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第四章 対応方法

1. 展示会の対応

展示会での模倣品対策について、事前の予防と実際に発見した場合に権利者が採れる対処方 法について見ていきます。

【展示会参加時の注意点】

展示会は出展者が開発した新商品や売れ筋商品、ブランド商品等が一堂 に集まる場であり、知的財産権侵害の端緒になりやすい場となります。

現在では多尐の改善は見られているのですが、それでも見本市に出展す る場合には以下のことに気をつけてください。

商品カタログはむやみに配布しない

特に価格があるものは放置せず、会期終了後の余部は持ち帰るようにする。商談する気も なく、商品カタログだけを要求する来場者には、まず名刺交換を行い、後日日本に戻り次 第、調査したうえで商品カタログの送付を検討する。

写真撮影に注意

中国の見本市では日本に比べ写真撮影が一般的に行われており、かなり接近した場所での 撮影者も見かける。ブースや出展商品にカメラを向けるような来場者に対しては、声をか け、カメラの前に立ちはだかるくらいの強い姿勢で臨むようにする。ブース入口に、撮影 禁止のサインを掲げることも検討する。

スタッフの事前教育

中国の見本市では情報収集のために展示会に来ている者もいるため、技術などに関する情 報は見本市などで口外しないように事前に教育をする。また、見本市では、知的財産権の 盗用がされる可能性を十分に教育し、スタッフの注意を呼びかける必要がある。

<見本市会場内での注意点>

展示会において自ら知的財産権を盗まれてしまうことを防止するため に、出展時に注意すべきことはありますか?

【模倣品を発見したら】

展示会においては、主に以下のような3つの対策方法があります。その場 で摘発をして模倣品の海外拡散を防ぐのも重要ですが、これを手がかり にして後日アクションを採るのもひとつの方法です。

展示会で実際に模倣品の出展を発見した場合の対策方法について教えて ください。

1) 現場摘発

展示会で模倣品を見つけた場合、展示会クレーム受付センターや行政機関に 申し立てて即時展示を取り下げさせる。

2) 後日追跡

展示会期間中は模倣品の展示を見つけてもアクションを起こさないで、その 情報を手がかりに後日工場等の追跡調査を行い、摘発する。

3) 証拠保全

模倣品展示の事実を公証人を連れて公証書に書きとめ、後日警告状や訴訟提 起の際の証拠とする。

開催期間が3日以上の見本市、展示販売会、博覧会に設置するように求め られていますが、徹底されていないため、設置する展示会のほうが限ら れているようです。これは2006年に制定及び施行された「展示会知識産 権保護弁法」の規定するところで、開催期間が3日以上の場合または見本 市管理部門が必要と認めた場合は、見本市主催者は「知的財産権苦情受 付機関(知的財産権クレーム受付センター)」を期間中に設置し、関係 する知的財産権行政部門を派遣しなければいけないとしています。

「展示会知識産権保護弁法」について

中国政府は展示会における知的財産権保護の強化をめざし、開催期間3日以上の各種経済技術貿 易の見本市、展示販売会、博覧会、交易会等を対象に同弁法を制定しました。その保護対象は、

特許権、商標権、著作権となっています。

<展示会における模倣品対策>

現場摘発の中で「展示会クレーム受付センター」とあるのですが、これ はすべての展示会に設置されているのでしょうか?

【展示会で模倣品の展示を取り下げるには】

これは通常の行政取締りとほぼ同じであり、下記資料の提出が必要とさ れています。

「展示会知識産権保護弁法」第 8 条により、権利者は展示会の知的財産 権クレームセンターまたは知的財産権行政管理部門に直接苦情を申立て ることができるとされています。クレームセンターがない場合は、展示 会開催地の知的財産権管理部門に申立てることができます。

展示会場にクレームセンター あり

展示会場にクレームセンター なし

展示会場で 申立てる

展示会開催地の 知的財産権行政管理部門

に申立てる 展示会場にクレーム受付センターがない場合はどうすれば良いのでしょ うか?

展示会で現場摘発を行う際に必要な資料について教えてください。

<申立て時の必要書類>

(一)合法かつ有効な知的財産権の権利帰属証明 商標権の場合→商標登録証、商標権者の身分証明

特許権の場合→特許証書、特許公告文書、特許権者の身分証明、

特許法律状態の証明

著作権の場合→著作権の権利証明、著作権者の身分証明 (二)権利侵害が疑われる当事者の基本情報

(三)権利侵害が疑われる理由と証拠

(四)代理人による申し立ての場合は権利者からの委任状

<商標の場合>

権利者からの申立てに対し、「展示会知識産権保護弁法」第 19 条におい て、工商部門に現場摘発の権限を与えているのが特徴的です。工商行政 管理局は「商標法」第五十二条の規定に基づき、その職権により商標法 違反の出展者を取り締まることができるとされています。

侵害が成立した後、工商行政管理局は「商標法」および「商標法実施条 例」などの関連規定に基づき、出展者に侵害の停止、侵害品の破棄、そ して罰金を科すことができます。しかし、現実的には侵害品の撤去のみ を命じ、立件せずにこれを処理するケースも多いようです。理由の一つ として、主催者側から行政機関に「評判に響くため、出来るだけ波風を 立てないで処理してほしい」というような要望があるとのことです。

実際に展示会で商標権の侵害疑義品があった場合は、どのように処理さ れるのでしょうか?

商標権侵害が成立した後は、どのような処理になるのでしょうか?

第十九条 展示会の苦情受付機関が地方の工商行政管理部門の協力を必要とする場 合、地方の工商行政管理部門は積極的に協力し、展示会の知的財産権保護 作業に参加しなければならない。地方の工商行政管理部門は展示会機関に おいて次に掲げる業務を行うことができる。

(一) 展示会苦情受付機関の引き渡した商標権侵害の疑いがある苦情を受け取 り、商標に係る法律・法規の関係規定に基づき処理する。

(二) 『商標法』第五十二条の規定に該当する商標専用権侵害の苦情を受理する

(三) 職権に基づき商標違法事件を取り締まる

権利を侵害している展示品の撤収 権利を侵害する製品と宣伝資料の廃棄 侵害者への罰金

<特許の場合(発明、実用新案、意匠を含む)>

中国では、「特許法(専利法)」のもと、発明、実用新案及び意匠が「特 許」として保護されています。「専利法」第十一条では、それぞれ以下 のような行為が特許権の「実施」にあたるとしており、これを実施した 場合は特許権を侵害したと規定しています。なお、2009 年度の特許法改 正以前は、中国では意匠権の「実施」に「販売の申し出(注 1)」は含まれて いなかったのですが、改訂後に追加されました。

(注 1)「販売の申し出」とは、商品を販売する意思を表示することをいいます。つまり、実際の 販売の有無を問わず、販売の意思表示をしさえすれば、その時点で特許権侵害を構成しま す。特許権侵害品の広告宣伝、カタログの配布、又はショーウィンドウに展示する行為な どが該当します。インターネットが普及している今日では、侵害品の写真等をホームペー ジの商品リストに載せる行為もよく見られる「販売の申し出」の態様です。

~発明及び実用新案の場合~

(1) 物の発明及び実用新案の場合は、営業を目的とする特許製品の製 造、使用、販売、輸入、及び販売の申し出が実施にあたる。

(2) 方法の発明の場合は、営業を目的とする特許方法の使用、特許方 法により直接得られた製品の使用、販売、輸入、及び販売の申し 出が実施にあたる。

~意匠の場合~

生産経営を目的として、当該意匠にかかる物品の製造、販売、輸入、販 売の申し出が実施にあたる。

※意匠の場合、「実施」の中身は発明と実用新案より尐し狭く、使 用が含まれていません。

特許権に対する侵害疑義がある案件について、知識産権部門が権利侵害 の成立を認定した場合は、「特許法」第十一条第一項の許諾販売行為の禁 止に関する規定および「特許法」第六十条の規定に基づき、権利侵害者 の権利侵害行為を直ちに終了させることができます。そして「展示会知 識産権保護弁法」第二十五条から、知識産権部門と展示会管理部門は共 同で出展者に対して以下の処理決定を行わなければならないとされてい ます。

権利を侵害している展示品の撤収 権利を侵害する製品の宣伝資料の廃棄

権利を侵害している項目を紹介するための展示 パネルの交換を命令

展示会会場で特許権侵害が確認された場合は、どんな対応が採られるの でしょうか?

逆に展示会において特許侵害を訴えられた場合はどうすればいいのでし ょうか?

特許侵害紛争においては、権利侵害者として訴えられた者が侵害にあた らないことを証明しないといけません。その実施する技術または設計が 既存技術、或いは既存の設計に属することを証明する証拠を提示するこ とが必要です。

また、一部の権利者には展示会で発表した自社の新製品を公証すること により、後日の訴訟沙汰に備えているケースもあります。