野瀬 敏行 [大日本土木 (株) カイロ営業所]/ カイロ支部
2. 建設市場
建設部門は大変厳しい状況が続いている。
GDP
は2014
年から3
年連続のマイナス成長(-2.14%
、-6.52%
、-5.30%
予測)で、累計13.4%
減となった。2007
〜2013
年までは3
〜13%
程度の成長を続けて いたため、ギャップは激しい。建設就業者数は2014
年10
月以降、減少の一途を辿り、同時期に357
万人 だったのが、昨年11
月には258
万人となり、2
年間 で100
万人を減らした。直近12
カ月の累計では43
万7
千人の減で、失業率は14.5%
という高さだ。昨年
9
月には、不動産開発の大手上場企業(本社サ ンパウロ)が会社更生法の適用を申請して話題に上っ た。不動産ブーム中に銀行融資でマンションを建設 したものの、急激な市場の冷え込みで販売不振に陥 り、多額の負債を抱えて倒産に追い込まれるケース は多い。建設会社では、2014
年に846
社、2015
年 は1079
社(前年比30%
増)が同法の適用を申請し、2016
年は1300
社以上(同25%
増)とも言われている。倒産、破産宣告までいかなくとも、各社を取り巻 く環境は相当厳しい。民間工事では、製造業が設備 投資を控える中、大口ばかりか小口工事も減り、少 ない案件を巡って熾烈な価格競争が繰り広げられて いる。公共工事においては、政治汚職事件が複数の 大手ゼネコン絡みということも影響して、軒並み保 留中(
1600
件以上)。連邦政府の低所得者向け住宅支援策も遅々として進まない。
こうした中でも建設コストは上昇する。
2014
〜2016
年にかけて、1m
2あたりの基本単価はそれぞれ、1,145
レアル(前年比6.02%
増)、1,218
レアル(同6.33%
増)、
1,284
レアル(同5.74%
増、2016
年11
月)だった。建設費の
4
割前後を占める資材は上昇率が2.68%
、4.04%
、2.13%
なのに対し、5
割以上を占める労務は8.42%
、8.19%
、8.33%
。ブラジルコストのひとつで ある高い人件費が足を引っ張る。ブラジル経済研究所は他方、
2017
年の建設業は 上向きと予測。全産業のGDP
成長率予測が1%
な のに対し、建設業は1.7%
と見込む。ただ、昨年11
月までの4
期連続落ち込みや、公共工事が見込めな いこと、官民合同事業がうまく運んでも1
年半後以降、造成業者や設計事務所の業績から将来案件の増 加が期待できないことなどを考慮すれば、「回復す るとしても第
3
四半期以降」、「短中期の回復は難し い」との見方が主流だ。建設市場の景気回復はいつでも他産業の後を追 う。成長が見込まれる飲食品、医療・健康分野、テ レコミュニケーションなどが牽引役となり、まずは 内需が拡大することを期待したい。
〈参考および引用〉
CBIC
(ブラジル建設商工会議所)統計資料IBGE
(ブラジル地理統計院)統計資料『
Conjuntora Econômica
』誌2016
年12
月号Fenacon
(全国会計事務所・補佐機関連盟)ウェブサイトSinduscon-SP
(サンパウロ州土建業者組合)ウェブサイト 各国旗がなびくリオ五輪公園 2017年5月オープンに向けて工事中のジャパン・ハウス(当社施工)本邦法人 現地法人 総計 前年総計
2013年度 794,093 808,779 1,602,872 2012年度 1,182,760
2014年度 779,879 1,035,465 1,815,344 2013年度 1,602,872
2015年度 600,036 1,082,420 1,682,456 2014年度 1,815,344
2015年10月 25,920 120,543 146,463 2014年10月 267,888
2015年11月 104,646 92,815 197,461 2014年11月 121,999
2015年12月 131,568 171,905 303,473 2014年12月 167,683
2016年1月 83,472 23,305 106,777 2015年1月 76,821
2016年2月 17,567 43,239 60,806 2015年2月 112,942
2016年3月 70,672 94,683 165,355 2015年3月 259,507
2016年4月 20,710 119,497 140,207 2015年4月 109,814
2016年5月 20,675 60,546 81,221 2015年5月 152,810
2016年6月 78,378 116,870 195,248 2015年6月 71,778
2016年7月 19,704 52,337 72,041 2015年7月 49,225
2016年8月 37,076 204,510 241,586 2015年8月 169,390
2016年9月 17,848 71,777 89,625 2015年9月 149,104
2016年10月 22,629 102,496 125,125 2015年10月 146,463
2016年11月 14,813 39,158 53,971 2015年11月 197,461
2016年4月〜11月 231,833 767,191 999,024 1,046,045
本邦法人 現地法人 総計
2013年度 49.5% 50.5% 35.5%
2014年度 43.0% 57.0% 13.3%
2015年度 35.7% 64.3% ▲ 7.3%
2015年10月 ▲ 77.4% ▲ 21.3% ▲ 45.3%
2015年11月 293.7% ▲ 2.7% 61.9%
2015年12月 73.2% 87.4% 81.0%
2016年1月 498.2% ▲ 62.9% 39.0%
2016年2月 ▲ 20.3% ▲ 52.4% ▲ 46.2%
2016年3月 ▲ 46.3% ▲ 26.0% ▲ 36.3%
2016年4月 168.6% 17.0% 27.7%
2016年5月 ▲ 16.1% ▲ 52.8% ▲ 46.8%
2016年6月 63.9% 387.7% 172.0%
2016年7月 68.1% 39.6% 46.4%
2016年8月 301.0% 27.7% 42.6%
2016年9月 ▲ 72.6% ▲ 14.6% ▲ 39.9%
2016年10月 ▲ 12.7% ▲ 15.0% ▲ 14.6%
2016年11月 ▲ 85.8% ▲ 57.8% ▲ 72.7%
2016年4月〜11月 ▲ 21.9% 2.4% ▲ 4.5%
月次受注額((2015/10〜2016/11) (単位:百万円)
対前年同期比(2015/10〜2016/11) 海外受注実績
地域別 2016年度 2015年度 伸び率(%)
※受注額による 件数 受注額 構成比(%) 件数 受注額 構成比(%)
アジア
本邦法人 130 166,201 16.6% 169 208,177 19.9% -20.2%
現地法人 679 243,470 24.4% 611 297,855 28.5% -18.3%
計 809 409,671 41.0% 780 506,032 48.4% -19.0%
北アフリカ中東・
本邦法人 9 7,768 0.8% 7 4,854 0.5% 60.0%
現地法人 0 0 0.0% 0 0 0.0% 0.0%
計 9 7,768 0.8% 7 4,854 0.5% 60.0%
(サブサハラ)アフリカ
本邦法人 8 15,266 1.5% 8 7,739 0.7% 97.3%
現地法人 0 0 0.0% 0 0 0.0% 0.0%
計 8 15,266 1.5% 8 7,739 0.7% 97.3%
北米
本邦法人 12 14,742 1.5% 11 18,899 1.8% -22.0%
現地法人 122 459,962 46.0% 117 334,976 32.0% 37.3%
計 134 474,704 47.5% 128 353,875 33.8% 34.1%
中南米
本邦法人 45 11,998 1.2% 79 36,560 3.5% -67.2%
現地法人 29 6,865 0.7% 18 10,896 1.0% -37.0%
計 74 18,863 1.9% 97 47,456 4.5% -60.3%
欧州
本邦法人 2 2,322 0.2% 3 515 0.0% 350.9%
現地法人 23 3,312 0.3% 22 4,801 0.5% -31.0%
計 25 5,634 0.5% 25 5,316 0.5% 6.0%
東欧
本邦法人 0 0 0.0% 0 0 0.0% 0.0%
現地法人 52 14,606 1.5% 37 17,520 1.7% -16.6%
計 52 14,606 1.5% 37 17,520 1.7% -16.6%
大洋州その他
本邦法人 34 13,536 1.4% 21 20,013 1.9% -32.4%
現地法人 7 38,976 3.9% 11 83,240 8.0% -53.2%
計 41 52,512 5.3% 32 103,253 9.9% -49.1%
累計 本邦法人 240 231,833 23.2% 298 296,757 28.4% -21.9%
現地法人 912 767,191 76.8% 816 749,288 71.6% 2.4%
総合計 1,152 999,024 100.0% 1,114 1,046,045 100.0% -4.5%
地域別海外工事受注実績 (単位:百万円)
今回、海外支部から寄せられた2017年における各国建設 市場の見通しによると、今後もアジアを中心とした中進国お よび新興国での公共・民間による建設需要は、底堅く推移し、
特に東南アジアにおいては、旺盛なインフラ需要が継続的に 見込まれ、官民による投資の拡大も予想されるとしている。
また、英国EU離脱や米国トランプ政権発足などによる影響 は、各国の保護主義的な動きを刺激するとともに、世界経済 の悪化を招きかねない可能性もあり、今後、海外建設市場に およぼす影響を注視する必要があるとしている。
2017年の海外市場における受注は、2011度以降の傾向 が維持され、堅調に推移すると予想している。今年の会員会 社の海外活動に期待したい。 (O C A J I編集室I)
あとがき 主要会議・行事
とき ところ 主要会議・行事
12月1日 新丸ビル 第7回国際建設リーガルセミナー 12月5日 プノンペン 第8回国際建設リーガルセミナー 12月7日 ホーチミン 第9回国際建設リーガルセミナー 12月9日 ハノイ 第10回国際建設リーガルセミナー 12月12日 国交省 第3回アフリカ・インフラ協議会
12月13日 OCAJI 第4回運営部会
12月15日 OCAJI 第2回海外要員養成講座(応用編)
12月16日 OCAJI 第7回契約管理研究会
12月20日 国交省 第2回アフリカ・インフラ協議会幹事会 1月5日 グランドプリンスホテル 建設11団体主催 賀詞交換会
1月18日 OCAJI ピンセント・メーソンズ共催セミナー
1月18日 プリンスパークタワー東京 新年懇親会
1月19日 ホーガン・ロヴェルズ法律事務所 第11回国際建設リーガルセミナー
1月20日 OCAJI 第8回契約管理研究会
1月23日 OCAJI OCAJI特別セミナー
1月25日 OCAJI 海建塾(建築設備編)
1月30日 建設会館 新任在外公館派遣アタッシェなどとの意見交換会