第2章 保育者に対するインタビュー調査
第4節 小考察
A一②「慣れ合いになってしまっている」と園庭環境についての共通理解や連携が必要だと思っていな
がらも、実際には実行されていない園もある。話し合いの場を持たずとも、保育近間の雑談の中で話し合って いるが、実際には不十分であると感じる部分もあるのであろう。
また、このインタビューの中では、E一④「大体保育者の中で、こうしたほうがいいよ ねで終わってしまう。よくしたいと思う気持ちはあるが、私は言えない。言える立場であ
ったら言う」、G一①「私が勤めてからは聞いたことがないですね。他の保育者で話し合っ ていることかもしれないですけど」、G一④「思ってもそれが発信されることはないです」
とこの両者から、言えない、自分から発信はできないという意見が聞けた。両者ともに、
現在の勤務園での経験年数が2年目ということもあり、率直な感想が聞けた。勤務年数が 短い保育者が自分の意見として、園庭環境に関して発言する機会や発言する意欲が低いこ
とが分かった。互いの意見が言い合える関係作り、場作りが、幅広い意見の収集につなが る。共通理解や連携について必要と思っていながらも、発言機会がなく、自らの思いが注 ぎ込まれない園庭環境は少し寂しい気持ちがする。どのような場の構成についても、話し 合える環境作り、場作りが必要だということが分かった。
川田ら(2009)によると「保育者の役割は、よく言われるような黒子のようなものではな く、自らも主体としての願いをもち、それを子どもたちの願いに結び付けていくという「姿 の見える」保育者である」(4)と述べている。園庭環境に対して、保育者は黒子ではなく、
しっかりとした意識や思いを発揮していける、一主体者としての働きかけが必要であると いうことを言い表している。
い場の構成をしていこうという思いを持った保育者がいることが分かった。
園庭環境をどのように構成していくのかは、一人の保育者に委ねられるものでもないし、
依存するものでもない。園長や一部の保育者の思いが反映されるだけでは園庭環境を活用 しているとは言えない。固定遊具や移動遊具の見直しはもちろん、その使用方法について も各保育者の思いによって様々である中で、幼児が遊具を使うときでも、それぞれの保育 者の思いが違うと子どもが使い分けをしなければならない場面もある。
保育者間でチームティーチングを図り、園庭に関する意識を園全体で向上させていくこ とによって、園庭環境に対する価値観や思いは見直されていく。内容は自然環境の在り方、
使用方法、園庭での遊び時のルール作り、自然物との出会い、季節を感じることなど園庭 を活用していくときには様々な要因がある。それらのことを理解していても、行事やクラ ス活動に時間を拘束され、園庭環境内で活用されていない現状があると推測する。
芝生は伸びっぱなし、雑草との見分けがっかない。固定遊具に使われている木、木製遊 具が朽ちている、林の中は木の根が蔓延っている(土が流出している)、遊具に水がたまっ ている、錆びて使えない遊具がある、砂利や石があちらこちらに落ちている。このような 場を園庭と呼ぶことはできない。松永ら(2007)は「豊かに夢を描き、人間関係を育む多様 な経験を可能にする園舎や園庭という空間が重要であると考える」(lo)と論述している。横 山(2008)は「幼児にとって身近にある幼児施設の園庭は日常的に活動できる貴重な遊び空 間のひとつである」(11)と述べている。
子どもたちが遊びの世界を広げ、心を解き放てるような園庭環境を構成していかなけれ ばならない。そのためには保育者が園庭環境について見つめなおし、保育者の思いや感性 を織り交ぜながら、共通理化を図り、連携を取りながら再構成していくことが重要である。
保育者が園庭に対する意識を向上させることにより、園庭における幼児の遊びに対する 考え方や遊びの方法などにおいても変化が出てくる。園庭環境を整備することにより、危 険因子を排除し、また意図的なねらいや目的を付け加えることで、さらに遊びの種類や幅 が増えたり、遊びの充実にもつながっていったりすると考える。園庭環境に対する使用目 的や活用方法を保育者一人一人が考えていくことこそが、園全体の園庭の有効な活用がで きる方法の向上につながっていくのである。
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保育者からの視点
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自然
花、樹木、昆
虫
運動、
体力づくり ルールのある
保育者からの視点
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安全
相互関係
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友だち関係
固定遊具
保育者からの視点
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スペL一一・一ス、広さ、
狭さ
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運動
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保育者からの視点
保育者の話し合い、会議、カンファレンス 保育者による共通理解、園庭環境の再構成
子どもの遊びの発見、発展、深まり
図2−1 インタビューからの相関図
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(注1)アナーキースペース 空間がごちゃごちゃしていて、とりとめもない状態をいう。
(注2)アジトスペース 子どもの頃の秘密の場所とか秘密の小屋とか子どもだけの場所。
引用文献
(1)松浦均・西口利文 『心理学基礎演習Vbl.3 観察法・調査的面接の進め方』 ナ 伊仙シや出版 2008年 50頁
(2)仙田 満 『子どもとあそび 一環境建築家の眼一』 岩波出版 1992 19−20頁
(3)岩田純一 「協同性に学ぶということ」 『幼児の教育』 日本幼稚園協会 第106巻