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形容詞対への評定からみる居心地悪い場面

第 3 章 形容詞対への評定からみるカテゴリーと場面

研究 2 形容詞対への評定からみる居心地悪い場面

第1節 目的

第 2 章では「居心地悪さ」体験として,面接場面において感じた居心地悪さ,及び居心 地悪さが変化するきっかけについての検討を行った。しかし,得られたに面接場面がどの ような場面を示しているのかについては不明確である。そこで,「居心地悪さ」体験として 居心地悪い面接場面について,どのような面接場面が居心地悪いと認識されているのか,

主観的な捉え方に関して数的指標を用いて探索する。

第2節 方法 2-1.対象者

研究1と同様。

2-2.方法

研究1と同様。

2-3.分析方法

まず,形容詞対への評定値をもとにクラスター分析を行い,得られた面接場面の分類を 行う。次に,形容詞対を因子分析し,各因子の因子得点を算出する。その後,各因子ごと に場面クラスターを要因とした一要因分散分析を行い,因子得点の比較を行う。

なお,分析にはSPSS 17.0 for Windowsを用いた。

2-3.分析方法

まず,形容詞対への評定値をもとにクラスター分析を行い,得られた面接場面の分類を 行う。次に,形容詞対を因子分析し,各因子の因子得点を算出する。その後,各因子ごと に場面クラスターを要因とした一要因分散分析を行い,因子得点の比較を行う。

なお,分析にはSPSS 17.0 for Windowsを用いた。

第3節 結果

3-1.居心地悪い面接場面の分類

最も強く居心地悪さを感じた 24 の面接場面を類似のものにまとめるため,形容詞対 11 項目の評定値を用いてward法によるクラスター分析を行った。対象者によって提出してい る場面数が異なるため,今回は対象者全員が回答している最も居心地悪い場面にのみ着目 する。一人の対象者につき一つの場面に限ることで,複数場面回答している特定の個人の

回答がまとまるといった個人特徴の影響を最小限にすることが可能となることと,場面を 分類した際の検討しやすさを考慮し,一人あたり一場面での検討を行うこととした。

クラスター分析によって得られたデンドログラムを図3-1に示す。デンドログラムから,

得られた居心地悪い面接場面は大きく 3 つのクラスターに大別される。しかしながら,そ のうちの1つのクラスターに多くの場面が集中しているため(全24場面中15場面),その クラスターをさらにデンドログラムによって2つのクラスターに分割し,最終的に 4クラ スターで以後の分析を進めることとした(図 3-1)。また,各クラスターに含まれる面接場 面の概要は表3-2に示す通りである。

0 5 10 15 20 25 +---+---+---+---+---+

12 -+ 1クラスター:セラピストとしての機能不全感 21 -+

11 -+-+

10 -+ | 9 ---+---+

7 ---+ +---+

4 ---+---+ | 16 ---+ | |

3 ---+ +---+

20 -+-+ | |

23 -+ +---+ | | 2クラスター:関わってくれないことへの焦り 5 -+-+ | | |

8 -+ | +---+ +---+

19 ---+ | | | 24 ---+ | | 6 -+---+ | |

15 -+ +---+ |第3クラスター:役割イメージの混乱 1 ---+---+ |

13 ---+ | 2 -+---+ | 14 -+ +---+

17 -+---+ | 4クラスター:共同作業を壊す反応 18 -+ +---+

22 ---+

図3-1.居心地悪い面接場面のデンドログラム

第1クラスターには,「21.沈黙した時に,次の展開が分からず戸惑う。クライエントも セラピストの発言を待っている。」「10.セラピストの質問にクライエントは『分からない』

と答えるだけで,なかなか会話が続かない。」「9.クライエントからは何も話してくれない 状況で,沈黙したときに役立たなさを感じる。」など9つの場面が含まれている。これらの 場面は,思い通りに進まない面接にセラピストが苦労し,セラピストとして機能的な動き ができずに戸惑っている場面として捉えられ,【1.セラピストとしての機能不全感(機能不 全感)】と命名した。

表3-2.各クラスターに含まれる面接場面の概要 第1クラスター:セラピストとしての機能不全感(9)

12.初回のいちばん最初に,緊張していた。

21.沈黙した時に,次の展開が分からず戸惑う。クライエントもセラピストの発言を待っている。

11.自傷の話を聞いていて,クライエントが自傷してしまうのも分かるが,でもやめてもらいたいと葛藤。

10.セラピストの質問にクライエントは「分からない」と答えるだけで,なかなか会話が続かない。

9.クライエントからは何も話してくれない状況で,沈黙したときに役立たなさを感じる。

7.クライエントが部屋の少し離れた所にいて,クライエントに気に入れられてないのではと不安になる。

4.前回の良く話していたクライエントが話さなくなり,そのギャップに戸惑う。会話がない時に何とかし なければと焦る。

16.面接の進め方,クライエントとの関わり方に悩んでいた頃。

3.親子合同で行うプレイセラピーで自分が何をしたらいいのか分からない。他の人に見られる落ち着かな さを感じる。

第2クラスター:関わってくれないことへの焦り(6)

20.プレイセラピーの最中,クライエントの遊びについていけない。クライエントの一人遊びにどうした らいいのか分からない。うまくできない焦り。

23.沈黙し,クライエントが断片的にしか答えない。会話が続かない。

5.沈黙の時,何か話さなければと焦る。セラピストが質問しないと沈黙になることに負担感を感じる。

8.沈黙した時に,次の話題がすぐに思い浮かばず焦る。

19.セラピストの声かけに反応しないクライエントとの関わり方が分からず焦る。

24.何もしたくないと言うクライエントにどうしたらいいか分からない。

第3クラスター:役割イメージの混乱(4)

6.セラピストではなく,院生のお姉さんとしてクライエントから思われることへのやりづらさ。

15.驚く内容を突然クライエントから言われた。

1.親子並行面接の子ども担当で,親にどう思われているのか気になるようになった。

13.初めて会ったクライエントがイメージしていたものと違い,接し方に迷う。

第4クラスター:共同作業を壊す反応(5)

2.自分本位なクライエントの辛さアピールに,怒りや辟易とした感じを覚える。

14.親子合同面接でクライエントが子どもの批判を目の前で始めた。

17.クライエントを目の前にした時に,クライエントが一人の人間ではなく問題を抱えた「もの」として 感じられた。

18.クライエントがずっと泣いており,セラピストは聞くことしかできない。

22.どうしてもクライエントが面接室に入ろうとしない。セラピストはうんざりするし,周囲の目が気に なっていた。

( )内は該当場面数

第2クラスターには,「23.沈黙し,クライエントが断片的にしか答えない。会話が続か ない。」「5.沈黙した時に,次の話題がすぐに思い浮かばず焦る。」「19.セラピストの声か けに反応しないクライエントとの関わり方が分からず焦る。」など6つの場面が分類された。

これらの場面は主に面接中に沈黙したり,反応がないなど,クライエントからの関わりが ない状態に関する場面と見ることができるため,【2.関わってくれないことへの焦り(無関 与)】と命名した。

第 3 クラスターには,「6.セラピストではなく,院生のお姉さんとしてクライエントか

ら思われることへのやりづらさ。」「15.驚く内容を突然クライエントから言われた。」「1.

親子並行面接の子ども担当で,親にどう思われているのか気になるようになった。」「13.

初めて会ったクライエントがイメージしていたものと違い,接し方に迷う。」の4つの場面 が含まれている。これらの場面はセラピストが想定していたセラピスト役割,クライエン ト役割と異なる状況に直面している場面であり,【3.役割イメージの混乱(役割イメージ混 乱)】と命名した。

第 4 クラスターには,「2.自分本位に辛さをアピールするクライエントに,怒りや辟易 とした感じを覚える」「14.親子合同面接でクライエントが子どもの批判を目の前で始めた」

「18.クライエントがずっと泣いており,セラピストは聞くことしかできない」をはじめ とする 5 つの場面が含まれており,セラピストあるいはクライエントのいずれかが,面接 という共同作業に必要な著しく相互の関係性を害する反応をしている場面がまとまったク ラスターであり,【4.共同作業を壊す反応(共同作業破壊)】と命名した。

3-2.形容詞対の因子分析

形容詞対11項目を用いて因子分析を行った(主因子法,バリマックス回転,固有値≧1)。

因子分析の結果,3 因子が抽出された(表 3-3)。形容詞対が因子に該当するかの判断とし て,今回は因子負荷量の絶対値が.60以上であることを判断基準とした。

表3-3.因子分析結果(主因子法,バリマックス回転)

因 子

1 躁擾 2 沈鬱 3 無気力 共通性

静かな-騒々しい .811 -.058 -.142 .681 冷静な-感情的な .769 .231 -.171 .674 穏やかな-激しい .705 .334 .032 .609 おしゃべりな-無口な -.653 .346 .386 .695 和やかな-とげとげいしい .643 .297 .492 .744 開放的-息苦しい .002 .876 .193 .805 安定した-不安定な .284 .733 -.385 .766 明るい-暗い .103 .707 .502 .763 自由な-不自由な .340 .684 .086 .591 率直な-慎重な -.359 .468 .040 .350 意欲的な-無気力な -.257 .051 .920 .915

累積寄与率 27.17 53.27 69.04

太字斜体は因子負荷量の絶対値が.60以上

第1因子では,「静かな-騒々しい」「冷静な-感情的な」「穏やかな-激しい」などの5 項目において高い負荷量を示し,苛立ちや揺さぶられを内包した心が騒ぎ乱れる雰囲気を

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