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⑴ 瑕疵の内容

ア 環境生活部長意見は、沖縄防衛局に対し、サンゴ類の移植技術は確立さ れたものではないため、予測の不確実性の程度が大きいことから、例えば、

改変区域のサンゴ類を一度に移植してうまくいかなかった場合、その時点 で埋立工事は進行しているため、再度の移植は困難となることが考えられ るが、その点まで考慮されているのか不明である、との指摘をした。しか しながら、沖縄防衛局は、「移植の具体的な方法、事後調査の方法につい ては、専門家の指導・助言を得て検討を行うこととしていますが、いずれ にせよ適切に対応することとします。」とするのみで、環境生活部長意見 が指摘する懸念には答えていない。沖縄防衛局は、移植技術が確立してい ないことのリスクについて全く検討していない。

イ 消失するサンゴ類の移植先として2箇所が示されている(環境保全図書

6-14-164)が、いずれの移植先もすでにハマサンゴ科のサンゴ群生があり、

それらに影響を与える恐れがあるところ、沖縄防衛局は、事前に踏査して 影響等を検討して具体的な場所を決定するというのみである。これでは調 査内容と各調査項目の結果を移植にどう利用するのか明らかでなく、具体 的な保全措置が検討されたと言えない。

ウ さらに、環境生活部長意見は、事後調査について、移植サンゴの生息状 況の調査として、調査時期・期間を「移植後概ね3ヶ月毎」として設定し ているが、移植から調査開始までの期間を概ね3ヶ月とすることの妥当性 が示されていないことから、移植後の生育が不良であった場合の原因(環 境条件が適合していないのか、物理的な外因等による影響なのか等)を特 定することが困難となることや、必要な対策を講じることができなくなる ことが懸念される、との指摘をした。

しかしながら、沖縄防衛局は、「サンゴ類に係る事後調査のうち、移植 後の生息状況調査については、環境調査で通常行われている季節ごとに1 回程度(年4回程度)の調査で把握することとし、「移植後概ね3ヶ月ご と」と記載しています。いずれにせよ、これらの調査方法及び調査時期・

期間については、ご指摘の点も含め、専門家等の指導・助言を得て今後決 定することとします。」と回答するのみである。

季節ごとに1回程度(年4回程度)の調査とは、通常、動植物の調査を 行う際の調査時期(4季)である。環境生活部長意見は、サンゴについて は、移植技術が確立していないということであれば、移植直後には、もっ と密に頻繁に調査することが必要であるとの懸念を示すものである。環境 保全図書(6-14-163頁)に引用されている沖縄県のサンゴ移植マニュアル においても、サンゴ移植後の観察期間と頻度は、1-2週間後、1-2ヶ月後、

半年後等と示されているにも関わらず、沖縄防衛局は、「移植後概ね3ヶ 月ごと」と回答するのみで、環境生活部長の懸念に答えられていないばか りか、真摯に検討する姿勢すらみられない。

⑵ 原告の主張に対する反論 ア 移植の方法や内容の検討

〔原告の主張〕

サンゴ類を可能な限り移植することが一般的な手法であり、有識者研究

会 の 結果を 踏まえ て 現時 点で 採り う る最 善の 措 置と考 え られ る 具体的 な 移植方法を提案した。移植技術が確立してなく完全な措置には至らないが、

適切な場所を選定して移植をする旨環境保全図書に記述しているとおり、

移植技術が確立していないことのリスクを念頭においている(訴状103

~104頁)。

〔反論〕

サンゴの移植方法については、移植先が豊原地先、大浦湾口と大きな範 囲で示されているのみで、それ以外に至っては一般的事項の記載しかなく

(環境保全図書6-14-163~164)、どのサンゴをどの場所にどの時期にどの 程度移植するかが示されてはじめて具体的といえるが、記載されている移 植方法は具体性に欠けている。

環境保全図書においては、「サンゴ類の移植は、技術がまだ十分に確立、

評価されたものではありません」と記載しながら、「最も適切と考えられ る手法による移植を行います」と記載するのみで、その「具体的」な手法 を詳細に検討していないこと自体が、「リスクについてまったく検討して いない」ということである。移植のリスクを十分に認識しているのであれ ば、現在のサンゴの移植技術についてより詳細に検討し、移植先について もより詳細な検討を行った上で、リスクをどのように回避して移植を行う のかを示すべきである。

有識者研究会の結果(甲A58の22~23頁)も何ら具体的な措置を 明らかにしたものではない。

イ 移植先の具体的な検討

〔原告の主張〕

海域の生物は陸域の生物に比べて調査が困難であり、サンゴの群体ごと 個別に適切に移植先を探すという作業は、実際に移植を行う際に行うので あって、海域の環境が変化しやすいことに照らしても、実際に移植を行う

際に専門家の助言を受けながら詳細な調査・検討をするのが合理的である

(訴状104頁)。

〔反論〕

海域の環境が変化しやすいとしても、環境保全措置の検討に当たって留 意すべきことは、環境保全措置が実行可能な範囲で適切かつ客観的に行わ れているかどうかについて十分な検証が必要であることから、事前に移動 先や移動する種等を示した上で移植前に調査を行い、変化に応じた対応を 取るべきである。

この点、注目すべきは、サンゴの移植に係る環境保全措置について、那 覇 空 港滑走 路増設 事 業の 公有 水面 埋 立承 認願 書 におい て 記載 さ れた内 容 との比較である。

那覇空港滑走路増設事業の公有水面埋立承認願において、沖縄総合事務 局は、サンゴ類の移植にあたっては、環境監視委員会(仮称)において指 導・助言を得たうえで実施するとしつつも、「事業者の実行可能な範囲で 無性生殖移植法により海域改変区域周辺に移植することとし、補完的に有 性生殖による移植を検討、実施することとする。」との方針を示した上で、

各移植法による移植計画の検討結果を示している。また、移植対象とする サンゴ類の選定基準、海域改変区域周辺における移植先の候補地点の特徴 を踏まえた上での移植先の選定、サンゴの種別毎の各種移植手法の具体的 な検討等についても、その内容を具体的に提示している(乙E4)。

こ の ような 那覇 空 港滑走路 増設事業 の 公有 水面埋 立 願書の記 載と本 件 願書の記載を具体的に比較すると、本件において国が示した環境保全措置 の内容はいかに空疎なものであったか、また本来記載できるはずの内容す ら記載されていないか、現知事の指摘が決して無理を強いるものではない こと、ということが明らかとなる。

原告は第2準備書面49頁において、両事業における環境保全措置の内

容に大きな差はないというが、両者の環境保全図書の記載から移植につい ての検討状況の程度は明らかに異なっている。また、原告が甲A62の5 を示して「より手厚い代償措置」と述べるが、これは事後の環境監視委員 会での検討に過ぎず、承認時の瑕疵の問題とは異なる。

ウ 事後調査

〔原告の主張〕

事 後調査 期間は 季 節に 変化 が生 じ るお おむ ね 3か月 ご とが 合 理的で あ る上、当該調査に係る頻度、方法、管理を有識者の指導・助言を踏まえて 行うのであるから(環境保全図書6-14-163~164)、科学的に担保されてい る。移植直後は短期間に経過観察をおこなうことを否定しているものでは ない(甲A56の14頁)(訴状105頁)。

〔反論〕

調査頻度を「概ね3ヶ月」とし、今後有識者の指導・助言を得ることは、

科学的な検討がなされていないと言わざるを得ない。

季節ごとに1回程度の調査とは、通常、動植物の調査を行う際の調査時 期(4季)である。環境生活部長意見は、サンゴについては、移植技術が 確立していないということであれば、移植直後には、もっと密に頻繁に調 査 す る こ と が 必 要 で あ る と の 懸 念 を 示 す も の で あ る 。 環 境 保 全 図 書

(6-14-163)に引用されている沖縄県のサンゴ移植マニュアルにおいても、

サンゴ移植後の観察期間と頻度は、1-2週間後、1-2ヶ月後、半年後等と示 されているにも関わらず、沖縄防衛局は、「移植後概ね3ヶ月ごと」と回 答するのみで、環境生活部長の懸念に答えられていないばかりか、真摯に 検討した形跡すらみられない。

サンゴの移植においては、移植直後に死滅することが多く、また、サン ゴの成長の仕方は曲線状になり、海域の環境状況(水温等)によって変化 するものである。そのようなことを考慮して移植の事後調査期間は、移植

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