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希少性・有害性廃棄物の国内レベルでの広域的な資源循環シ ステムの構築と展開

ドキュメント内 胡 浩 (ページ 134-198)

~溶融飛灰資源化を例としたシステムモデルの構築と展開~

4.1 目的と従来研究

近年、日本国内における廃棄物発生量の増加とその質的変化によって、処理 段階におけるダイオキシン対策やその後の最終処分の問題を背景とした廃棄物 処理方策の検討が多くの自治体や企業で進められている。このなかで、廃棄物 処理法 4-1)では、「一般廃棄物および産業廃棄物のうち、爆発性、毒性や感染性 その他人の健康又は生活環境にかかわる被害が生ずるおそれがある性状を有す るもの」をそれぞれ特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物として区分し、

品目によってその処理方法および管理体制等を特別に定めている。また、その 適正な移動や処理を確保するためのマニフェスト制度や、事業所ではなく事業 場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を設置する 制度など 4-12)、厳重な管理 体制が施されている。このなかで、溶融飛灰や電子機器部品等、一部のものは

金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)等の希尐性資源も含有されているため、

資源セキュリティの観点から回収してリサイクルするほうが望ましい。

このような有害性・希尐性のある廃棄物あるいは循環資源を適正に処理・処 分・資源化を実現させるために、受入側として高レベルの技術力や設備といっ たインフラが求められ、対応可能な地域が限定されている。このため、広域的 な処理・処分を行わざるを得ないケースが多い。この場合は、図 4.1 に示すよ うに排出側と受入側自治体、処理企業、長距離的な輸送を担う物流業者間の綿 密な調整を通したリスクマネジメントが必要であり、不防備で行うと、ニュー マンエラーや不注意、確認ミス等による事故や異常事態が発生してしまい、対 象物の有害性が拡散するリスクがある。しかし、関連法規制では基本的な最低 限の管理方法しか規制されておらず、安全・安心に至るまでには自主的なシス テム構築や導入等の取り組みが必要である。

このため、①排出事業者の工場で廃酸をドラム缶に移し替え中、廃酸とドラ ム缶の残留物が反応して爆発しドライバーが死亡、②運搬中に廃液が入った容 器が腐食により漏れ出し、道路上への流出、③廃溶剤のドラム缶を処理場でフ ォークリフトにより荷降ろし中に落下させ、漏れた溶剤に引火等の事故事例が 報告されている 4-3)。さらなる安全・安心な広域資源循環システムの構築が求め られている。

そこで本研究は、希尐性・有害性の両者を兼備する特別管理一般廃棄物の溶 融飛灰を代表例として取り上げ、他品目の参考ともなる希尐性・有害性廃棄物 の広域的な資源循環システムのモデルを構築することを本章の目的とする。

その背景には、焼却処理における溶融処理は、廃棄物の減量化による最終処 分場の維持・管理および延命化に寄与するとともに、資源の循環的利用を促進 するための有効な手段となる 4-46)。廃棄物処理過程のひとつである溶融処理で は、発生するスラグの再利用は多く検討がなされている 4-78)が、同時に発生す

る溶融飛灰の取り扱いに関しては、そのほとんどが埋立処理されているのが現 状である。とくに、溶融飛灰中に含まれる重金属の溶出 4-914)は、地下水の汚 染や生態系への影響が懸念され、それを防ぐためには十分に配慮の行き届いた 処理と管理が求められる。これらを鑑みた場合、重金属を含有した溶融飛灰の 埋立処理をすることは、多くのリスクを伴うことがわかると同時に、見方によ っては高い価値を有する重金属類は回収して再利用した方が、資源循環が実現 されるとともに、有害物質の適切な管理システムが構築されることになる。そ の結果として、環境負荷および環境リスクを低減させることにつながり、環境 配慮型の廃棄物処理システムが実現されることになる。

これらの背景を総合して、溶融飛灰の取り扱いについては、

・ 適切な保管と輸送

・ 溶融飛灰中の重金属類の回収

・ 適切な最終処分

が必要となる。その過程の中で、発生した溶融飛灰は受入可能な管理者が限定 的であることから、以下の要件・項目を含めた包括的な研究を行い、希尐性・

有害性廃棄物の広域化モデルとして、溶融飛灰を取り上げた広域的な資源循環 システムモデルの構築を目的とする。

① 自区域内処理の原則を見直し、発生側と受入側双方が連携できる体制の整備

② 安全かつ適切に保管・輸送の実現、およびインフラ整備や共通認識の醸成

③ 信頼ある技術基準に基づく溶融飛灰中の重金属類の回収技術の確立

④ マニフェストによる有害物質の管理とそれに関わる情報システムの構築

図4.1 有害性廃棄物の広域処理における適正管理の必要性

4.2 排出と受入側双方における溶融飛灰資源化の現状調査

4.2.1 溶融飛灰の山元還元に関する自治体向けアンケート調査

山元還元事業の推進を図るために、自治体側の山元還元の意向、溶融飛灰の 発生量、最終処分場の残存量、および処理コスト等の現状把握を目的として、

社団法人日本産業機械工業会エコスラグ利用普及センターの協力を得て、早稲 田大学環境総合研究センター溶融飛灰資源化研究会(筆者らが主体となって運 営している研究会、以下溶融飛灰資源化研究会と略す。)と(独)国立環境研究 所循環型社会・廃棄物研究センターとの共同体制で、溶融施設を保有している 自治体を対象にアンケート調査を実施した。

2007 年 12 月にアンケートを実施し、翌年 2 月に 144 施設より回答を得た。

解析対象は 2005 年度の実績値を有する廃棄物溶融施設とし、このうち、ガス化 溶融施設および灰溶融施設の計 125 施設とした。また、2005 年度末時点での廃 棄物溶融施設数は 170施設であり、その 74%を対象としたこととなる 4-15

調査の結果、溶融飛灰の年間発生量の合計は 195,000t と推計され、このうち ガス化溶融施設からは 136,000t、灰溶融施設からは 59,000tである。アンケート の解析結果を項目別に以下に示す。また、設問によって有効回答数が大きく異 なった。

(1)溶融飛灰の山元還元に関する意向

図 4.2 に示すように溶融飛灰の処理現状では、薬剤処理してから埋立あるい はセメント処理しているのが大半を占めていることがわかる。図 4.3 に溶融飛 灰の山元還元に関する意向を示す。すでに実施しているのが 1/4 程度である。

一方で考えていない自治体も 1/4 強を占めていることがわかる。2005 年の調査 結果と比べ二極端化されている。また、情報不足のため判断を回避した自治体 が増えていることがわかる。山元還元事業の推進には情報公開の必要性が示唆 された。

図 4.4 に山元還元の導入条件に関する調査結果を示す。コストを条件にして いる自治体が一番多く、技術と将来安定的な受入を条件としているのがほぼ一 緒であった。処理コストの解析については図 4.9 を参照する。

2 2 27

36 55

0 20 40 60

薬剤処理 + 山元還元 +

  合計:122件

図4.2 溶融飛灰の処理現状

質問した自治体の数:144 有効回答数:115

13 34

31 16

17 4 既に実施している 将来実施を検討している 考えていない

情報不足のため判断を回避した 条件が合えば実施したい 条件が合わず断念

7

30 1613

16 31

34 12

0%

50%

100%

既に実施している 将来実施を検討している 情報不足のため判断を回避した 考えていない

2005

(n=65)

2007年

(n=94)

*n:有効回答数

●2007年度調査結果 ●調査結果の年度間比較

図4.3 溶融飛灰の山元還元に関する意向

●山元還元の導入条件

回答内容 回答数

コストを条件とする 25 技術を条件とする 19 将来の安定的な受入 18

合計 62

●山元還元の導入条件

回答内容 回答数

コストを条件とする 25 技術を条件とする 19 将来の安定的な受入 18

合計 62

19 18

25 コストを条件 技術を条件とする 将来の安定的な受入

4

7

2 1

5

2

7 1

北海道 東北 関東

北陸 東海 近畿

中国 四国 九州・沖縄

●山元還元を実施している自治体 有効回答数:29

東海、四国地方が山元還元を実 施している自治体が多い。

図4.4 山元還元の導入条件とすでに実施している自治体

(2)最終処分場の現状に関して

図 4.5 に示しているように、十分な残存量を確保している自治体と、当面残 存量に不安はない自治体が半分以上占めていることがわかる。十分な残存量を 確保している自治体の山元還元の意向について、「条件が合えば実施したい」、

「すでに実施している」あるいは「条件が合わず断念」といった自治体が約 8

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