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対面型授業の改善の取り組み

ドキュメント内 サテライト校授業改善プロジェクト報告書 (ページ 41-48)

3. サテライト教室の授業改善の取り組みについて

3.2. 対面型授業の改善の取り組み

3.2.1. 釧路校・十勝サテライト教室における対面型授業改善

釧路校では,教員が十勝サテライト教室に出向いて行う対面型集中授業や,遠隔授業に おいても対面授業を1回は行うようにするなど,「対面型」の授業の在り方を重視している。

したがって,本プロジェクトにおいても対面型の授業改善に取り組み,サテライト教室 における大学院教育の向上を目指した。授業改善の対象とした授業科目は,次表に示した 遠隔授業2科目,対面型集中授業2科目とした。

科 目名 担 当者 授 業形態 実 施期間 ・実施 日

地理学特別演習 酒井多加志 遠隔授業 H20後期毎週,11/2,12/20 古典文学特別演習 石井由紀夫 遠隔授業 H20後期毎週,12/20 数学教育学特論Ⅲ 杉山佳彦 対面 型 集中授

H20後期 H21/1/10,11 2/1,21,22

美術科教育学特論Ⅳ 佐々木宰 対面 型 集中授 業

H20後期 H20/10/18,19,25,26

以下には,それぞれの授業担当者による授業改善の取り組みの状況を報告する。

3.2.2. 遠隔授業における対面型授業改善の取り組み:地理学特別演習(酒井多加志)

本年度後期開講の「地理学特別演習」に十勝サテライトより1名の受講生があった。本 授業は人文地理学の修士論文を作成する大学院生を対象に開講しているが,受講生は社会 科教育専修ではないため,受講生との相談の上,「地域の見方,調べ方,教え方」というテ ーマで授業を進めることにした。授業は以下の通り実施した。

1回目 ガイダンス 2回目 函館 3回目 小樽

4回目 帯広市市街地調査(対面授業)

5回目 江差と松前 6回目 酒田と三国

7回目 ホーチミン市(ベトナム)

8回目 釧路市の地域変化を読図する(対面授業)

9回目 ホーチミン市(ベトナム)

10回目 台北市(台湾)

11回目 ソウル市(韓国)

遠隔授業は,写真(パワーポイントを使用)と論文・地図等を用い,現地調査での体験 を交えながら実施した。対面授業では遠隔授業システムを使用しての授業が不可能あるい は困難な“市街地調査”ならびに“地域変化の読図”を行った。なお,“地域変化の読図”

は日程の関係からホーチミン市の授業を挟んで実施することになった。以下,対面授業で

行った“市街地調査”と“地域変化の読図”の概要を紹介する。

(1) 市街地調査(実施日時:11月 2日(日)午前 9時15分~午後4 時)

市街地調査は自然災害(地震や水害など)と防災という視点から実施した。すなわち,

自然災害が発生した際,危険と思われる箇所を写真で撮影し,住宅地図に記入していくと いうものである。特に受講生は養護学校の教員ということもあり,災害時要援護者(災害 弱者)の視点からの市街地調査を行った。対象地域は帯広駅北側の市街地とした。この地 域は商業・業務施設が集中するとともに周辺には一般住宅地がみられる。従って,様々な 都市的要素を含む地域である。

当日,午前中に 30 分程度,打ち合わせをした後,受講生とともに市街地を歩きながら,

危険な場所や建物,設置物などをチェックし,どのような視点から調査を行うのかについ て解説した。午後からは二手に分かれて2時間程度の調査を行った後,各々報告を行った。

老朽化した建物,歩道の段差,地震の揺れに弱いと思われる家屋,倒れやすい自動販売機,

危険な看板などが問題点としてあげられた。しかし,調査対象とした市街地は比較的危険 箇所が少なかったため,翌週の遠隔授業システムを用いた授業において,釧路市の釧路川 河口域左岸を事例に15分ほど写真を用いての補足説明を行った。

(2) 地域変化の読図(実施日時:12月20日(土)午後1 時15 分~午後 4 時15 分)

地域変化の読図は幕別のサテライト教室において実施した。読図の対象地域は釧路市中 心市街地および釧路市東部市街地である。釧路市東部市街地とは旧太平洋炭礦の炭鉱集落 として発達した地域である。明治30年,大正11年,昭和33年そして平成13年の地形図

「釧路」を用いて,市街地,道路,鉄道,主要施設,海岸,河川などの変化を読み取って いくもので,受講生の発表,教員の解説という形で進めていった。なお,地形図と関連論 文は事前に受講生に郵送し,講義時までに目を通しておくよう指示を出した。地域変化の 読図は遠隔授業システムを使用してもある程度は可能であるが,画像を通じての地形図の 詳細な読図が困難であること,音声に若干の時間のずれがあること,からシステムを使っ ての授業は行いにくい。システムの改善により,これらの問題が解消すれば,システムを 使っての講義は可能である。しかし,今回の受講生もそうであったが,一般に十勝サテラ イトでは対面により直接教員から授業を受けることを望む受講生が多い。また,教員側と しても対面授業を行うことにより受講生と意思疎通を図ることができ,その後の授業をよ りスムーズに進めることができた。従って,対面での授業時数はある程度確保しておく必 要はあると思う。

3.2.3. 遠隔授業における対面型授業の改善の取り組み:古典文学特別演習(石井由紀夫)

遠隔地システムを使っての授業は,初めての経験であり,大学院のレベルを落とさずに どのように進めるかというのが,最初の問題であった。ただ,十勝サテライト教室での受 講生が国語教育専修の一人だけであったので,遠隔地システムを使っての「演習形式」の 授業を行うこととした。作品は,シラバスにある『平家物語』を使用することとした。

まず,釧路校での受講生と前期の半期を使って,二人だけの作品講読を行った。範囲は 巻七の前半部分で,テキストを使用して丁寧な解説を施す形の授業を行った。次に,十月 始めに十勝サテライト教室へ赴き,そこでの受講生と対面型の授業で,授業の進め方と『平 家物語』の概説について説明した。

毎週月曜日の六講目,遠隔地システムを使用して,演習形式の授業を行った。

第一回 担当の章段の現代語訳 第二回 担当の章段のレポート発表

釧路の受講生と十勝サテライトの受講生が交互にレポーターをやり,私と他の一人が質 問者となって,発表の後で質疑応答を繰り返した。最初のうちは,ファクスの送受信のシ ステムが解らなかったり,黒板が使用できなかったりして,とてもスムーズなやり取りと は言えなかったが,段々とやり方にも慣れていき,メールを使って資料の事前提出もでき るようになった。

十二月二十日前後に,釧路での対面型の授業があり,その終了後に十勝サテライトの受 講生と対面型の授業を行った。授業ではし難い基本的な質問に対して,丁寧に答えること ができたように思われた。 一月末まで授業を行って,演習形式の授業は終了となった。

単位認定は課題レポートで,それもメールの貼付ファイルで提出されている。

以上が実際に行った授業の概要だが,以下問題について考えてみる。

遠隔授業システムは,思った以上に性能が良かったと思われる。特に,十勝サテライト からの音声を全く問題なく拾うことが出来,目の前にいるような錯覚する覚えるほどであ った。釧路の受講生がいたことも大切であった。私自身以前,テレビカメラに向かって講 演するという経験を持っているが,あの時は目の前に受講生がおらず,とても早口で喋っ てしまい時間を余してしまうということがあった。目の前の受講生の反応を見ながら,質 疑応答をするというのは,テレビ画面の受講生の反応だけではないので,とても授業が進 めやすかった。

ファクスの存在も大きかった。板書事項などは,紙に書いてからファクスで送信しそれ をテレビ画面に映して説明することができた。より,理解度をあげることが出来たと思う。

問題点は,対面型の授業であれば,質疑の間にでてくる問題についての参考図書をその 場で見せてあげられるのだが,遠隔授業システムでは無理であり,事前の準備がさらに必 要になると思われる。

以上,遠隔授業システムでの授業を行っての感想だが,やはり対面型を適度に入れるこ とによってより成果が上げられると思う。

3.2.4. 対面型集中授業における授業改善の取り組み:数学教育学特論Ⅲ(杉山佳彦)

(1) サテライト教室での授業が抱える困難点

対面型授業は,遠隔授業システムを利用する場合に比べ,授業者・受講者の双方にとって メリットが大きい.

両者の違いは,授業者と受講者が「顔をつきあわせて」,双方の感情・思考を察知しなが ら相互に反応できることにある.これは,昨年度この科目を遠隔授業システムを介して開 設した際の受講者からの感想としてであるが,「ストレスが大きい」という指摘からも伺え る.これが何よりも大きなメリットであり,受講者から遠隔授業システムによる授業より も対面型授業を増やすように希望があがる最大の要因であろう.

一方,対面型授業にも次のようなデメリットがある.

十勝サテライト教室の場合,対面型授業は土・日を利用し,各期,1 科目あたり2~3回 実施するように設計している.したがって,毎週定期的に90分ずつ行う,という形ではな く,また開講日程も授業者・受講者双方にとって都合のつくところを選ばざるを得ない.

したがって,授業日程は受講者が決まってから出なければ決まらない,という問題がある.

これは授業内容を大きく制約する条件であった.

また,この形態では 1回の対面授業で 5コマ分を実施することとなるため,各回がかな り集中的な授業となる.これは受講者が授業内容を理解するためには厳しい制約となる.

(2)困難点の克服のための工夫

上記のように,対面型授業はやはりそれなりの困難を抱えている.

これに対して,以下のような工夫を行い実施した.

a 受講希望者に対して,事前にプロフィールを提示してもらう

これにより,受講者(今回は2名)がいずれも発達障害を抱えた児童を指導する教員であり,

また数と計算の指導に関心を持っていることがわかった.

b 授業内容を大きく3つに分け,対面型授業の各回ごとに構成した.

これにより,例えば,1回目の授業内容の理解が不十分であったとしても2回目の内容理 解には余り支障が起こらないようにできた.

今回は,

1回目(1月10日・11日);「数と計算」領域(算数)での教材の数学的分析 2回目(1月31日・2月1日);概念形成論(論理学的・認識論的立場から) 3回目(2月21・22日);算数科の授業構成論

とした.各回相互に関係しつつも,扱った内容の問題意識に違いがあるため,ある程度独 立して理解することも可能な組み立てであると考えている.

c 対面型授業のもうひとつのメリットに,授業を参加型にしやすいという点がある.今 回の場合には,とくに 3回目の最終日(22日)をレポートの報告にあてそこで授業担当・受 講者全員での検討を行うことができた.レポートは,「各自が抱える発達障害のある子ども のための指導法・教材・教具を提案する」としたが,かなり活発な意見交換ができ,受講者

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