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大動脈弁逆流(aortic regurgitation:AR)

ドキュメント内 −Û”RflÇ-Œ{ŁÒ-01 (ページ 49-53)

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貧血は心不全に高頻度に合併し,NYHA 分類の重症度 に比例してその合併率が増加する159).貧血を合併すると 酸素運搬率が低下するため,代償性に1回拍出量と心拍 数が増加して心負荷が増大する.また貧血は,心不全を 悪化させる一因であるだけでなく,予後を規定する独立 した危険因子であると考えられており,心不全に合併し た貧血は積極的に治療すべきである159).また心不全患者

では,ACE 阻害薬160)やアスピリンなどの投与が,貧血の

一因となっている場合もあるので,注意が必要である.

治療は表32 に示すが,ヘモグロビン10g/dL 以下,

ヘマトクリット30% 以下の場合は,貧血の治療が必要 である.鉄欠乏性貧血であれば鉄剤の投与を行うが,本 剤のみで貧血を改善させるのには時間を要する.また高 齢者では造血能が低下している症例が多いため,効果が 期待できない場合もある.

重症の貧血や,早急に貧血を是正する必要がある症例 では,赤血球濃厚液の輸血を行う.但し,急速な輸血は 用量負荷となり,うっ血や肺水腫を助長する場合がある ことに注意する.また,クレアチニンクリアランス 30 mL/min 以下,あるいは血清クレアチニン値2.0mg/dL 以上の重症な腎不全の場合は腎性貧血の可能性が高いた め,エリスロポエチンと鉄剤を併用する161).エリスロポ エチンは,6000単位/週で投与を開始し,ヘモグロビン

値を最低10g/dL 以上まで改善させる.心不全患者では

できればヘモグロビン12g/dL 以上に保つことが望まし い.エリスロポエチンを投与する場合の鉄剤投与は,フ ェリチン値を測定しながら必要に応じて行う(フェリチ

ン値100 ng/mL を目標).エリスロポエチンには高血圧

などの副作用が認められることがあるので,血圧が高い 症例では注意が必要である.

表 31 弁膜疾患の非薬物療法 MS のPTMC の適応

クラスⅠ

・自覚症状があり,PTMC に適した形態を有する場合:

レベルB MS の手術適応

クラスⅠ OMC 推奨:

・NYHA 心機能分類Ⅲ-Ⅳの中等度〜高度MS(MVA が 1.5 cm2 以下)の患者で,弁形態が形成術に適してお り,抗凝固療法を実施しても左房内血栓が存在する 場合:レベルB

・NYHA 心機能分類Ⅲ-Ⅳ度の中等度〜高度 MS 患者 で,弁に柔軟性がないか,あるいは弁が石灰化して おり,OMC かMVR かを術中に決定する場合:レベ ルB

MVR 推奨:

・NYHA 心機能分類Ⅲ-Ⅳ度の中等度〜高度MS の患者 で,PTMC またはOMC の適応と考えられない患者:

レベルB

・NYHA 心機能分類Ⅰ-Ⅱ度で高度 MS(MVA が1.0 cm2 以下)と重症肺高血圧(収縮期肺動脈圧60-80 mmHg 以上)を合併する患者で,PTMC またはOMC の適応と考えられない場合:レベルB

MR の手術適応 クラスⅠ

・形成術が可能と思われる急性症候性MR の患者:レ ベルB

・NYHA 心機能分類Ⅱ度以上の自覚症状を有する左室 機能正常の患者:レベルB

・軽度左室機能低下のある症候性または無症候性の患 者:レベルB

・中等度左室機能低下のある患者:レベルB AS の手術適応

クラスⅠ

・症状を伴う重症AS:レベルB

・CABG や他の弁膜症手術,上行大動脈の手術を伴う 患者で重症AS を伴うもの:レベルC

AR の手術適応 クラスⅠ

・胸痛や心不全症状のある患者(但し,LVEF>25 %):

レベルB

・冠動脈疾患,上行大動脈疾患または他の弁膜症の手 術が必要な患者:レベルC

AS のPTAC 適応 クラスⅡb

・AVR のリスクが高く,血行動態的に不安定な患者に おいてAVR を前提としたブリッジの役割としての施 行:レベルC

(註※;クラス分類が状況によりⅡa-Ⅲになっている)150)

併発病態と治療対策

1 貧 血

1

表 32 心不全に合併した貧血の治療 クラスⅠ

・輸血:レベルB

・鉄剤:レベルB クラスⅡb

・エリスロポエチン:レベルC

心不全では,高血圧や糖尿病を合併した高齢者が多い ため,腎機能が低下している場合が多い.腎機能障害は 心不全を悪化させる一因であるだけでなく,心不全の予 後を規定する独立した危険因子であると考えられ,最近 注目されている162).腎機能は,通常入院時の血清クレア チニン値で評価されるが,高齢者,特に筋肉量の少ない 女性では,血清クレアチニン値の割に腎機能が低下して いる症例が少なくない.入院時には Cockcroft の計算 式163)を用いてクレアチニンクリアランスの推定値を計 算すべきである.

Cockcroft の計算式(成人男性)

クレアチニンクリアランス(mL/min)=

〔(140−年齢)×体重(kg)〕/〔72×血清クレアチニン値(mg/dL)〕

(女性は上記の式より15% 減らす)

急性心不全の治療に際しては,利尿薬の投与,絶食,

輸液の制限,造影剤の使用などにより,腎臓にはかなり の負担がかかる.腎不全を合併している症例においては 低血圧,過度の脱水に陥らないよう十分注意する必要が ある.

心不全,腎不全,貧血の3つの病態は,互いに影響し 合い悪循環を呈していることが注目され,Silverberg ら によりcardiorenal anemia syndrome として提唱されてい る159).心不全の治療においては,心機能を改善させるこ とばかりでなく,腎機能や貧血の改善を考慮した治療を 行うことが大切である.

治療は表33に示すが,心拍出量の低下に伴う腎前性 の腎障害であれば,心不全の改善とともに血清クレアチ ニン値の低下が得られる可能性がある.しかし腎実質性 障害を合併した症例では腎機能の改善は期待できないば かりか,心不全の治療によりむしろ腎機能を悪化させる 可能性がある.

カルペリチドは,輸入細動脈の拡張と輸出細動脈の収 縮により糸球体濾過量(GFR)を増加させる.またレニ ンの分泌抑制,集合管でのナトリウム再吸収,およびア ンジオテンシンⅡにより刺激された近位尿細管でのナト リウム水再吸収を抑制し利尿効果を表す164.また心不全 では心拍出量の低下に伴いGFR が低下して腎髄質の血 流が低下するが,カルペリチドには腎髄質への血流を増 加させる作用がある164).そのため腎臓が虚血に陥りにく いと考えられており,腎機能低下を伴う心不全症例での

効果が期待されている(Ⅲ.4-3参照).しかしながら,

腎不全では内因性のナトリウム利尿ペプチドの血中濃度 が増加していること,及びカルペリチドの腎からのクリ アランスも低下している165)ことから,腎不全の程度に よっては,カルペリチドの点滴静注による過度の血圧低 下や血清クレアチニン値の上昇に十分に留意して,極く 少量からの使用(0.0125-0.025μg/kg/min または場合に よってはそれ以下)とすべきである.

ループ利尿薬は,肺水腫を伴う重症心不全の治療には 必須の薬剤であるが,腎機能を悪化させる可能性もある ため,使用する際には注意が必要である.また,本剤は サイアザイド系利尿薬と併用することにより,利尿効果 が増強する場合がある.また,間欠的静脈内投与で効果 がない場合には,フロセミドの持続点滴投与が有効な場 合がある(Ⅲ.3,4参照).フロセミドの使用により貯 留した体液が減少した際には,投与量を減量する.長期 間連用すると神経体液性因子を亢進させたり,低ナトリ ウム血症を来たすため注意が必要である.ACE 阻害薬 やARB は,腎機能が低下した症例でも長期的には腎保 護的に作用すると考えられており,少量より慎重に投与 すべきである.血清カリウム値,クレアチニン値の上昇 を観察しながら,徐々に増量する.

腎機能の低下や利尿薬の長期連用により,心不全では 血清ナトリウム濃度が低下する例が多い.低ナトリウム 血症は,心不全の独立した危険因子であることが最近報 告されているが166),心不全患者における低ナトリウム血 症の補正は容易ではなく,治療に難渋する症例が多い

(Ⅲ.4-4参照).

うっ血肝は,右心不全に伴い肝静脈に静脈血がうっ滞 することにより生じる.肺塞栓症や右室梗塞,心タンポ ナーデなどによる急性右心不全の際にも生じるが,両心

2 腎不全

2

表 33 腎不全を合併した心不全の治療

(腎機能障害の程度により異なるため,注意が必要である)

クラスⅡa

・ACE 阻害薬:レベルB

・ARB:レベルB

・カルペリチド:レベルC

・フロセミド(経口):レベルC

・フロセミドの間歇的静脈内投与/点滴静注:レベルC

・フロセミドとサイアザイドの併用:レベルC クラスⅢ

・高カリウム血症例での抗アルドステロン薬:レベルC

3 うっ血肝

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不全を併発した重症な慢性心不全で認められる場合が多 い.後者では長期間に及ぶ慢性の左心不全の結果,肺静 脈性の肺高血圧が生じ三尖弁閉鎖不全を合併して生じる 症例が多いため,薬剤抵抗性の難治性心不全となりやす い.うっ血肝では,肝逸脱酵素や総ビリルビン値が軽度 上昇する例が大半であるが,AST が1000IU/L を越え るような重症例も存在する.また血清ビリルビン値は重 症度や予後の判定の参考になり,総ビリルビン値が3.0

mg/dL 以上では予後不良な症例が多い.うっ血肝では

小葉中心部から肝細胞の変性が生じるが,うっ血が長期 に及ぶとやがてうっ血性肝硬変へと進展する.不可逆性 の肝硬変症は,心臓移植の適応除外基準の1つにも含め られている.

治療

貯留した体液を減少させることが最も重要であり,ル ープ利尿薬が投与される(表34).高度の右心不全を合 併した症例では,ドパミン,ドブタミンや PDE 阻害薬 などの強心薬が投与される.しかし慢性に経過する重症

な両心不全の症例では,これらの治療では改善しない症 例が多い.

急性心不全による入院後に発症する肺炎のほとんどは いわゆる院内肺炎である.院内肺炎は,入院後 48時間 以降に発症した肺炎と定義される.その診断基準は,症 状(発熱,咳,喀痰,胸痛),胸部X 線写真における浸 潤影の出現と炎症所見(CRP,白血球数)や細菌学的検 査による.急性心不全でも重症化するほど発症頻度が高

表 34 心不全に合併したうっ血肝の治療 クラスⅠ

・ループ利尿薬:レベルB クラスⅡa

・ドパミン:レベルB

・ドブタミン:レベルB

・PDE 阻害薬:レベルC

4 肺 炎

4

図 10 院内肺炎のエンピリック治療における抗菌薬の選択 

危険因子:急性心不全,人工呼吸管理症例など  註: VAP: ventilator-associated pneumonia

Ⅰ群  軽症,中等症肺炎 危険因子なし 

Ⅲ群  中等症肺炎 危険因子あり または重症肺炎 

Ⅱ群  軽症肺炎 危険因子あり 

A

B

C

D

E

F

G

H

Ⅳ群  特殊病態下の肺炎 

Ⅳ-1 免疫能低下 

Ⅳ-3 誤嚥 

Ⅳ-2

人工呼吸管理下 

(VAP) 

Ⅳ-1-a 好中球減少 

Ⅳ-1-b

細胞性免疫不全 

Ⅳ-1-c 液性免疫不全 

1)第 2 世代セフェム系薬あるいは抗緑膿菌作用を持たない第 3 世代セフェム系 2)経口または注射用フルオロキノロン系薬

3)クリンダマイシン+モノバクタム系薬 

A もしくは C の場合のいずれかの選択を主治医が決定する.以下の抗菌薬の選択も可能である 1)抗緑膿菌作用を有する第 3 世代セフェム系薬や第 4 世代セフェム系薬

2)カルバペネム系薬 

1)抗緑膿菌作用を有するβ-ラクタム系薬(抗緑膿菌作用を有する第 3 世代セフェム系薬や     第 4 世代セフェム系薬,カルバペネム系薬)+フルオロキノロン系薬 or アミノ配糖体系薬 2)注射用フルオロキノロン系薬+カルバペネム系薬

3)MRSA を原因菌として否定できない場合

 1)or 2)+グリコペプチド系薬(テイコプラニン,バンコマイシン)or アルベカシン 4)レジオネラ肺炎を否定できない場合

 1)or 2)のうちフルオロキノロン系薬を選択する

 もしくは抗緑膿菌作用を有するβ-ラクタム系薬+マクロライド系薬 or リファンビシン

1)抗緑膿菌作用を有するβ-ラクタム系薬(抗緑膿菌作用を有する第 3 世代セフェム系薬や     第 4 世代セフェム系薬,カルバペネム系薬)+アミノ配糖体系薬

2)注射用フルオロキノロン系薬+クリンダマイシン 

レジオネラを含めて細菌性肺炎の治療として, C の選択薬にマクロライド系薬  もしくはフルオロキノロン系薬を追加併用する 

第 3 ・第 4 世代セフェム系薬,カルバペネム系薬 

1)早期 VAP :β-ラクタマーゼ阻害剤配合β-ラクタム系薬

or 第 2 ・第 3 世代セフェム系薬+フルオロキノロン系薬 2)晩期 VAP :抗緑膿菌作用を有するβ-ラクタム系薬 or フルオロキノロン系薬

or カルバペネム系薬+アミノ配糖体系薬 or ミノサイクリン+グリコペプチド系薬  クリンダマイシン,β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬,カルバペネム系薬 

ドキュメント内 −Û”RflÇ-Œ{ŁÒ-01 (ページ 49-53)

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