(2 × 2) DFT
4.4 適応分割
4.4.1 帯域ブロックをベースとする適応分割方式
表 4.2 帯域ブロックをベースとする最適帯域分割(適応)に おける各画像の量子化雑音改善量
G
[dB
] (M=
4,N
2=
16)以上の結果において,帯域ブロックをベースとする適応帯域分割を行うことにより,各 画像に対する量子化雑音改善量の値は,表4.1に示した値から改善されている.非定常直 流成分の分離を行うことで,ほとんどの画像においては,その値は,(8
×
8)画素のDCT に よる量子化雑音改善量結果を若干上回るものとなっているが,未だDCTによる改善量に 及ばない画像も存在する.そのような画像への対応は次節以降に述べるものとして,こ こでは,帯域分割数M=
4,帯域ブロック数N
2=
16 なる条件をもつ本適応分割により効果 的な量子化雑音改善量を得ることができる画像の代表として,図4.11に画像内容とその 自己相関特性を示す画像"Tulip"を例に挙げる.この自己相関特性は,相関特性の変化に おいて等方性という性質を有しているものの,等方性相関モデルでの完全なる近似は幾 分困難であることが分かる.このことから,本適応分割の適用が有効であることが推測 できる.なお,実験に使用した他のテスト画像の中で,前章の図3.10(c)の画像"Wether",同図(g)の画像 "Church",同図(k)の画像 "Wine" が,この分類に属する画像になる.
図 4.11 画像 "Tulip" とその自己相関特性
0.4
0.6 0.5 0.7 1 1 0 1 2 4 6 8 10
0 2 4 6 8 10
horizontal distance(pixel no.)
まず,画像"Tulip"に対して,本適応分割を適用することによって得られた帯域分割パ ターンを図4.12に示す.この結果は,図4.4に示した分割パターンとは少し異なっている ことが確認され,固定の最適帯域分割の場合に比べて,量子化雑音改善量において 0.42 [dB]の改善を得ることができる.
本適応分割を実行するにあたっては,式(4.4)のG(J(M))を最大にする最適解を探索する必 要がある.しかし,そのために要する探索回数は僅か91回であり,これによる帯域分割 処理に要するコストは,固定の最適帯域分割の場合に比して1.02倍にすぎない.また,画 像"Tulip"の場合に,本適応分割は,4分割のlinear分割に比して,上述の最適解の探索を 含めた帯域分割に要する処理コストは2.04倍になるものの,量子化及び符号化に要する 処理コストは変わらないという条件で,量子化雑音改善量Gにおいて,1.58[dB]の大きな 改善を得ることができる.また,16分割のlinear分割と比較した場合には,帯域分割に要 する処理コストは僅か1.02倍だけ増加するが,それに対して量子化及び符号化に要する 処理コストは 0.25 倍に抑えられる.このときの
G
の低減は僅か 0.33[dB]にすぎない.更に,適応帯域分割を行う場合には,画像毎に求められた固有の帯域分割パターンを 表す情報をサイド情報として受信側に伝送する必要がある.しかし,(256
×
256)画素の画像 に対して,帯域ブロックの数N
2=16,帯域分割数 M=4 の条件で求められた最適帯域分割
パターンを表すのに必要なビット数は,約0.0005[bit/pel]となり,これは無視できるほど
小さい値になる.最後に,画像"Tulip"に本適応分割を適用した場合の
SNR
対エントロピー特性を図4.13 に示す.同図には,本分割による改善効果を確認するために,前節に示した固定の最適 帯域分割を適用した場合,及び比較方式として,(8×
8)画素のDCTを適用した場合の同特図 4.13
SNR
対エントロピー(画像 "Tulip")図 4.12 帯域ブロックをベースとする適応帯域分割パターン
(画像 "Tulip",M=4,N2
=16)
π /2 π 0
π
π/2 ω
vω
hΩ 0 Ω 1
Ω 3
Ω 2
4.0 3.5
3.0 2.5
2.0 1.5
1.0 0.5
0.0 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45
adaptive optimum band partition based on band blocks fixed optimum band partition based on band blocks (8 8) DCT
entropy [bit/pel]
SNR [dB]
×
図4.13において,帯域ブロックをベースとする最適帯域分割による
SNR
特性は,固定 及び適応両分割共に,同じビットレートの(8×
8)画素の DCTのSNR
より1 〜2[dB
]程度優 れた値を示している.このとき,固定分割と適応分割における差は,前節に示した画像"Hada"の場合よりは若干大きくなっているものの,両分割方式による特性の差は未だ無 視できるほど小さく,この場合においてもまた,適応分割を行わなくとも,固定な最適 帯域分割パターンによってDCTに比べて十分な符号化性能を得ることが可能であり,本 適応分割を固定分割によって近似することができる.このとき,更なる特性の改善を行 うために,適応分割が有効であると考えられる.