た電圧ベクトルは位相が 5π12 遅れている。これは図3.6(d)に示したように巻線Aを基準として位相が 5π12 遅れた結果と等しいことがわかる。
3.5.1.3 S-DWの直交座標系の電圧方程式
次に式(3.23)を用いて式(3.19)に示したS-DWの電圧方程式を直交座標系に変換すると下記の式で表
すことができる。
[vαβ3] = 2 [R] [iαβ3] + 6ωeLg2
sin 2θe −cos 2θe 0
−cos 2θe −sin 2θe 0
0 0 0
[iαβ3]
+
2ls+ 3Lg0−3Lg2cos 2θe −3Lg2sin 2θe 0
−3Lg2sin 2θe 2ls+ 3Lg0+ 3Lg2cos 2θe 0
0 0 2ls
d dt[iαβ3] +√
3ωeΦ
−sinθe
cosθe
0
(3.26)
式(3.24)と同様に式(3.26)の右辺第2項で示したインダクタンスの変化を示す項の係数6に着目する。
F-DWにおける係数は式(3.8)に示した様に6である。両者の値は等しいが,巻線係数と直列数を使用す ると下記の式で示すことができる。
6×2×(0.707)2= 6 (3.27)
式(3.27)より,2つの巻線を直列に接続することでインダクタンスが2倍になり,また巻線係数の2乗
分インダクタンスが小さくなっていることがわかる。また,式(3.26)の右辺第3項で示した無効分の係 数でも同様の関係にあることがわかる。また,電機子巻線抵抗による電圧降下分は式(3.24) と同様に F-DWと比較して2倍となっている。
3.5.1.4 CWの直交座標系の電圧方程式
式(3.23)を用いて式(3.22)に示したCWの電圧方程式を直交座標系に変換すると下記の式で表すこと
ができる。
[vαβ3] = 2 [R] [iαβ3] + (−3√
3 + 6 )
ωeLg2
sin 2θe −cos 2θe 0
−cos 2θe −sin 2θe 0
0 0 0
[iαβ3]
+
2ls+ −3√23+6Lg0+ 3√32−6Lg2cos 2θe 3√ 3−6
2 Lg2sin 2θe 0
3√ 3−6
2 Lg2sin 2θe 2ls+−3√23+6Lg0+ −3√23+6Lg2cos 2θe 0
0 0 2ls
d dt[iαβ3]
+−√ 3 + 3 2 ωeΦ
−sinθe
cosθe
0
(3.28)
式(3.28)の右辺第2項で示したインダクタンスの変化を示す項の係数(
−3√ 3 + 6)
に着目する。F-DW における係数は式(3.8)に示した様に6であり,巻線係数と直列数を使用すると下記の式で示すことがで きる。
6×2×(0.259)2= (−3√
3 + 6 )
(3.29)
式(3.29)より,2つの巻線を直列に接続することでインダクタンスが2倍になり,また巻線係数の2乗 分インダクタンスが小さくなっていることがわかる。また,式(3.28)の右辺第3項で示した無効分の係 数でも同様の関係にあることがわかる。
3.5.1.5 巻線係数を用いた直交座標系の電圧方程式の一般化
以上の結果を基に巻線係数と駆動相数を使用して巻線切り替えによる直交座標系の電圧方程式の変化を 一般化したものを下記に示す。
[vαβ] = 2 [R] [iαβ] +k2wωeLg2
[ sin 2θe −cos 2θe
−cos 2θe −sin 2θe
] [iαβ] +kw2
2
[ Lg0−Lg2cos 2θe −Lg2sin 2θe
−Lg2sin 2θe Lg0+Lg2cos 2θe
] d
dt[iαβ] + 2
√m
2 ωekwΦ
[ −sinθe
cosθe
] (3.30)
ただし式(3.30)は基本波の直交座標のみを示したものであり,漏れ磁束lsは十分に小さいとみなしてい
る。また,kw:巻線係数とする。
3.5.2 回転座標系の電圧方程式
3.5.2.1 L-DWの回転座標系の電圧方程式
L-DWの回転座標系の電圧方程式は式(3.24)と式(2.44)を用いて下記の式で示すことができる。
vd1
vq1
v0
=
2R −3√3+62 ωeLq 0
3√ 3+6
2 ωeLd 2R 0
0 0 2R
√3 2id1
√3 2iq1
i0
+
√ 0
3+3 2 ωeΦ
0
(3.31)
3.5.2.2 S-DWの回転座標系の電圧方程式
S-DWの回転座標系の電圧方程式は式(3.26)と式(2.44)を用いて下記の式で示すことができる。
vd1
vq1
v0
=
2R −3ωeLq 0 3ωeLd 2R 0
0 0 2R
√3 2id1
√3 2iq1
i0
+
√ 0 3ωeΦ
0
(3.32)
3.5.2.3 CWの回転座標系の電圧方程式
CWの回転座標系の電圧方程式は式(3.28)と式(2.44)を用いて下記の式で示すことができる。
vd1
vq1
v0
=
2R −−3√23+6ωeLq 0
−3√ 3+6
2 ωeLd 2R 0
0 0 2R
√3 2id1
√3 2iq1
i0
+
0
−√ 3+3 2 ωeΦ
0
(3.33)
以上のことから,d-q座標においてインダクタンスや磁石磁束鎖交数の係数を比較することで,巻線切り 替えによりモータパラメータが変化することを確認できた。式(3.9)で示したF-DWは駆動相数がm = 6であるため,絶対変換係数 √1
3となる。一方,m = 3を用いたL-DW,S-DW,CWは絶対変換係数が
√2
3である。これにより,式(3.31),式(3.32),式(3.33)と比較して式(3.9)の各係数のが大きくなって
いることが確認できる。つまり,駆動相数により絶対変換係数が変化するため,1相あたり通電電流値が 等しい場合であっても回転座標系の電流値idq1は変化していると言える。
3.5.3 有効電力の比較
前節で算出した電圧方程式の比較では駆動相数に応じて,同一の相電流であっても回転座標系における vdq1やidq1 が変化することを明らかにした。そこで本節では同一の銅損とした場合の出力についての比 較を行う。
3.5.3.1 有効電力の算出方法
回転座標系における有効電力は電流と電圧の内積により算出できる。基本波成分のみを通電すると仮定 すると,有効電力は下記の式で表すことができる。
Pactive= [idq1]T ·[vdq1]
=[
id1 iq1
] [ vd1
vq1
]
(3.34)
3.5.3.2 F-DWの有効電力の算出
F-DWの有効電力は式(3.9)と式(3.34)を用いて下記の式で示すことができる。
PactiveF−DW = 3R(
i2d1+i2q1)
+ 9ωe(Ld−Lq)id1iq1+ 3ωeΦiq1 (3.35)
3.5.3.3 L-DWの有効電力の算出
L-DWの有効電力は式(3.31)と式(3.34)を用いて下記の式で示すことができる。
PactiveL−DW = 3R(
i2d1+i2q1) +9√
3 + 18
4 ωe(Ld−Lq)id1iq1+3√ 6 + 3√
2
4 ωeΦiq1 (3.36)
3.5.3.4 S-DWの有効電力の算出
S-DWの有効電力は式(3.32)と式(3.34)を用いて下記の式で示すことができる。
PactiveS−DW = 3R(
i2d1+i2q1) +9
2ωe(Ld−Lq)id1iq1+3√ 2
2 ωeΦiq1 (3.37)
3.5.3.5 CWの有効電力の算出
CWの有効電力は式(3.33)と式(3.34)を用いて下記の式で示すことができる。
PactiveCW = 3R(
i2d1+i2q1)
+−9√ 3 + 18
4 ωe(Ld−Lq)id1iq1+3√ 6−3√
2
4 ωeΦiq1 (3.38) 式(3.35),式(3.36),式(3.37),式(3.38)では右辺第1項目が電機子巻線における銅損,右辺第2項 目が機械出力のリラクタンストルク分,右辺第3項目が機械出力のマグネットトルク分をそれぞれ示して いる。これら4種類の式を比較すると,銅損が等しい場合であっても出力として得られるトルクが変化し
表3.2 有効電力式より算出した銅損と機械出力
Connection mode Copper loss Reluctance torque Magnet torque
(Winding factor) [p.u.] [p.u.] [p.u.]
F-DW (1.00) 1.00 1.00 1.00
L-DW (0.966) 1.00 0.933 (=0.9662) 0.966 S-DW (0.707) 1.00 0.500 (=0.7072) 0.707
CW (0.259) 1.00 0.067 (=0.2592) 0.259
ていることがわかる。簡単化のため,F-DWの係数で各トルクの係数を正規化したものを表3.2にまとめ る。同表よりマグネットトルクは巻線係数に応じて変化していることが確認できる。さらにリラクタンス トルクは巻線係数の2乗で変化していることがわかる。以上のことから,駆動する動作点に応じて銅損最 小のトルクや速度を実現する巻線接続方法の算出ができる。
以上の結果より,電圧方程式と有効電力の方程式を用いて出力トルクの変化を明らかにした。これによ り駆動する動作点に応じた銅損最小のトルクや速度を実現する巻線接続方法の算出ができる。