第 2 章 小豆の基礎知識
第 2 節 小豆の需給
1. 小豆の需給概観
小豆の年間供給量(期首在庫、国産出回り、輸入量の合計)は、年ごとのバラツキが大きく、H17 豆年度(2005 年度)から H26 豆年度(2014 年度)の 10 年間では、11 万 800 トンから 13 万 3700 トンの間で推移している。
供給量の内訳は、在庫が 2 万 3200 トンから 4 万 4600 トン、国内出回り量が 4 万 9500 トンから 8 万 800 トン、
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輸入量が 1 万 9100 トンから 2 万 8300 トンとなっている。消費量は H17 豆年度(2005 年度)から H26 豆年度
(2014 年度)まで 8 万トン台で推移している。国内需要量で比較すると、小豆の市場規模は食品用大豆(国内 需要量約 94 万トン)の約 14%に相当する。
表 3 小豆需給実績(豆年度:前年 10 月~9 月、単位:トン)
豆年度 期初在庫 国産出回り 輸入量 供給計 消費量 輸出量 期末在庫 需要計 H17(2005) 23,200 80,800 21,200 125,200 84,900 0 40,300 125,200 H18(2006) 40,300 68,500 23,400 132,200 87,600 0 44,600 132,200 H19(2007) 44,600 54,800 27,900 127,300 84,100 0 43,200 127,300 H20(2008) 43,200 58,400 27,500 129,100 84,500 0 44,600 129,100 H21(2009) 44,600 62,300 22,400 129,300 85,500 0 43,800 129,300 H22(2010) 43,800 49,500 19,100 112,400 80,500 0 31,900 112,400 H23(2011) 31,900 55,800 23,100 110,800 82,000 0 28,800 110,800 H24(2012) 28,800 57,200 25,600 111,600 80,800 0 30,800 111,600 H25(2013) 30,800 64,000 27,000 121,800 83,900 0 37,900 121,800 H26(2014) 37,900 67,500 28,300 133,700 84,000 0 49,700 133,700
(出所)雑豆に関する資料、(公財)日本豆類協会
2. 生産
小豆は日本全国で生産されているが、北海道が約 82%のシェアを有している。
小豆の作付面積は、かつては全国で 40000ha、北海道で 30000ha を超えることもあったが、現在では全国で約 3 万 2000ha、北海道で約 2 万 6300ha となっている。
小豆の生産量(収穫量)は、単収の変動が大きいこともあってブレも大きく、H17 豆年度(2005 年度)から H26 豆年度(2014 年度)では、全国で約 5 万 2800 トンから 7 万 8900 トン、北海道で約 4 万 6500 トンから 7 万 2100 トンとなっている。北海道の振興局別では十勝地区が最も小豆の生産量が多く、北海道全体の 3 分の 2 のシェ アを有している。
表 4 小豆の作付面積・単収・収穫量
作付面積(ha)、単収(kg/10a) 収穫量(トン)
全国 単収 北海道 単収 全国 北海道
北海道全体 (十勝) (上川)
H17(2005) 38,300 206 28,200 247 78,900 69,600 33,000 9,380 H18(2006) 32,200 198 22,800 246 63,900 56,000 29,600 6,530 H19(2007) 32,700 201 23,800 244 65,600 58,100 32,104 6,799 H20(2008) 32,100 216 23,400 262 69,300 61,300 33,675 6,917 H21(2009) 31,700 167 23,500 198 52,800 46,500 27,331 4,744 H22(2010) 30,700 179 23,200 210 54,900 48,700 28,600 4,590 H23(2011) 30,600 196 23,800 227 60,000 54,000 33,200 3,730 H24(2012) 30,700 222 24,400 258 68,200 63,000 41,256 4,441 H25(2013) 32,300 211 26,200 243 68,000 63,700 41,515 4,569 H26(2014) 32,000 240 26,300 274 76,800 72,100 48,736 4,889
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(出所)特定作物統計調査、農林水産省、 麦類・豆類・雑穀便覧、北海道庁農政部生産振興局農産振興課 雑豆に関する資料、(公財)日本豆類協会
3. 輸入
(1)輸入制度
小豆の輸入は「関税割当制度」の下で行われている。関税割当制度とは、昭和 36 年度の貿易自由化に際し、国内 産業に対する急激な衝撃を緩和して、自由化を円滑に推進するための激変緩和措置として導入された制度であり、一 定の輸入数量の枠内に限り無税又は低税率(一時税率)を適用して国内の需要者に安価な輸入品の供給を確保 する一方、この枠を超える輸入分については高関税(二次税率)を適用することによって国内生産者の保護を図る仕 組みである。従って、低税率である一次税率の適用を受ける数量は、原則として、国内需要見込数量から国内生産見 込数量を控除した数量を基準として、国際市況その他を勘案して国が定めることとなっている。
小豆についての関税割当数量は、年 2 回、上期分(4 月~9 月)と下期分(10 月~3 月)がそれぞれ 4 月の第 一営業日と 10 月の第一営業日に発表されている。
表 5 小豆の期別関税割当数量 単位:トン
年度・期 一般枠 年度・期 一般枠 一般枠合計
H16 下期 14,700 H17 上期 6,400 21,100
H17 下期 11,000 H18 上期 12,300 23,300
H18 下期 12,900 H19 上期 15,000 27,900
H19 下期 13,400 H20 上期 14,100 27,500
H20 下期 11,400 H21 上期 11,200 22,600
H21 下期 10,200 H22 上期 9,800 20,000
H22 下期 10,800 H23 上期 12,300 23,100
H23 下期 13,200 H24 上期 12,400 25,600
H24 下期 14,400 H25 上期 12,600 27,000
H25 下期 14,400 H26 上期 13,300 27,700
(出所)雑豆に関する資料、(公財)日本豆類協会
(2)小豆の輸入量及び輸入先
小豆は、関税割当制度との関係もあり、基本的に国内生産量で不足する分が輸入されている。輸入先としては中国 が最も多い。カナダ産小豆は、もともと日本から種子が持ち込まれ、五大湖周辺のオンタリオ州で契約栽培されており、
近年ではカナダからの輸入が増加している。中国やカナダなどから日本へは、現在約 2 万 7500 トンが輸入されており、
かつては 3 万トンを超える輸入量があったものの、近年は 3 万トン以下で推移している。このように小豆の輸入量が減少 している要因としては、消費そのものの減少のほか、「加糖餡」や「冷凍豆」など主に中国から製品輸入される競合品の 存在が挙げられる。なお、「加糖餡」はデフレを背景に安い製品が求められたこと等の理由で輸入量は増加傾向にあった が、2008 年に発生した冷凍餃子事件による消費者の不安が高まったことなどを背景に大きく減少している。
85 図 2 小豆の輸入量推移
(出所)貿易統計、財務省
表 6 加糖餡、冷凍豆輸入量
単位:トン
豆年度 H18
(2006)
H19 (2007)
H20 (2008)
H21 (2009)
H22 (2010)
H23 (2011)
H24 (2012)
H25 (2013)
H26 (2014) 加糖餡輸入量(1) 93,048 92,350 81,507 67,551 72,374 76,867 74,285 73,568 71,068 冷凍豆輸入量(2) 9,056 9,405 8,243 7,833 7,654 6,376 6,711 6,834 5,806 乾豆換算
(1)÷3+(2)÷2 35,544 35,486 31,291 26,434 27,952 28,810 28,118 27,940 26,592
(出所)貿易統計 財務省(HS コード:加糖餡(2005.51-190)、冷凍豆(2004.90-212))
(3)中国の小豆生産量・輸出量
中国は世界最大の小豆生産国・輸出国である。ここ数年の作付面積は約 15 万 ha、生産量は約 25 万トン、平均 単収は 170 キロ/10a、輸出量は約 5 万トンである。過去 10 年間の推移で見ると、いずれも減少傾向にあり、ピーク 時の 2002 年と比較すると、作付面積は約 50%、生産量は約 35%、輸出量は約 40%減少している。小豆の国内 市況が低迷し、収益面で他の農産物に劣ったことが農家の小豆作付け意欲を減退させたことが理由といわれている。
中国では、日本と同様に国内各地で小豆が生産されるが、主要産地は東北、華北、西北、東部で、作付面積及び 生産量が多いのは黒龍江省、内蒙古、江蘇省、陝西省及び安徽省などである。
86 図 3 中国産小豆の作付面積、生産量、輸出量
(出所)中国雑豆研究報告、中国の雑豆需給と対外貿易、東京大学社会科学研究科
表 7 中国省別小豆生産量
2000 年 2005 年 2012 年
地域 生産量 シェア 地域 生産量 シェア 地域 生産量 シェア 1 黒龍江省 11.9 万 t 34% 黒龍江省 11.7 万 t 33% 黒龍江省 8.2 万 t 30%
2 吉林省 3.5 万 t 10% 吉林省 6.0 万 t 17% 内蒙古 4.0 万 t 15%
3 江蘇省 3.2 万 t 9% 内蒙古 4.3 万 t 12% 江蘇省 2.2 万 t 8%
4 雲南省 2.5 万 t 7% 遼寧省 2.3 万 t 7% 陝西省 1.7 万 t 6%
5 河北省 1.8 万 t 5% 江蘇省 2.1 万 t 6% 安徽省 1.3 万 t 5%
全国 34.5 万 t 100% 全国 35.3 万 t 100% 全国 27.4 万 t 100%
(出所)中国雑豆研究報告、中国の雑豆需給と対外貿易、東京大学社会科学研究科
4. 流通・消費
(1)小豆の流通
国産小豆は産地で収穫後、農協や産地問屋が買い付け、豆の選別・調整を経て農産物検査法に基づく検査を受 検する。その後、東京など消費地の消費地問屋に販売され、トラックやコンテナで出荷されて消費地の倉庫に保管され
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る。消費地問屋は製餡業者等の実需家に販売し、その製品が消費者の元に届けられる。
輸入小豆も、横浜港や神戸港で水揚げされ、通関後に輸入業者から消費地問屋に販売される。なお、小豆加工メ ーカーの場合は輸入会社から直接仕入れることも多い。また、輸入業者から問屋や加工メーカーに販売される際には必 要に応じ豆の選別・調製が行われる。(参考:(公財)日本豆類協会ホームページ)
(2)消費
小豆の消費量は減少傾向にあり、近年では約 8.4 万トンと、ピークであった平成 4 豆年度の約 12 万トンと比較する と 7 割程度の規模となっている。もっとも、製品輸入される「加糖餡」や「冷凍豆」を乾豆換算(加糖餡は 3 分の 1、冷 凍豆は 2 分の 1)した数量を加えると約 11 万トン程度を維持していると考えられる。
小豆の用途別消費は、「製餡用」が約 68.9%、「甘納豆等菓子類用」が約 12.8%、「煮豆用」が約 2.4%、「その 他」が 15.9%と推定されているが、需要の大宗を占める「製餡用」需要は製品輸入される「加糖餡」と競合している。
第 3 節 小豆の価格変動要因
図 4 小豆の価格変動要因(概念図)
期末在庫
北海道の:
・生産量=作付面積×単収
・天候
・輸入(中国、カナダ等)
関税割当数量(4月,10月)
・製餡 加糖餡
・甘納豆等菓子類
・煮豆
需要
TOCOM小豆価格 [普通小豆]
需給要因 テクニカル要因・その他
・投資家の動向
・チャート 供給
1. 天候要因
小豆は生産の大部分が北海道で行われているため、北海道の天気に注意する必要がある。北海道の気候について は、気象庁札幌管区気象台が、以下のような予報を出しており参考にすることができる。
(参考:http://www.jma-net.go.jp/sapporo/)
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予報種類 発表時期
暖候期予報 毎年 2 月 25 日 3 ヶ月予報 毎月 25 日頃 14 時 1 ヶ月予報 毎週木曜日 14 時 30 分 週間天気予報 毎日 11 時と 17 時の 2 回
小豆の生育期間は 5 月下旬から 9 月下旬までの約 4 ヶ月であるが、この間が「小豆の天候相場期」といえる。
この期間で注意すべきは「気温」と「降霜」である。夏場、特に 7 月の低温と日照不足は単収の低下につながる。降霜 については、出芽期の晩霜と成熟期の早霜に注意が必要である。出芽期の晩霜は生長点を凍死させ、秋の成熟期の 早霜は小豆の成熟を止めてしまう。下表は十勝における小豆の生育過程と降霜時期を示しているが、冷害による凶作 年であった 2003 年は、出芽期(6/7)と晩霜(6/7)が重なったこともあり、開花始(8/1)や成熟期(10/6)が、
当該年を含む 10 カ年平均や翌年以降と比較しても遅くなっている。
表 8 十勝における小豆の生育過程と降霜
()は平成 6~15 年の10ヵ年平均
H18 2006
H19 2007
H20 2008
H21 2009
H22 2010
H23 2011
H24 2012
H25 2013
H26 2014 播種期 (5/24) 5/23 5/24 5/28 5/22 5/21 5/24 5/23 5/24 5/23 出芽期 (6/8) 6/13 6/11 6/12 6/10 6/12 6/8 6/6 6/6 6/5 開花始 (7/25) 7/27 7/26 7/27 7/28 7/19 7/20 7/24 7/21 7/18 成熟期 (9/23) 9/22 9/20 9/23 9/27 8/31 9/13 9/13 9/13 9/12
降霜 晩霜 5/25 5/28 5/12 5/16 5/18 6/1 5/13 5/8 5/8
初霜 10/14 10/14 10/13 10/10 10/18 10/2 10/9 10/19 10/7
(出所)北海道立十勝農業試験場作況調査成績、気象庁帯広測候所、
雑豆に関する資料、(公財)日本豆類協会 2. 需給要因
(1) 国内生産量
小豆の国内生産量は作付面積と単収によって決まる。小豆の作付面積については、8 月末に北海道の作付面積、9 月中に全国の作付面積が農林水産省の「特定作物統計調査」において発表される。
(参考:http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokutei_sakumotu/)
小豆の単収を判断する材料としては天候及び作況(生育状況)があるが、作況(生育状況)については、北海道 農政部が「農作物の生育状況」として、5 月 15 日から 10 月 15 日までの間、月 2 回、1 日と 15 日の状況をそれぞ れ 2~3 営業日後に発表している。
(参考:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/gjf/seiiku/index.html)
なお収穫量について、以前は 9 月に予想収穫面積が発表されていたが、現在では、収穫年の翌年 2 月に農林水産 省の「特定作物統計調査」において発表される。