本章では始めに幕級数 を定義 し,前 章で述べた解析関数 は局所的には幕 級数 に展開で きるとい うTaylorの 定理 を紹介する.そこか ら解析関数の幕 級数展開の係数 の求め方 を示 し,幕級数展開 した解析関数 を形式的幕級数 に対応 させ ることで
,L(2)は
ある有理関数の幕級数の係数 と一致す るこ とを示す.3.1 幕級数
形式的でない通常の幕級数 とは,その収東先の値で定 まる複素関数であ る
.こ
れを考察するためには級数の収束の定義が必要である。そこでま ず,複素数列の収束の定義を与える.定義 3.1.1複 素数列
{αη
lη =1,2,3,̲.}(αη∈ C)と α∈Cに 対し
,hm
αη=α
れ―〉OO
とは次 が成 り立 つ こ とで あ る.
任 意 の正 数 (に 対 し,あ る Ⅳ ∈
Nが
存 在 して,Ⅳ よ り大 きい 任 意 の η∈Nに
対 してlαη―αl<cが
成 り立 つ.数 列 の収 束 に関 して,次 は基本 的で ある.
定理 3.1.2 1im αを,lim bづ が収束 す る とき次 が成 り立つ。
0→∞ 2→ ∞
1・ li理(α
づ +仇
)も収束して
lim(α
二 +b,)=(ム ‰α α
)+(lim bを )となる
.2.lim
α,ら,も収束 して脇鷺
Q仇=(ム 亀の
(虐‰りとなる
.第
3章
幕級数 と形式的幕級数3.limの ≠ 0な ら
hm(α「
1)も収束 して
肥践け 1)=q電 の
‑1となる。
証明は省略する
.詳しくは
p]を参照
.定義 3.1.3複 素数列 {Q}に 対して ,littΣ Qを Σ Qと 書き
,数列 {Q}
j=O t=0 の級数 とい う。
級数が収束するのか どうか,特 に収束することを保証す る十分条件 が重 要である。そ こで
,最
も基本的で よ く用い られ る定理3.1.4を 示 す。なお,証明は省 く。詳 しくはF]を参照.
定理
3.1.4複
素数 列{αづ}に ついて Σ 延01%│が収東 す るな らば Σ 胆Ocは
収東 す る.
上 の定理 をふ まえて,次 の定 義 をお く.
定義
3.1.5Σ
鷹。│%│が収 東 す る とき,Σ
肛0%は
絶 対収 束 す る とい う. つ ま りこの定 義 を用 いれ ば,定 理3.1.4は絶対 収 東 す る級数 は収束 す る と言 い換 える こ とがで きる。定義
3。1.6複 素数列
{αづ
}に対して
1颯 Σ
Qノ=Σ
Qメ =αo+α lz+α2Z2+.…
こ=0 ,=0
を幕級数 また は整 級数 とい う
.各 zcCに
対 して上 記 の級数 が収 東 すれ ば,これ は複 素 関数 を与 える こ ととな る.幕級数 で与 え られ る関数 は収束 しない と値 が定 ま らないので,あ る範 囲 で は幕級数 が収東 す る こ とを保 障 したい。そ こで次 の定理 を用意 す る。
定理
3.1.7幕
級数 ∫(z)=Σ
鷹0%´
において,ある正数Rに
対 しΣ 延。IQIRをが収束 す るな らば
,lzl<Rと
な る z∈Cに
対 して Σ 鷹。αノ も収束 す る. 証 明lzl<Rな
るzcCを
一 つ選 び,そ のzに対 して lzl<ρ<Rと
な るρを とる と
同鋼 げ
45
第
3章
幕級数 と形式的幕級数46
となる.そ こで,ま ずlαじρづ
│がをによらず有界であることを示す。仮定 よ
りΣ延
0 1αtl″は収東するから
,limづ→∞
lὰIR二
=0で ある。ここで
,lα二
lρj<
lα,│″
であるから
i塩
IQlρ2=0
とな り,lαをρtl(づ
=0,1,2,̲.)は
有界である。ゆえにある正数 θ が存在 し て,任 意の を∈N。 についてlααρtl<σ
が成 り立つのでΣ
I%ノ│=
づ=0
<
となる。
(上式において
│テ
│<1)し たがつてΣ縫
01Qメ│(η=0,1,2,̲)は
有 界 な単 調 増加 列 で あ るか ら,ある値 (実際sup Σ 胆。lαtZづ│)に収 束 す る。
すなわちΣ鷹
Oαづ ンは絶対収束するので
,定理
3.1.4よりΣ鷹。αノ は収東 する . □
IZI<Rで
幕級数 ∫(z)=Σ
鷹0%ノ
が収東す る とき,幕級数 は多項式 に よ く似 た良 い性質 をもつ.例
えば ∫(z)は その範囲で微分可能であ り,多 項式の ように項別 に微分す ることがで きる。つ ま り次が成 り立つ.定理 3。
1.8幕
級数 ∫(z)=Σ
延。%ンにおいて,ある正数Rに
対 しΣ鷹0%R'
が絶対収東す る とす る。この とき次が成 り立つ.
1・
IZI<8と
なる z∈Cに
対 し,A(z)=Σ
延lα´Zを 1は絶対収東す る.
2.lzl<Rに
おいて ∫(Z)は 微分可能で ∫′(z)=A(Z)で
ある.証明は長くなるので割愛する
.詳しくは
p]を参照
.< 一
Z 一 μ^
〆 レ 隔 げ レ 臨 ド
η D
T ン
プ ン
ち
第
3章
幕級数 と形式的幕級数3:2 ■ vlorの 定理
実 は解析関数 は全て;局 所的 には幕級数で表す ことが出来 るとい う著 し い定理がある。証 明には複素関数 の積分等 も用い られ,高度 な内容 となる ので ここで は述べない。ここではむ しろ次の ■
vlorの
定理 を活用す る立場 を とる。証明には例 えばP]を参照.
定理 3。
2.1(Tay10rの
定理)z=0を
含む領域上で定義 された解析関数∫(z)に対 して,ある正数
Rと
αを∈Cが
存在 し次が成 り立つ.1・ Σ延。%Rづ が絶対収東する.
2.lzl<Rの
範囲で ∫(z)=Σ
延。αノ となる.系 3。
2.2z=α
を含む領域で定義された解析関数 ∫(z)はZ=α
で無限回 微分可能である.証明
∫(z)の導関数が
z=α
を含む領域で解析関数であることを示せば よい.θ
(Z)=ノ
(Z+α)と おくと,ク(Z)はZ=0の
まわ りで定義された解析関数 である.よ って定理3.2.1よ り,局所的にはg(z)=Σ
延OαづZ'(αi∈C)と
表 すことができ,さ らに正数Rが
存在 して Σ鷹。%″
は絶対収東する。よっ て定理3.1.8よ りlzl<Rで
θ(Z)は解析関数かつg′(Z)も また,lzl<Rの
領域で絶対収東する幕級数で表 される
.ゆ
えに定理3.1.8よ りz=0を
含 む領域で θ′(z)も解析関数 となる
.以
上 を繰 り返せ ば,ク(Z)はZ=0の
ま わ りで無限回微分可能である.し たがって ∫(z)=θ(Z― α)はZ=α
を含 む領域で無限回微分可能である。□
系3.2.2よ り,ある範囲で絶対収束する幕級数は何度でも微分可能であ ることが分かった。言い換えると,複 素関数は実関数 とは異な り
,1階
微 分可能であれば無限に微分可能であるという強い性質 をもつ と言える。ところで定理3.2.1のように解析関数は幕級数で表せ るわけだが,実 際 に,その幕級数表示の係数は次のように求め られる.
定理 3。
2.3z=0を
含む領域で定義された解析関数 ∫(z)に対 し,ある正 数Rが
存在 してズ の =魯 架ノ
が成 り立つ。
47
第
3章
幕 級数 と形 式 的幕級数48
証 明
定 理3.2.1よ り,ある正 数
Rと
複 素数Qが
存 在 してlzl<Rの
範囲で
ル )=Σ
QノG・ ⇒
づ=0 が成 り立つ。この とき定理3.1.8よ り
力 )=Σ ″ノ 1=α l+2α2Z+3α 3Z2+…
J==1
∫ ′ ′
(Z)=21α
2+3×
2×α
3Z+・…
ρ o到 Q+7叫 ノ +Ψ 舛み …
となるので ∫
0(o)=づ
!αづを得 る.よ って,α
j=甲
を(3.1)式に代入すれ ばよい. □上の定理 の証明は同時 に,解析関数の幕級数表示 は一意的であることも 示 している.
∫(z)が 有理関数 の ときは定理3.2.3と別の方法でも幕級数 の係数 を求め ることがで きる
.次
の定理で,有理関数の特異部 を用 いた幕級数 の係数 の 求め方を示す.定理 3.2.4∫ (z)は
Z=0を
極 としない有理 関数 とし,lzl<Rの
範 囲で∫(Z)=Σ 延。
%ノとする また ,夕 の z=0の 特異部を用いて
∫
Zれ°
:髪+井 +… ・ +7+θ 0 00
とす る.た だ し θ(z)は
z=0を
極 と しな い有 理 関 数 とす る.こ の と き αη=ク(0)が成 り立 つ 。 証 明 (3.2)式 よ り
∫(Z)=Co+Cl z+… ・ +Q̲lzれ 1+ク
(Z)Zη第
3章
幕級数 と形式的幕級数 この2階
導関数 を とれ ばとなる。ここで,定理
∫(れ)(Z)=ク(π)(Z)Zη
+
となる。したがって
49
η g Z Z+
η Z θ ヽ
︱ ノ η η一
/
/
︲
︲
\
+
0 一
′
+