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一般廃棄物の国内レベルでの広域的な資源循環システムの検討

ドキュメント内 胡 浩 (ページ 91-134)

3.1 目的と従来研究

廃棄物処理・リサイクルシステムは、循環型社会のなかで極めて重要な役割 をになうことはいうまでもない。とりわけ、一般廃棄物処理システムに関して は、最終処分場の逼迫やダイオキシン対策、さらに は3R(Reduce, Reuse, Recycle) への取り組み等の観点から、そのシステム自体が多様化・複雑化している 3-1)。 1997 年のごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインの策定、廃棄 物処理法の改正、循環型社会形成推進基本計画の制定等の法体系の改正や変動

3-29)をきっかけに、一般廃棄物処理システムの見直しが行われている 3-1021)。 こうしたなかにあって、環境性・経済性の観点から Best Available System (BAS) を 提 案 し て い く こ と が 循 環 型 社 会 の 構 築 を 目 指 し て い く な か で 肝 要 と な る 。 LCA や LCC によって、自治体等が廃棄物処理・リサイクルシステムの改善・

高度化を検討する際に、定量的な評価指標をもって科学的な論拠を提示するこ とが可能である。

従来研究 3-1021)では、北海道大学の松藤敏彦氏、羽原浩史氏らが CO2等の排 ガス、エネルギー消費量とコストの観点から一般廃棄物広域化を対象として評 価手法の開発と検証、東京都立大学の荒川康裕氏ら、埋立処分量といった特定 指標の観点からのアプローチ、また京都大学の佐々木努氏、松岡譲氏らが広域 化する際、交通量の変化を広域化規模の関数として環境負荷(CO2、NOx、SOx) と費用を表現するモデルの開発を行っている。また、各自治体においては自区 域または近隣地域間を対象に限定的な条件をもとに広域化の検討を行っている ケースが多い 3-712)。エネルギー枯渇、地球温暖化や埋立処分量といった卖一 指標では、対処できないトレードオフが存在する場合の検討として、統合化手 法の導入・検討が有効であり、且つ、汎用性の高い評価手法や研究方法の確立 とその検証に関する研究が欠けているといえる。

そこで、本研究は第 2 章で統合化指標 ELPを導入して、LCA・LCC 的な手法 を用いて一般廃棄物処理システムを対象に BAS 評価ソフトの開発を行った。本 章では、第 2章で開発した BAS 評価ソフトを用いて、日本国内における一般廃 棄物の広域的な資源循環システムを検討するとともに、BAS 評価ソフトの有効 性の検証を行うことを目的とする。

具体的には、千葉県と三重県を対象にその現状システムの評価とケーススタ ディを通して最適化モデルの検討を行う。一般廃棄物処理システムの BAS を検 討するにあたって、その都市規模・地域特性を考慮する必要がある。そこで、

千葉県市川市とその近隣の船橋市、松戸市をモデルとした焼却・溶融とバイオ マスの有効利用等のベストミックスや広域化等のコスト縮減方策の可能性を検 討することとした。これらに、BAS 評価ソフトを用いたケーススタディを実践 し、コスト縮減方策の実効性評価と 3R・エネルギー回収・適正処理による環境 負荷削減効果の検証を行った。

また、埋立地の逼迫により焼却灰の溶融処理といった方策が今後普及してい くと考えられるが、これらの技術は処理コストが埋立と比較し大きく増加して

しまうことがわかっている。そこで、できる限り処理コストを縮減させてこれ らの技術を導入するには、複数の市町村が大規模な一つの処理施設を共有する といったスケールメリットを狙った広域連携システムが必要となる。その先進 的な事例として、三重県環境保全事業団による三重県内の市町村の広域灰溶融 処理が挙げられる。そこで本研究は、この三重県における広域灰溶融の先進的 な事例について BAS 評価手法を適用し、その有効性を検証することとした。

3.2 市川市と近隣2市をモデルとした一般廃棄物処理システムにおける BAS 評価 3.2.1 市川・船橋・松戸市の現状処理システムの評価

(1)3市の一般廃棄物処理の現状

a. 3 市の位置関係と人口・面積・ごみ排出量 3-22)

まず、市川・船橋・松戸市の地域性を見るため、各市の位置関係を図 3.1 に、

人口・面積・ごみ排出量を表 3.1 に示す。これら 3 市は千葉県西部に位置し、

東京都心の近隣に位置していることから、千葉県の中でも人口は千葉市に次い で多くなっている。そのため、3市の人口数は千葉県全 56市町の内の 24.7%を 占め、ごみ排出量も 23.4%を占めている。

また、3 市を比較すると人口密度は都心に近い市川市が最も高く、家庭系ご みの一日一人当たりの排出量も多くなっている。しかし、事業系ごみについて は船橋市が最も多くなっており、一般廃棄全体での一人当たりの排出量は船橋 市が最も多いことがわかる。松戸市については、人口や面積は市川市と同程度 であるが、一日一人当たりの排出量が 1 割程度尐なくなっている。

図3.1 千葉県 3 市と保有施設の位置関係

表3.1 千葉県 3 市の人口・面積・ごみ排出量

項目 市川市 船橋市 松戸市

人口 人 454,434 566,843 468,523

面積 km2 57.44 85.69 61.33

人口密度 人/km2 7,911 6,615 7,639 一般ごみ総排出量 t/y 166,891 222,050 152,709

家庭系 t/y 123,930 148,313 108,574 事業系 t/y 42,961 73,737 44,135 一日一人当たりの排出量 g/人・d 1,006(747) 1,073(717) 893(635)

※()内数値は家庭系ごみの排出量 b. 3 市の分別状況

次に、3 市の分別状況について表 3.2に示す。これより、市川市と松戸市は資 源回収に積極的な分別区分を行っていることがわかる。一方で船橋市はプラス チック製容器包装ごみの分別を行っていない。そのため、焼却処理率(直接焼 却量とその他の中間処理施設からの残渣の焼却量の焼却総量)を見ると、市川 市と松戸市はそれぞれ 81.7%、84.3%であるのに対し、船橋市は 94.0%と高くな っている。

表3.2 千葉県 3 市の分別区分

分別区分 市川市 船橋市 松戸市

可燃ごみ ○(週 3 回) ○(週 3 回) ○(週 3 回)

不燃ごみ ○(週 1 回) ○(月 1 回) ○(月 1 回)

資源ごみ 紙類 ○(週 1 回) ○(週1回) ○(週 1 回)

缶類 ○(週 1 回) ○(週 1 回) ○(週 1 回)

ビン類 ○(週 1 回) ○(週 1 回) ○(週 1 回)

PET ボトル ○(週 1 回) △(随時) △(随時)

プラスチック ○(週 1 回) × ○(週 1 回)

布類 ○(週 1 回) ○(週1回) ○(週 1 回)

有害ごみ ○(週 1 回) ×(不燃に含む) ○(週 1 回)

粗大ゴミ ○(随時) ○(随時) ○(随時)

○:分別を行っている △:拠点回収を行っている ×:分別を行っていない ()内は収集頻度 c. 3 市の保有処理施設

3市の保有する処理施設を表 3.3 に示す。

市川市は焼却発電と破砕処理の合同施設を市内に 1 施設のみ保有しており、

缶・ビンの資源ごみはストックヤードを設けて選別・保管を行っており、プラ 容器包装と PET ボトルは民間へ処理委託している。

船橋市は焼却発電施設を市内に 2 施設保有しており、各施設に焼却残渣の資 源化施設を有している。北部清掃工場は流動床式であるため、焼却されない残

渣の一部を選別し骨材化させるといった資源化施設である。单部清掃工場はス トーカ式であり、排出される焼却灰を焼結固化方式で骨材化させるといった資 源化施設である。しかしながら、両資源化施設ともに処理能力に制限があり、

全量を資源化させることができないため、市外の焼却灰を処理委託していると いった状況である。また、その処理委託も埋立処分のみならず、市外の灰溶融 やセメント化へ委託している。リサイクルセンターでは缶・ビン・PET ボトル を選別・圧縮梱包を行っている。

松戸市は、焼却施設を 2 施設保有しているが、1 施設のみが発電を行ってい る。リサイクルセンターでは船橋市同様、缶・ビン・PET の選別・圧縮梱包を 行っており、プラ容器包装は破砕選別施設で選別・保管されている。また、最 終処分上の残余年数が短いため、市内のごみや処理残渣の尐量はエコセメント 処理、その他ほとんどは市外へ埋立処分委託されている。

表3.3 市川・船橋・松戸市の保有する施設

市名 施設の種類 施設名 処理規模

市川市 焼却発電 市川クリーンセンター 600t/d

破砕選別 75t/d

船橋市 焼却発電 船橋市北部清掃工場 435t/d

焼却残渣資源化 22t/d

焼却発電 船橋市南部清掃工場 375t/d

焼却灰資源化 25t/d

破砕選別 船橋市破砕選別処理施設 92t/d リサイクルセンター 船橋市リサイクルセンター 105t/d 松戸市 単純焼却 松戸市クリーンセンター 200t/d 焼却発電 松戸市和名ヶ谷クリーンセンター 300t/d 破砕選別 松戸市日暮クリーンセンター 80t/d リサイクルセンター 松戸市資源リサイクルセンター 42.75t/d

最終処分場 松戸市日暮最終処分場 -

(2)評価条件

3 市の一般廃棄物処理システム全体の評価を行うに当たって、まず各市の処 理フローの把握と評価範囲を定める必要がある 。図 3.2~4 に各市の処理フロー と評価範囲を示す。評価範囲は、収集回収工程から、中間処理工程、最終処理 工程までとする。また、各工程の評価において用いるデータは特に断りがない 限り、各市からの提供データによるものである。

燃やすごみ

燃えないごみ 大型ごみ

有害ごみ

資源ごみ

(缶・ビン・紙パック)

焼却発電施設 市川市CC

破砕処理施設 市川市CC

最終処分

資源回収・利用

可燃残渣

不燃残渣 焼却灰

可燃系 不燃系

鉄・アルミ等

ストックヤード

収集区分 収集回収 中間処理 最終処理・資源回収

評 価 範 囲

・焼却灰

・不燃残渣

●破砕処理施設より 鉄、アルミ、木材チップ

●資源回収より ビン、缶、紙、PET、

布、プラ容器包装 資源ごみ

(紙類・PET・

プラ容器包装)

図3.2 千葉県市川市のごみ処理フロー

可燃ごみ

粗大ごみ 不燃ごみ

資源ごみ

(缶・ビン)

焼却発電施設

船橋市南部清掃工場

破砕処理施設

船橋市破砕選別処理施設

最終処分・溶融処理

資源回収・利用

可燃残渣

不燃残渣 焼却灰

鉄・廃プラ等

資源化施設 船橋市RC

収集区分 収集回収 中間処理 最終処理・資源回収

評 価 範 囲

・焼却灰

・不燃残渣

●焼却施設より エコセメント用焼却灰

●灰資源化・リサイクル プラントより

骨材

●破砕処理施設より 鉄、廃プラ等

●資源回収より ビン、缶、紙、PET、布 有価物回収

(紙類・古着)

PETボトル

焼却発電施設

船橋市北部清掃工場焼却灰 リサイクル

プラント 灰資源化

施設

図3.3 千葉県船橋市のごみ処理フロー

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