窮 窮 難 都一 岩要
Gu〜・地紙
図47 新国誠一r禍根」1972年
図49「悲歌」もグリッドに沿った集合を もたない構造をもつ。大小様々な 「非」の群 れが塊のように上部にあり、画面下部にぽつ んと「心」がある。空間主義以前の作品であ る図28「空をさがせ!」と類似する構図だ。
だがr悲歌」の場合はより密度が上がり、r非」
一がまるで生物のように感じられるほど有機的 な集合となっている。作品としての質は類似 する「空をさがせ!」と比べて格段に一向上し ているといえるだろう。問題なのはそρ構造
とテーマだが、r非」の本来の字義はr1二つに 分かれる様子」であり、「悲」とは・「心が均衡
を失って分かれてしまうこと」である。だが
「非」を「non」=「非ず」ととらえたこと によって、いなくなってしまった「非」と「心」
め関係の構造化に成功した。文字一にこだわっ た新国が字義を確認しないはずはない。解字 的な解釈ではない理解を当てはめることで、
r悲」がもつr非」とr心」の関係を構造化
している。
図48「触る」も他に
類を見ない構造である。
大きな触の字を基点とし てひらがなの「る」が有 機的な配列を見せている。
タイトルが「触」ではな く「触る」であることに 注目したい。屈折語尾と
してのrる」はr角虫」の 字から伸びる触手のよう
にして不規貝一」;こあらゆる 方向を目.指す。触れる対 象を探しているかのよう だ。触れられるべき目標 として一字だけ「唇」が 配置されているが、r触」
と「る」の、語幹と語尾 の関係を「触る」という 行為のもつ方向性として 構造化することに成功し
ている。
唇
るるるるるる
るる 鷺る る
るる
る
る郁綱納
る るる
る雲噌 薯
る亭
る
琵るるるるるる〆
萎るるる奮 お る る 召 者
{
駕勇るるる
書ボ
妻11{婁1る
図48
新国賊」「触る」1972年爽珠
評非
一〇、
4−6 「ASA宣言書」以降
図49 新国誠一「悲歌」1972年
.(建畠哲「日本の視覚詩の運動について」『国立国際美術館紀要』第五号、1983年)
コンクリート・ポエトリーに対する認識は新国が追求していたような理論的な裏付け を失う傾向にあった。それらに対抗する意味合いと、十周年を迎えるASAの行程を集大 成することを目的としていたのではないだろう.か。
宣言書はASAのメ!バーである上村弘雄との手紙のやりとりによって推蔽され、以下 の十五項目で構成されている。
1その詩は詩上山Lである。
2.その詩は「詩」に強勢をおく。
3.その詩は「構想」.を強調する。
4その詩は言語個在胞飢造をめざす。
与.その詩は超国家的である。
6その詩は言語の構造艶杢連関一をめざす。
十.その詩は視覚と聴覚の意味の一体化したものである。
8.その詩は語や語の要素が視覚あるいは聴覚エネルギーの中心となる。
9.その詩は音素や語の音響そのものでつくられる。
10.その詩は瞬間下館の伝達方法をもつ。
11.その詩は 意文占の1 をもつ。
12.その詩は混一 芸術ではない。
13.その詩は環境形成の手段として生産される。
14.その詩の世界像はわれわれが使用する言語に規定される。
4−6−1 宣言書の分析
最終号となった『ASA』十号に掲 載された.「ASA宣言書:1973」は、
コンクリート・ポエトリーをとりま く環境の変化を受けたものであると 建畠哲は指摘ナる。
1973年、新国は再度コング リートー・ポエトリー運動の体 制のたてなおしをはかるべく、
「ASA宣言書:1973」を出し、
これをASAの綱領として会
貝に署名を求めた。付された 覚書には「本宣言書の明確な 特徴は、言語芸術の詩(元義 的な)としての再確認であり (一中略)一従って作品の正確も 各種ジャンルを主軸とする混 成芸術は一切排除される」と 記され、新国のリゴリズムは さらに先鋭なものとなってい る。15.その詩は空間文明時代の人間の宇宙的存在を意識する。
(下線は筆者による)(新国誠一『新国誠一works1952−1977』、思潮杜、2008年)
最初の項目に明記されるのは詩が「もの」であるということである。言葉を物質とし て扱うことが新国のコンクリート・ポエトリーの基盤となっており、第一に掲げられて いることが、重要性を示している。第四項目の「言語固有の美の創造」は、「NOTE」や 今までの宣言書には見られなかった文言であるが、これも新国にとって絶対的な条件で あったことは確実である。コンクリート・ポエトリーは絵画領域と接近してしまう危険 性を常にはらんでいる、しかしそれでも「混成芸術ではない」と新国が断言できるのは コンクリート・ポエトリーが「言語固有の美の創造」であるからに外ならない。第十二 項目でも混成芸術を否定しているが、」つの宣言書のなかで言葉を変えて二度も述べな くてはならないことだとわかる。同時に、コンクリート・ポエトリ∵が言語によってし か到達できない領域であるこ辛を示している。第六項目では「構造ξ機華の全体連関」
を目標とすることを明言している。これは、コンクリート・ポエトリーの基本である、一 作品の構造がそのテーマとなることを説明している。第十」項目てば、コンクリート・.
ポエトリー自体が「表意文字」.としての性質をもつと述べている。過去の■宣言文には見 られなかったもめだが、これは単に漢字を材料とすることを述べているのではなく、そ の作品自体が一つの意味をもつ、と理解すべきであるだろう。
気になるのは「空間主義東京宣言書」をはじめとして新国の評論にもあろた「言葉の 原初経験」という語が見られない点である。「空間主義東京宣言書」の時点で新国が目指 していたのは言葉の原初経験を回復させ、それを通じて人間の原初経験を取り戻すこと であったが、「ASA宣言書」では違っている。このことは、二つの宣言書の性質に由来 すると考えられる。「空間主義東京宣言書」はあくまでも空間主義の宣言をまとめたもの であり、ガルニエと新国が目指す新しい文明の実現のための詩作を提示していた。「ASA 宣言書」は新国と藤富が立ち上げた芸術研究協会の詩作の方針の集大成である。そのこ
とは、署名者が↓村弘雄、藤富保男、鍵谷幸信、向 井周太郎、清水俊彦、L.C.ヴィニョーレス、新国 賊」という芸術研究協会所属の七名となっており、
ガルニエの名が見られないことからも明らかであ る。新国は、白身がこれまでコンクリート・ポエト リーで表出しようとしてきた「言葉の原初経験」を からさらに進み、r構造と機能ρ全体連関」を目指 すようになった。1973年のこの宣言書から1977年 に死亡するまでの短い期間に新国はこれまでの作 品に見られた手法を捨て、さらに別の可能1性を試し
ている。
4−6−2 晩年め作品分析
rASA宣言書」以降の作品では、これまでの作品 とは異なった方法をさらに追求しようとする新国 の姿勢が、特に文字表記の面にあらわれるようにな
った。
図50r悪魔祓い」では、漢字・ひらがな・カタ カナが混用され、「ア」「ク」「マ」「デ」の音をもつ
悪ア悪アあアあアあア悪ア悪 魔クまクくクくクくクまク魔 でマでマま.マ魔マまマでマで 悪デ悪デでデでデでデ悪デ悪 魔アまア悪アあア悪アまア魔 でクでク魔クくク魔クでクで 悪マ悪マでマ魔マでマ悪マ悪 魔デまデあデでデあデまデ魔 でアでアくアあアくアでアで 悪ク悪クまクくクまク悪ク悪.
魔マまマでマ廃マでマまマ魔 でデでデ悪一デでデ悪デでデで 悪ア悪ア魔ナあア廃ア悪ア悪 魔クまクでクくクでクまク魔 でマでマあマ廃マあマでマで 悪デ悪デくデでデくデ悪デ悪 魔アまアまアあアまアまア魔 でクでクでクくクでクでクで 悪マ悪マ悪マ廃マ悪マ悪マ悪 魔デまデ魔・デでデ魔デまデ魔
ででで ででで
図50
新匡1誠」「悪魔祓い」1974年
文字が表記を変えて繰り返される。異なる漢字を充てることでそれぞれの示す意味も変 化するというパターンになっている。表意文字としての漢字の読みと表音文字の表記と の間にある境界を破ろうと意図したものであろう。
図51「さみだれ」は「さ」「み」「だ」
rれ」の四つのひらがなを分かち書きで 繰り返しており、区切りをずらしてゆく
ごとで異なる言葉を意識させる構造にな っている。これは、日本語の構成という よりも表音文字を四つの部品として組み 合わせることで生まれる可能性の多様さ に支えられている。ここには明らかに上 から下へという情報の順序が設定されて いる。漢字の表記であるr五月雨」が一 箇所だけ入る意図は何であろうか。やや 強引にはなるが、途切れがちに降り続く 五月雨がテーマだとすれば、分かち書き を用いた構造と関係を結んではいる。
表音文字を部品として見なす方法は図 52rうごめく」でさらに発展的になっ ている。rさみだれ」では順序は不変のま ま区切りが変わっていくパターンであっ たが、「うごめく」では「う」「ご」「め」
rく」の四つの文字をほとんどアトラン うご うご苦くう うめ うめ め紅くうめ ご紅く 旬くご口く
苦1 う
うご う うめ うめ口くうめ 苦くめ紅くご口く 紅く 垢/
う う うご うご う うご紅/
め苦/め供1 丸1め句1 垢1
うめ め苦くうううううう 口く う る めごめごめご め め め 苦薔曹苦苦曹く苦(う. 苦く組1来味来味味喋くる ご供く るるるるるる め う めめめめめめ 紅く
うめ うめ口く紅紅紅紅紅紅く ご紅/ 口/ つ う うご う め
うごめ苦くめ垢く 苦くご口く紅く
さ、さ、さささ、さささ、
み、み、 み み、 み、
み、 み、み、
だ、だ だ、だ、だ だ、だ、だ
れ、れ れ、れ、れ れ、 れさ さ れ さ
さ、みさ、さみさ、さ
み、 み、 み、み み、
だ、 み、だ、 だ、
だ れ、だ だ、れ、だ だ、
れ れ れ れ、れ さ さ さ れ さ さ さ
さ さ み み、み、み、 み、み、だ、だ、だ、み、・だ、だ、み、だ、
れ、 だ、 だ、れ、
れされ、れれれ、
さ、さ み さ さ さ
み、 さ、 み さ、み、だ、み、み、 み、み、
ただ、れ、 だ、だ、 だ、
れ れ、 五、れ、れ、だ れ、