡大し,急激 な肺高血圧の進行と左-右シャントの増大をきたす.こ のため,当初シャント量が小さい状態でも,手術の適応 となる(Ⅲ.5-3参照).左室の後負荷を軽減するため

にIABP を挿入し,厳重な監視下に観察するが,問題は,

手術をいつ行うかである.梗塞後2-3週以上経過すると 穿孔部周辺部の線維化が進み,強い組織となるため,手 術は比較的安全に行うことができる.しかし,自然予後 からみると,発症後2-3週まで血行動態が安定している 症例は少ない.IABP 補助下においても,心拍出量の低 下,肺高血圧の進行,体液貯留,腎機能の低下などの徴 候があれば,速やかに手術を行うことが妥当と思われる.

手術において,梗塞巣は脆弱であるため力がかかると 裂けやすい.従って可能なかぎり健常部に糸をかけて梗 塞巣を広くパッチで覆うように手術を行う.急性期手術 では,多少のシャントが残存しても救命を優先する.手 術法としては,パッチを用いて心室中隔を形成する Daggett の方法に代表される方法と,左室内に心膜を用 いて新たな腔を作成して右室との交通を断つDavid の方 法がある.米田-David 法では,左室内腔の比較的健常 と思われる心筋に牛心膜を袋状に縫着し右室との交通を 断ち左室縫合部にかかる左室圧を防ごうとするもので,

良好な成績が報告されている.

急性期に手術を必要とする症例では,AMI に基づく

心機能低下と肺血流の増加に伴う肺機能低下を伴ってい るため,術後の管理に難渋することが多い.術後引き続

いてIABP を使用し,血行動態が安定してから抜去する.

術後に高度の左-右シャント(肺体血流比2以上)と不 安定な血行動態が認められれば,再手術を考慮する.

手術成績は,病院死が30-40% で,その半数以上が心 不全に基づくものである.手術時に不安定な血行動態や 急性心不全を伴った症例の成績は不良である.また,長 期予後も5年生存率50% 前後,10年生存率30% 前後 である.

3

)僧帽弁乳頭筋不全116,117)

心筋梗塞後2から7日で突然発症し,肺水腫や低血圧 などの左心不全からショックを来す.約 75% では後乳 頭筋が,約25% では前乳頭筋が断裂する.自然予後は 不良で,外科的治療が行われない症例における 24時間 以上生存例は約25% である.突然全収縮期雑音を認め る場合には,本症と心室中隔穿孔を疑い,心エコー検査 で鑑別する.血行動態が維持できない症例が大部分であ り積極的にIABP を適応し,効果不良例ではPCPS を用 い,早急に手術を行う.

手 術 方 法 と し て は 僧 帽 弁 置 換 術 (mitral valve replacement; MVR)を選択する.僧帽弁形成術が可能と 考えられる症例では僧帽弁形成術も選択できるが,心機 能などを考慮して選択する必要がある.

AMI における外科的適応 クラスⅠ

・左室自由壁破裂,心室中隔穿孔,僧帽弁乳頭筋不全 に対する外科的治療:レベルC

ここでは,AMI に急性心不全が合併した場合に特に 注意する点について概説する.

AMI が疑われ再灌流療法が考慮されてよい状況では,

まず,冠動脈造影にて責任病変を確認後に冠動脈インタ ーベンションを実施することは前記したが(Ⅰ.Ⅱ.及 びⅢ.参照),特に広範囲心筋梗塞ではその効果は大き い.同時に,AMI では障害の程度は異なるものの心筋

〜心室機能異常がみられるので,循環動態に応じて治療

代表的基礎疾患に基づく心不全の治療戦略

虚血性心疾患

1 1

を行う(Ⅰ.3参照)

AMI に伴う軽症心不全は,一般的治療法で改善する ことが多い.つまり,安静,酸素投与,モルヒネ,利尿 薬,硝酸薬,カルペリチド,ACE 阻害薬などを用いて 治療すると良い.

一般的治療で改善がみられない難治性心不全例の場合 は,虚血性心疾患に限ったことではないが,Swan-Ganz カテーテルで血行動態を把握しながらドパミンやドブタ ミンなどのカテコラミンを投与する(表27).症例によ っては,PDE 阻害薬やアデニル酸シクラーゼ賦活薬を 投与する場合もある(Ⅲ.1参照).

カテコラミン製剤をはじめとした強心薬は,催不整 脈作用などの問題があり,さらに予後の改善に結びつ かない可能性もあるので,必要最小限とすべきであ

17,49,118−120)(Ⅲ.4-4参照).

カテコラミン製剤に対する反応が不良である場合は,

IABP の適応であろう.IABP にて血行動態がある程度 保つことが可能であれば,カテコラミンは減量できる可 能性がある.むしろカルペリチドやACE 阻害薬などを 用いて心保護に努めることが慢性期の心機能の維持に繋 がる可能性があるが,慢性心不全の急性増悪の場合に比 べれば,その使用量は少なくてもよいかもしれない.

AMI 急性期におけるACE 阻害薬,ARB,カルペリチド

などの心保護薬の使い方に関しては未だ議論の余地があ

る(Ⅲ.4-6参照).

今日,AMI に限らず不安定狭心症の段階でも,虚血 が原因で心不全を来たしている場合は冠動脈バイパス術 も含めた再疎通療法がその病態や予後を改善させること が知られており,診断をして速やかに対応すべきであ る121−123)

AMI に伴う心臓の構造的障害による急性心不全は,

外科的治療を要することが多い124,125).特に,AMI 急性 期に僧帽弁逆流が認められる頻度は比較的高いので注意 を要する126)(Ⅲ.5-3参照).その発症には,左室拡大,

乳頭筋不全および断裂,腱索断裂が関与している.利尿

表 27 虚血性心疾患に基づく心不全のモニタリング

(モニタリング)一般的なモニタリング以外 クラスⅡa

・Swan-Ganz カテーテル(血行動態が不安定な場合):

レベルB

・動脈圧ライン(血行動態が不安定な場合):レベルB クラスⅡb

・中心静脈圧ライン:レベルC

(治療)一般的な治療以外 クラスⅠ

・虚血が原因で心不全を来している場合の速やかな再灌 流療法:レベルA

・AMI に伴う心臓の構造物障害による急性心不全の外科 治療:レベルC

図 9 急性心筋梗塞におけるポンプ失調の治療の概略 

IABP,PCPS

 Ca 拮抗薬の使用:高血圧性緊急症・切迫症(Ⅲ-1,-3,Ⅳ-2)や虚血を伴う心不全を除いて,投与は慎重又は控える  一般的治療

安静,酸素投与

硝酸薬,利尿薬,Ca 拮抗薬,カルペリチド,ACE 阻害薬,ARB など 可能ならば再灌流療法(PCI) 

軽快  不十分 

薬を経口や経皮に変更

(β遮断薬も考慮) 

心エコー

Swan-Ganz カテーテル挿入 

機械的合併症なし  機械的合併症あり 

低血圧なし  低血圧あり  外科的治療 

内服および点滴薬剤の増量  ドパミン ドブタミン ノルエピネフリン 

IABP,PCPS 不十分  LVAS を検討 

薬,血管拡張薬,IABP を含めた強力な内科的治療によ っても心不全管理が困難であることが多く,緊急MVR の適応となる(Ⅲ.5-3,5-6参照).

低拍出状態を来たす右室梗塞の治療には,Swan-Ganz カテーテルを用い,血行動態をモニタリングしながら

(Ⅱ.3-1参照),急速に輸液を行い,前負荷を増加させ る必要がある.その場合,肺動脈楔入圧を 15mmHg 程 度に保つよう心掛けるが(Ⅲ.1-3参照),過度に上昇 すると左心不全徴候が出現する可能性もあるので注意を 要する.輸液のみで効果が不十分な場合は,カテコラミ

ンやIABP が必要になる場合がある.右室梗塞の場合は,

利尿薬,硝酸薬,カルペリチドなどは,著明な低血圧を 招く危険性があるために慎重投与か,場合によっては禁 忌である(Ⅲ.4参照).

虚血性心疾患に限らず心不全全般で,致死的不整脈が 出現する場合には,植込み型除細動器(ICD)を用いる ことが多くなっている127132

AMI におけるポンプ失調の治療指針の概略を図 9に

まとめる133,134)

高血圧緊急症とは,血圧が著しく上昇し,放置すれば 近い将来不可逆的な臓器障害が生じる可能性があるた め,直ちに降圧治療を開始しなければならない病態であ る.高血圧脳症,急性大動脈解離を合併した高血圧,肺 水腫を伴う高血圧性心不全(flash pulmonary edema)1), 重症高血圧を伴うAMI や不安的狭心症,褐色細胞腫ク リーゼ,子癇などが該当し,通常,180/120mmHg を超 える.ここでは,肺水腫を伴う高血圧性左心不全を例に とり,治療について述べる.血圧が著しく高いと肥大心 に伴う左室拡張不全が生じ,左室拡張末期圧が上昇して 肺水腫を伴う左心不全に陥ることがある.緊急に降圧を 図る必要がある場合には,ニトログリセリン,Ca 拮抗 薬,利尿薬,ニトロプルシドなどの静注薬を用いる.ま た,肺うっ血が強ければカルペリチドや硝酸薬の併用も 良い(表28).長期的にはACE 阻害薬,ARB,Ca 拮抗 薬などが用いられる.

一方,高血圧切迫症は数時間以内に治療を開始すべき 病態と考えられ135),比較的作用発現時間の速いループ利 尿薬,ACE 阻害薬を経口投与する.心機能が比較的保 たれておれば,β遮断薬も有効である.または,ARB や長時間作用型のCa 拮抗薬でも対応できる.

一般的に,高血圧緊急症の治療の初期目標は,平均動 脈圧を1-2時間程度で25% ほど低下させ,次いで主要

臓器の虚血を起こすような過度の血圧低下を避けて,2-6時間程度でおよそ160/100mmHg 程度まで下げるよう にする.

これまで,この疾患の治療に即時放出型ニフェジピン の舌下投与が用いられることもあったが,血圧の降下速 度や程度を調節できない舌下投与は避けるべきである136)

(Ⅲ.1〜3参照).

肥大型心筋症および拡張型心筋症が原因で心不全を来 たした場合の急性心不全治療の方針を示す(表29).

HCM により引き起こされる病態としては,心室の拡 張障害,心筋虚血,各種の不整脈,拡張相における収縮 不全が挙げられる.症状としては,労作時の呼吸困難,

易疲労感および胸痛がみられる.但し,これらの症状は 本症による慢性心不全の病態と関係していることが多 い.肥大型心筋症が急性心不全の病態を呈する誘因とし て代表的なものは次の様なものがある.

1

)頻 拍

洞性頻拍,上室性頻拍などの頻拍により収縮および/

または拡張不全が増悪する場合(Ⅱ.3-2 及びⅤ.5-2 参照).

2

)不整脈

心室性不整脈の連発や心室頻拍により急性心不全,場 合により突然死に到る場合(Ⅴ.5-1参照).

3

)負荷増大

高血圧などの後負荷増大あるいは腎不全などによる循 環血液量増加による前負荷増大により急性心不全となる 場合(表6,7参照)

肥大型心筋症は経過中に拡張相肥大型心筋症にしばし

高血圧緊急症・切迫症

2 2

表 28 高血圧性緊急症・切迫症の治療薬物 クラスⅠ

・肺水腫を伴う高血圧性心不全におけるニトログリセリ ン,Ca 拮抗薬(ニカルジピンなど),利尿薬,ニトロ プルシド,カルペリチド,ACE 阻害薬,ARB の使用:

レベルC クラスⅢ

・高血圧性緊急症におけるニフェジピンの舌下投与:レ ベルC

特発性心筋症

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