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⑴ 瑕疵の内容

沖縄防衛局の施工計画によると、埋立土砂の調達・運搬のために非常に多 数の船舶が沖縄島東海岸から施工区域へ出入りするとされていることから、

これによるジュゴンの生息域への影響回避・低減のための措置に係る検討が 必要になる。

この点、沖縄防衛局は、GPS等の利用、目視観察やジュゴン監視・警戒シ ステムを利用しながら、できる限りジュゴンを回避するような航路を確保す る旨回答するものの、沖縄防衛局長が挙げる方法によって、ジュゴンの接近 等が確認できるかどうか、その実効性は何ら担保されていない。

本件事業では、杭打ちなどの水中音の発する工事によるジュゴンへの影響 も懸念されるところ、沖縄防衛局は、ジュゴンの接近が確認された場合は、

工事を一時中断し、ジュゴンが施工区域から離れたことが確認された場合は、

打撃力を徐々に上げるような方法で工事を再開する等と回答する。しかしな がら、ジュゴンの接近確認方法の実効性や工事再開のためにジュゴンが施工 区域から離れたとする判断基準や確認方法等、具体的な対策については何ら 明らかにされていない。

さらに、事業計画によれば、陸上から石材をクローラクレーンで石材を投 入する基礎捨石投入工事が予定されているところ、石材が海底に着底すると きに水中で打撃音が生じることから、この点についても適切な予測評価が必 要になる。沖縄防衛局は、当初、本工事による影響はほとんどないため予測

の対象外と評価していたものの、環境生活部長から再度の確認がなされると、

石材をできる限り低い位置で投入する、着底時の音は小さいと考えられる等 と回答した。しかしながら、当該回答は、沖縄防衛局の希望的観測を述べた にすぎず、ジュゴンの生息環境にどのような影響があり得るのかについて何 ら明らかにされていない。

⑵ 原告の主張に対する反論 ア 船舶の航行

〔原告の主張〕

沖 縄防衛 局 によ る 生息 状況 調査 では ほ とん ど が沖合 5 ㎞程度 までに 位 置し、最も遠い個体も距離は約10㎞だった。オーストラリアの調査研究 では、沿岸から最も離れた距離が12.8㎞±1.3㎞と報告されていた。

よって沖合10㎞以上離れて航行するとしたのは合理的である(訴状11 4~115頁)。

〔反論〕

沖縄防衛局の調査でも、確認された時間帯以外のジュゴンの居場所が不 明で生息域が明らかになってなく、また確認できた個体の異同を元にして いるのみであって、地域個体群の行動範囲への影響は明らかになっていな い。また、オーストラリアでの行動追跡結果があるとしても、地域個体群 の類似性や餌場の状況、人間活動の状況などの比較検討がなされない限り、

それをそのまま適用することは合理的とはいえない。また、オーストラリ アの事例を参考にしつつも、それよりも回避を緩くする根拠も明らかとは いえない。

イ ジュゴン監視・警戒システムの実効性

〔原告の主張〕

ジュゴン監視・警戒システムは専門家の提言を受けて導入し、タイ国で の検証試験でも一定の成果を出しており、科学的に実効性がある(訴状1

15~116頁)。

〔反論〕

訴状で述べられているジュゴン監視・警戒システムは、承認申請時の環 境保全図書(6-16-279~282)では、システムの概要の極めて大ざっぱな説 明にとどまっており、一定の効果を確認したとの主張は、出願時のもので はない。また、タイ国での検証結果についても、地域個体群の特性の類似 性 を 検討す ること な く本 件に おい て も実 効性 が 望める と いう こ とまで で きない。

ウ 水中音を発する工事

〔原告の主張〕

水中音を発する工事について、ジュゴンの接近確認やジュゴンが離れた ことの確認方法などの具体的対策は、ジュゴン監視用プラットフォーム等 により行うとして明らかにしている(原告第2準備書面31頁)。

〔反論〕

そもそも、このジュゴン監視用プラットフォーム自体の記載が、単にこ れを設置すると記載し、せいぜいそこにソナーなどの機器を搭載するとい うに止まっていて何ら具体的な確認方法や基準、技術的な実効性などにつ いてまったく記述がなされていないのであり、これを具体的に明らかにし ているとは到底言えない(環境保全図書6-16-280~281)。3次回答におい ても、それをより詳細に具体化する説明はなされていない。

エ 陸上からの基礎捨石投入

〔原告の主張〕

陸上からの基礎捨石投入は、できるだけ低い位置まで移動させて投入し て配慮すること、水深が浅い部分に投下することから、杭打ち等に比べて 発生音は小さいと考えられ、影響についてあえて予測する必要は無い(原 告第2準備書面31~32頁)。

〔反論〕

原告の主張は、杭打ち音等より低い、という感覚的な判断を根拠に影響 がないというものであり、科学的にジュゴンに対する影響がどれほどある のかを検討したものにはまったくなってなく、影響は不明である。

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